歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の個別指導に強い、弁護士の鈴木陽介です。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。勘所もあります。まずはご相談下さい。
ここでは、医療費通知の診療実日数と診察券の受診日数が相違しているとの情報提供があり個別指導となり、患者調査が実施され不正請求の疑義が解消されず監査となり、架空請求などの不正請求により保険医療機関の指定の取消処分などとなった実例をご紹介します。平成31年3月付の取消事案であり、四国厚生支局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。
本ケースのように、医療費通知の記載と実際の診療との相違から、患者が情報提供を行うことがあります。医療費通知の受診日数と実際の受診日数に相違があり、それが厚生局に情報提供されれば、厚生局において、その歯科医院について、架空請求などの不正請求の疑義が生じます。個別指導では、受診日数の相違が事実か、事実だとすればなぜ相違が生じたのかなどが、厳しくチェックされることになります。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
受診日数相違の情報提供で個別指導、患者調査、取消しとなった実例
個別指導、監査、取消しに至る経緯
四国厚生支局の公表資料によれば、個別指導から監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 受診日数の相違の情報提供
香川県健康福祉部医務国保課経由で医療費通知の診療実日数と診察券の受診日数が相違しているとの情報提供があった。
2 個別指導、患者調査の実施
以上により、個別指導及び患者調査を実施した結果、不正な診療報酬請求を行っている疑義が生じた。
3 不正請求の疑義により監査への移行
再開した個別指導において、不正な診療報酬請求に対する歯科医師からの明確な説明もなく疑義を払拭できないことから個別指導を中止し、平成28年7月1日から平成29年11月30日まで計7回の監査を実施した。
監査結果
四国厚生支局の公表資料によれば、監査で判明した不正請求及び不当請求は次のとおりです。
【不正請求(不実な診療報酬を不正に請求すること)】
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を請求していた。
3 二重請求
実際に行った保険適用外である診療に係る費用を患者から受領しているにもかかわらず、保険適用である診療を行ったものとして診療報酬を請求していた。
4 保険診療として請求
実際に行った保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして診療報酬を請求していた。
【不当請求(制度目的から適当でなく算定要件を欠いたもの)】
1 算定要件を満たさない請求
算定要件を満たさない診療報酬(医学管理等、画像診断、リハビリテーション、処置)を請求していた。
診療報酬の不正・不当請求の金額
四国厚生支局の公表資料によれば、監査において判明した不正請求及び不当請求金額は次のとおりです。
不正請求(平成24年12月分から平成27年6月分まで)
患者数44名 金額 583,322円
不当請求(平成25年5月分から平成27年6月分まで)
患者数3名 金額 13,540円
原則として、指定及び登録の取消の日から5年間は、保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
【取消処分の根拠条文】
保険医療機関の指定の取消 健康保険法第80条
保険医の登録の取消 健康保険法第81条
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