サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、振替請求による不正請求での元保険医療機関の指定の取消相当、保険医の登録の取消の実例をご紹介します。
平成27年10月付の取消相当処分等であり、厚生労働省九州厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
本ケースは、個別指導に持参した歯科技工物の納品書に起因して、不正請求(振替請求・付増請求など)の疑義が生じ、個別指導が中断となり、監査となっています。歯科では、技工指示書・納品書に起因して振替請求(実際に行った診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて請求するもの)などの不正請求の疑義が生じ、取消しに至っている事例が散見されます。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
不正請求(振替請求)での取り消しの実例
監査を行うに至った経緯
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の中断に至る経緯
当該保険医療機関に個別指導を実施したところ、当該保険医療機関は歯科技工物の製作を歯科技工所に依頼していたが、当該歯科技工所から歯科技工物の納品の際に併せて持参される技工物納品書に、患者の氏名の記載がなく、個々の患者に係る歯科技工物の形態・使用材料等について確認ができなかった。このため、技工物指示書に記載されている全ての患者の氏名を特定するよう指示し、個別指導を中断とした。
2 監査に至る経緯
当該保険医療機関に対し個別指導を再開したところ、歯科技工所から納品された実際の有床義歯と相違する内容で診療報酬を請求していたことを歯科医師が認め、また、その後の患者調査において、患者の供述または口腔内所見と診療報酬明細書の請求内容とが相違し、不正請求が強く疑われたため、監査を実施した。
取消相当の取扱い及び取消の理由
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、取消相当の理由は以下のとおりです。
1 不正請求
@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 製作していない鋳造鉤、鋳造バー、保持装置の費用を請求していた。
A 振替請求
実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 人工歯数が4歯の有床義歯を5歯の有床義歯としていた。
・ レジン歯を硬質レジン歯としていた。
・ フック、スパーとして請求すべきレストを鋳造鉤としていた。
2 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等並びに歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年10月〜平成24年9月
不正請求 164名分 レセプト 170件 81万9223円
不当請求 161名分 レセプト 167件 28万2490円
合計 325名分 337件 110万1713円
(実人数164名分) (実件数170件)
取消相当の取扱いについての補足説明
当該保険医療機関は、平成27年9月に既に廃止されていることから、指定の取消相当の取扱いとされました。
指定の取消相当の取扱いとは、指定の取消処分と同等の取扱いとするもので、具体的には、取消相当年月日から5年の間に再指定の申請があった場合に、保険医療機関の再指定を拒むことができるとするものです。
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