サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、歯科医院の新規個別指導で、不正請求(二重請求)の疑義が生じ、歯科医師が不正請求を認め監査となり、保険医療機関の指定の取消相当となった実例をご紹介します。令和元年6月付の取消相当事案であり、関東信越厚生局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。
本ケースは、新規個別指導から監査に移行し、取消相当となっていますが、新規個別指導から監査に移行することは、件数としては少ないと思われます。ただ、厚生局において不正請求の疑義があれば、本ケースのように、新規個別指導から監査に移行することがありますし、厚生局に保険診療の理解が不十分と判断されれば、再指導となることもあります。新規個別指導に臨む場合は、軽く考えることのないようにして下さい。
歯科の新規個別指導に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
新規個別指導には、弁護士を立ち会わせるべきです。
新規個別指導ではなく個別指導に関するコラムとなりますが、よろしければ以下もご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
歯科の新規個別指導で不正請求(二重請求)を自認した実例
新規個別指導、監査、取消相当に至る経緯
関東信越厚生局の公表資料によれば、千葉県の歯科診療所について、新規個別指導から監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 二重請求の疑いで新規個別指導の中断
新規個別指導を実施したところ、保険診療の診療録に補綴物(ブリッジ)の歯冠形成、印象採得、咬合採得が行われた記載があり、保険請求されているにもかかわらず、その後の治療経過として同部位に係る補綴物(ブリッジ)を装着した記載がなく、さらに、当該補綴物(ブリッジ)の製作が歯科技工指示書及び歯科技工物納品書から確認出来なかったため、自費診療を行っている可能性が高く保険診療との二重請求が疑われたことから、元開設者に説明を求めたところ明確な回答がなく、内容の精査を行うために新規個別指導を中断した。
2 新規個別指導の再開、二重請求の自認
新規個別指導を再開し、元開設者より提出された自費診療にかかる帳簿を基に、二重請求の疑いについて確認をしたところ、自費診療と保険診療の二重請求を認める旨の発言があった。
3 新規個別指導の中止、監査の実施
これらのことについて、不正請求の疑いが濃厚であると判断して新規個別指導を中止し、監査要綱の第3の1及び2に該当するものとして、平成28年7月26日から平成29年2月23日まで計6日間の監査を実施した。結果として「取消相当の主な理由」に記載した事実を確認した。
取消相当の主な理由
関東信越厚生局の公表資料によれば、歯科医院についての取消相当の理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正に請求して いた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不正に請求していた。
3 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
4 保険診療として請求
実際に行った保険適用外である診療に対する指導について、保険診療に係る歯科口腔リハビリテーション料1を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
実際に行った保険適用外である診療を、保険適用を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
診療報酬の不正請求の金額
関東信越厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正請求金額等は以下のとおりです。
件数 73件 不正請求額 270,614円
※なお、監査で判明した以外分についても不正請求等があったものについては、監査の日から原則5年前まで遡り、保険者等へ返還させることとしている。
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