サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、厚生局への架空請求の情報提供で個別指導となり、その結果の個別指導において、パノラマエックス線フィルムの未持参、診療録に未記載であった歯周病検査結果の加筆、不正請求の自認などのため監査となり、監査の不出頭により保険医療機関の指定の取消処分となった実例をご紹介します。平成30年9月付の取消事案であり、近畿厚生局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。
本ケースでは、個別指導で、歯科パノラマ断層撮影に係るパノラマエックス線フィルムの持参がありませんでしたが、あるはずの持参物の持参がない場合で、未持参の合理的な説明ができない場合は、厚生局としては、不正請求(架空請求や付け増し請求など)を疑うことがあります。また、指導監査が実施されていく過程で、持参したカルテ等の記載内容が過去と変わっている場合は、厚生局としては、カルテ等の改ざん等を疑うことがあります。個別指導で持参を指示された書類はきちんと準備し、必要性がありカルテ等の加筆を行う場合は認められた方法で適切に加筆等を行うことが重要です。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
エックス線フィルムの未持参、カルテの加筆での監査の実例
個別指導、監査、取消しに至る経緯
近畿厚生局の公表資料によれば、個別指導から監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 指導監査課への架空請求の情報提供
平成28年6月2日、患者から全国健康保険協会大阪支部を通じて近畿厚生局指導監査課に対し、5〜6年前に受診した以降通院していないにもかかわらず、医療費通知に平成27年1月から平成28年2月までの間当該医療機関の名前が記載されている旨の情報提供があった。
2 指導でのエックス線フィルムの未持参
平成29年7月27日、個別指導を実施したところ、歯科パノラマ断層撮影に係る一連の診療報酬が請求されている患者についてパノラマエックス線フィルムの持参がなく、歯科医師に未持参の理由を尋ねるも明確な回答がなかった。
また、診療録を確認したところ、歯周病検査結果の未記載及び診療録の一部落丁が認められ、それらの理由を尋ねるも、明確な回答がなかったため、個別指導を中断した。
3 歯周病検査結果の加筆、再度の中断
平成29年10月26日、個別指導を再開したものの、パノラマエックス線フィルムについて再び持参がなく、歯科医師からは、当該患者の受診の有無及びパノラマエックス線フィルムの所在の有無すら明確な回答がなかった。また、診療録の一部落丁の理由についても明確な回答がなかった。さらに、前回の個別指導において診療録に未記載であった歯周病検査結果を加筆していたため、個別指導を再度中断した。
4 不正請求の自認、監査の即日の実施
平成29年12月21日、個別指導を再開したところ、歯科医師が、実際には診療していないにもかかわらず診療したものとして診療録に不実記載し、診療報酬を不正に請求していたことを認めたことから、個別指導を中止し、同日(第1回)監査を実施した。
取消処分の主な理由
近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。
【監査の不出頭】
健康保険法等に基づく監査を実施する旨、通知したところ、歯科医院の開設者であり保険医である歯科医師は、平成30年1月25日(第2回)から同年3月8日(第4回)までの間、計3回の監査に出頭しなかった。これらのことは、健康保険法等に基づく監査について、保険医療機関の開設者及び保険医が出頭を求められてこれに応ぜず、検査を拒み、忌避したものであり、保険医療機関及び保険薬局の指定の取消しを定めた健康保険法第80条に該当し、保険医及び保険薬剤師の登録の取消しを定めた健康保険法第81条に該当する。
なお、原則として指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。