サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、個別指導の中断後に患者調査がなされ、その後再開された個別指導が中止され、患者調査が再実施され、その上で監査が実施された歯科の保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消の実例をご紹介します。平成29年7月付の取消事案であり、九州厚生局の公表事例です。説明のために、簡略化等をしています。
本ケースのように、個別指導から監査に移行する前に、個別指導が中断となり、患者調査が実施され、その結果を検証した上で不正請求の疑義が固まってから監査の実施に至ることが通常です。患者調査は、監査の実施に至るまでに複数回行われることもあります。個別指導が中断となり患者調査が実施されても、必ずしも監査となるわけではありませんが、患者調査は監査を念頭に実施されるものと想定しておくことが無難です。個別指導から監査に移行する場合は、本ケースのように、個別指導は中止となることが通例です。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
個別指導の中断、中止と患者調査に関する実例
個別指導、監査、取消処分に至る経緯
九州厚生局の公表資料によれば、個別指導から監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 不正請求の疑いでの個別指導の中断
平成27年12月16日に当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、保険適用外のレジン前装金属冠を製作、装着したものを、保険適用となる硬質レジンジャケット冠を製作、装着したとして保険請求している例や保険適用外のレジン前装金属冠支台としたブリッジを製作、装着したものを保険適用となる全部金属冠支台としたブリッジを製作、装着したものを保険請求している例が認められたことから、個別指導を中断した。
2 患者調査による不正請求の確認
平成28年2月3日、患者4名に対し患者調査を実施したところ、上記1の事例に該当する患者3名を確認した。
3 歯科医師の不正の自認、個別指導の中止
平成28年2月24日に個別指導を再開したところ、歯科医師が不適切な診療報酬の請求を認めたことから、個別指導を中止した。
4 患者調査の再実施での不正請求の再確認、監査の実施
平成28年3月14日から15日にかけて、更に13名の患者調査を実施した結果、このうち9名について上記1と同様の事例が確認でき、不正請求が行われていることが強く疑われたため、平成28年5月17日、同年6月3日及び6月23日に監査を実施した。
取消処分の主な理由
九州厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。
1 不正請求
@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
欠損補綴物製作に際し、行っていないチェックバイト検査(顎運動関連検査)を行ったとして請求していた。
A 振替請求
実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
有床義歯の製作に際し、実際に使用した金属を保険点数の高い別の金属を使用したとして請求していた。
B 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
保険適用外のジルコニアを使用したクラウン、ブリッジを製作、装着し、患者から費用を受領したものを、保険適用のレジン前装金属冠、ブリッジを製作、装着したとして保険でも請求していた。
C その他の請求
保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
ア 小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を製作、装着したものを、保険適用である硬質レジンジャケット冠を製作、装着したものとして請求していた。
イ 臼歯部に保険適用外のレジン前装金属冠を使用したブリッジを製作、装着したものを、保険適用である全部金属冠を使用したブリッジを製作、装着したものとして請求していた。
2 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等、検査、リハビリテーション、歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正請求の金額
九州厚生局の公表資料によれば、監査で確認した不正請求、不当請求額は以下のとおりです。
(平成26年7月〜平成27年9月)
不正請求 20名分 レセプト 45件 101万1171円
不当請求 7名分 レセプト 7件 1万0156円
合計 27名分 52件 102万1327円
(20名分) ( 45件)
※ ( )内は、患者実日数及びレセプト実件数。
※ 上記の件数及び金額は、監査で確認したもののみを計上しており、最終的な不正・不当請求の件数及び金額は、今後精査していくこととしているので、現時点では確定していない。
歯科の個別指導の中断、中止、患者調査に悩んでいる歯科医の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。