歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
ここでは、平成30年度の厚生労働省による歯科の特定共同指導、共同指導(個別指導と基本的に同様の仕組みです。)での、診療録、医学管理、在宅医療、検査、画像診断、リハビリテーション、歯周治療、処置、手術、歯冠修復及び欠損補綴、診療報酬請求の指摘事項をご説明します。
指摘事項は、通常の厚生局の個別指導でも指摘され得る事項で、厚生労働省の公表資料「平成30年度 特定共同指導・共同指導(歯科)における主な指摘事項」に基づいており、弁護士鈴木が適宜修正等しています。
個別指導に臨む歯科医の方は、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法
平成30年度 特定共同指導・共同指導(歯科)指摘事項
目次
1 診療録等の記載
2 医学管理等
3 在宅医療
4 検査
5 画像診断
6 リハビリテーション
7 歯周治療
8 処置等
9 手術
10 歯冠修復及び欠損補綴
11 診療報酬請求
1 診療録等の記載
・診療録は保険請求の根拠であることを認識し、必要な事項を十分に記載すること。
・診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容が不備な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。
(例:開始年月日、終了年月日、転帰、主訴、口腔内所見の記載がない又は不十分な例が認められた。)
・診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容が不備な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。
(例:症状、所見、処置内容、指導内容、検査結果、画像診断所見、医学管理等の内容、診療方針について記載がなかった又は不十分だった。)
・診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので改めること。
(例:診療行為の手順と異なる記載、行間を空けた記載、療法・処置記載欄への一行複数段の記載、判読困難な記載、鉛筆による記載)
・略称を使用するに当たっては、「歯科の診療録及び診療報酬明細書に使用できる略称について(平30.3.20保医発0320第6号)」を参照し適切に記載すること。
・歯科技工指示書に設計、使用材料、発行した歯科医師の氏名及び当該歯科医師の勤務する診療所の所在地の記載のない例が認められたので改めること。
2 医学管理等
歯科疾患管理料
・歯科疾患管理料を算定した月に、当該管理に係る要点について診療録に記載していない又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
・患者等に提供した管理計画書の写しを診療録に添付していない。
・文書提供加算に係る提供文書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(例:患者の基本状況(全身の状態・基礎疾患の有無、服薬状況、生活習慣の状況)、口腔内の状態(プラーク及び歯石の付着状況、歯及び歯肉の状態等))
歯科衛生実地指導料
・診療録に記載すべき内容(歯科衛生士に行った指示内容等の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
新製有床義歯管理料
・患者等に提供した文書の写しを診療録に添付していない。
3 在宅医療
歯科訪問診療料
・診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、必要な事項を的確に記載すること。
(例:実施時刻(開始時刻と終了時刻)、歯科訪問診療の際の患者の状況等(急変時の対応の要点を含む))
歯科診療特別対応加算
・著しく歯科診療が困難な者に該当していない。
4 検査
電気的根管長測定検査
・検査結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。
歯周基本検査
・必要な検査のうち歯周ポケット測定(1点以上)、歯の動揺度の結果を診療録に記載又は結果が分かる記録を診療録に添付していない。
5 画像診断
・歯科エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない又は記載が不十分だったので、適切に記載する
こと。
・歯科エックス線撮影において、治療に必要な部位が撮影されていない。
・歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影において、画像が不鮮明で診断に利用できない。
6 リハビリテーション
歯科口腔リハビリテーション料1
・診療録に記載すべき内容(調整方法及び調整部位又は指導内容の要点)について、診療録に記載していない又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
7 歯周治療
診断、処置、手術等
・「歯周病の診断と治療に関する基本的な考え方」(平成30年3月 日本歯科医学会)を参照し、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。
・歯周病検査、画像診断の結果が診断、治療に十分活用されず、診断、治療方針、治癒の判断及び治療計画の修正等の根拠が不明確であるので改めること。
歯周基本治療処置
・使用した薬剤名を診療録に記載していない。
8 処置等
う蝕処置
・算定部位ごとに処置内容等を診療録に記載していない。
加圧根管充填処置
・適切な加圧根管充填を行っていない。
・根管充填後に撮影した歯科用エックス線画像が根管充填の確認に利用できない。
歯冠修復物又は補綴物の除去(著しく困難なもの)
・歯根の長さの3分の1以上のポストにより根管内に維持を求めるために製作された鋳造体以外のものについて算定している。
機械的歯面清掃処置
・歯科衛生士が機械的歯面清掃処置を行った場合に、当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載していない。
9 手術
抜歯手術(難抜歯加算)
・歯根肥大、骨の癒着歯、歯根彎曲等に対して骨の開さく又は歯根分離術等を行っていない場合に、難抜歯加算を算定している。
口腔内消炎手術、歯周外科手術
・診療録に記載すべき内容(手術内容の要点)について、記載のない又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
10 歯冠修復及び欠損補綴
補綴時診断料
・診療録に記載すべき内容(欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等の要点)について、記載のない又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
クラウン・ブリッジ維持管理料
・患者に提供した文書の写しを診療録に添付していない。
CAD/CAM冠
・CAD/CAM冠を装着する際に、歯質に対する接着性を向上するための内面処理(アルミナ・サンドブラスト処理及びシランカップリング処理等)を行っていないにもかかわらず、誤って装着に係る加算を算定していたので改めること。
有床義歯修理
・修理内容の要点を診療録に記載していない。
・歯科技工加算について、預かり日、修理を担当する歯科技工士の氏名、修理の内容を診療録に記載していない。
11 診療報酬請求
・診療報酬の請求にあたっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録と照合し、診療報酬明細書の記載事項に誤りや不備がないか確認すること。
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