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個別指導の中断、中止からの監査、取り消し処分の実例です。個別指導、監査にお悩みの歯科医の方は、歯科の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関、保険医の取消の実例(20):個別指導の中断、中止、監査

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、個別指導の中断、中止からの監査の実例をご紹介します。 平成28年9月付及び平成28年3月付の取消処分であり、四国厚生支局の公表事例です。説明のために、簡略化等をしています。

個別指導が実施された際に、持参資料や応答などから不正請求の疑義が生じ、または疑義が解消できない場合などに、個別指導が中断とされることがあります。厚生局としては、中断をしてから、精査や必要に応じ患者調査などを実施した上で、あらためて個別指導を実施し、場合により個別指導を中止として監査に移行するなどします。個別指導が中断となってしまった場合は、中断とされた理由を検討し、不正請求の疑義による中断である場合は、患者調査の可能性を想定することになります。

歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

 【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法

個別指導の中断、中止からの監査の実例


 監査を行うに至った経緯

四国厚生支局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。

1 情報提供

平成26年2月12日、過去に受診した患者についてその後受診していないにもかかわらず受診したものとして診療報酬を請求していた旨の情報提供が四国厚生支局徳島事務所にあった。

2 個別指導、患者調査の実施

平成26年5月29日に個別指導を実施したところ、歯科医師から振替請求について認める旨の発言があったので中断とした。平成26年8月5日から平 成26年9月19日にかけて患者調査を実施し、診療内容及び診療報酬の請求に関して、疑義が認められた。

3 個別指導の中止

個別指導及び患者調査の結果、不正請求の疑義が生じたため、中断としていた個別指導を中止し、監査要綱の第3の1及び2に該当するものとして、平成26年11月6日及び7日ほか計9回の監査を実施した。

 取消処分の主な理由

四国厚生支局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。

1 不正請求

@ 付増請求 
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
A 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
B 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
C 保険適用外診療の保険請求
実際には保険適用外の診療を行ったものを、保険適用である診療として診療報酬を不正に請求していた。

2 不当請求

算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求していた。

 診療報酬の不正、不当請求の金額

四国厚生支局の公表資料によれば、監査において確認した不正請求金額は、以下のとおりです。

 不正請求  38名  313万3451円
 不当請求  50名   33万9359円

 

患者情報提供からの個別指導、指導中断、患者調査、監査の実例


 監査を行うに至った経緯

四国厚生支局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。

1 患者からの情報提供

平成25年8月、歯科クリニックを受診した被保険者及び被扶養者の3名から、健康保険組合から送付された医療費通知に記載されている医療費に係る一部負担金額と領収証の金額が相違している旨の連絡を受けたとの情報、当該患者に係る医療費通知の写し、領収書の写し及び診療報酬明細書の写しが同健康保険組合から四国厚生支局に提供された。

2 患者面談での事実確認

提供された前記3名に係る関係資料を精査したところ、医療費通知の一部負担金の金額と実際に支払った金額において相違が見受けられたことから、事実確認の必要性が生じたため、情報提供内容の対象となっていた3名と面談し事実確認を行い、内2名については口腔内を確認することができ、次のような疑義が確認された。
・ 実際には行っていないインレー及び全部金属冠の製作・装着を行ったものとして診療報酬を請求している。
・ 実際には行っていないCR充填を行ったものとして診療報酬を請求している。

3 個別指導の中断

平成25年11月28日に個別指導を実施したところ、診療録、技工指示書及び納品書の内容に不整合が複数認められ、開設・管理者である歯科医師に説明を求めたが、明確な回答が得られなかったことから個別指導を中断とした。

4 患者調査の実施

平成26年1月9日から同月22日にかけて、20名に対して患者調査を実施した結果、8名から次のような疑義が確認された。
・ 実際には行っていないCR充填を行ったものとして診療報酬を請求している。
・ 実際には行っていない熱可塑性樹脂有床義歯の製作・装着を行ったものとして診療報酬を請求している。
・ 実際には行っていないレジン前装金属冠の製作・装着を行ったものとして診療報酬を請求している。

5 個別指導の中断、監査

上記患者調査の結果から、不正請求の疑いが濃厚となったため、中断していた個別指導を平成26年5月19日に中止とし、平成26年5月27日ほか計8回の監査を実施した。

 取消処分の主な理由

四国厚生支局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。

1 不正請求

@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
・ 補綴時診断料、顎運動関連検査、平行測定、リテイナー、仮着セメント、う蝕歯即時充填形成、充填(複雑なもの)、充填材料T、熱可塑性樹脂有床義歯(局部義歯)、人工歯、二腕鉤、新製有床義歯管理料、有床義歯床下粘膜調整処置、有床義歯修理
A 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
・ 右上5番のアンレー(MOD)、右上6番のインレー(MOD)を製作しているものを、右上567番(右上7番欠損)の延長ブリッジを製作したものとしていた。
・ 有床義歯(多数歯)として装着したものを、有床義歯(総義歯)として装着したものとしていた。
B 保険適用外診療の保険請求
実際には保険適用外の診療を行ったものを、保険適用である診療として診療報酬を不正に請求していた。
・ 小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を装着したものを、保険適用の硬質レジンジャケット冠を装着したものとしていた。
・ 小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を用いたブリッジを装着したものを、保険適用の全部金属冠を用いたブリッジを装着したものとしていた。

2 不当請求

@ 診療録への不記載
実際に行った保険診療について、レセプトコンピューターへの入力はしているものの、診療日に係る一部の保険診療が診療録に記載がなく、診療録においては診療報酬請求の根拠が認められない診療報酬を不当に請求していた。
A 在宅医療の不当請求
算定要件を満たさない在宅医療の診療報酬を不当に請求していた。
B 検査の不当請求
算定要件を満たさない検査の診療報酬を不当に請求していた。
C CR除去の不当請求
同一歯に対する一連の次の処置の診療報酬を不当に請求していた。
・ CR除去後に感染根管処置及び根管貼薬処置を行い、治療中止後の感染根管処置時毎に前回取り残したCRの除去について、その都度請求していた。
・ ポストメタルコア除去後に感染根管処置及び根管貼薬処置を行い、治療中止後の再度の感染根管処置時であるにもかかわらず、前回取り残したポストメタルコアの除去を再度請求していた。
D 隔壁形成除去の不当請求
同一歯に対して、ポストメタルコア除去後に感染根管処置及び根管貼薬処置を行い、治療中止後の再度の感染根管処置時に、歯内治療のための隔壁形成(CRによる)の除去をCR除去として処置の診療報酬を不当に請求していた。
E 歯冠修復の不当請求
算定要件を満たさない歯冠修復及び欠損補綴の診療報酬を不当に請求していた。

 診療報酬の不正、不当請求の金額

四国厚生支局の公表資料によれば、監査において確認した不正請求金額は、以下のとおりです。

 不正請求  24名  37万8074円
 不当請求  53名  47万5018円


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