サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、保険医療機関廃止の届け出後の監査、保険医療機関の指定の取り消し、保険医の登録の取り消しなどの実例をご紹介します。
平成26年7月付及び平成26年3月付の取消処分(取消相当)であり、厚生労働省近畿厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
歯科医院を閉めて保険医療機関であることを廃止していても、厚生局側に不正請求の疑義があれば、元保険医療機関として監査が実施され、取消(取消相当)となる場合があります。本ケースにように、個別指導が不正請求の疑義で中断となり、その後に保険医療機関の廃止届が提出された場合、厚生局の不正請求の疑義は解消されず、患者調査、そして監査となることがありますので、留意する必要があります。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
保険医療機関廃止の届出後の監査
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 患者からの情報提供
平成23年7月7日、患者から健康保険組合を通じて近畿厚生局に対し、平成22年8月に2回しか受診していないにもかかわらず、医療費通知では平成22年7月から平成23年2月まで毎月受診したことになっているとの情報提供があった。
また、別の患者から、平成23年7月28日、大阪市及び大阪府を通じて、平成23年10月26日、守口市及び大阪府を通じて、それぞれ近畿厚生局に対し、受診していないにもかかわらず医療費通知では受診したことになっているとの情報提供があった。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成24年1月26日、個別指導を実施したところ、開設・管理者は、実際に診療していないにもかかわらず、誤って診療報酬を請求していたことを認めたものの、具体的にどのように誤ったのか明確な回答がなかったため、個別指導を中断した。
3 保険医療機関廃止届の提出
平成24年6月11日、歯科医院から平成24年5月31日付で保険医療機関廃止届が提出された。
4 監査に至る経緯
平成25年2月7日から15日にかけて、患者調査を実施したところ、患者の回答と診療報酬の請求内容が一致せず、不正請求が強く疑われたため、監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正に請求していた。
3 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第1号及び第3号
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成22年7月〜平成23年12月
不正請求 14名分 レセプト 52件 44万0141円
不当請求 19名分 レセプト 170件 117万9466円
※ 監査で判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、登録の取消及び指定の取消相当日から5年間は、
保険医の再登録及び保険医療機関の再指定は行わない。
金銀パラジウム合金を使用したとする不正請求
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の中断に至る経緯
平成24年9月13日、近畿厚生局兵庫事務所及び兵庫県が共同で個別指導を実施したところ、診療録、歯科技工指示書の記載内容及び診療報酬明細書の請求内容に関して、歯科技工物納品書の記載内容との間に相違がみられたため、開設・管理者に説明を求めたところ、明確な回答が得られなかったことから個別指導を中断した。
2 監査に至る経緯
平成24年12月20日、個別指導を再開したところ、開設・管理者から、実際には古い義歯のゴールドの鉤を修理しているにもかかわらず、新たに鉤を製作したものとしていたこと及び義歯の鋳造鉤の材料について、実際にはコバルトクロム合金を使用しているにもかかわらず、金銀パラジウム合金を使用したものとしていたことを認める旨の発言があったことから、診療報酬を不正に請求していることが強く疑われたため、個別指導を中止し監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 二重請求
自費診療として患者から費用を徴収しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
4 その他の請求
実際に行った保険適用外である診療を、患者から自費料金を受領せず、保険適用である診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第1号及び第3号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成21年9月〜平成24年12月
不正請求 63名分 レセプト 103件 66万7180円
不当請求 45名分 レセプト 84件 44万4977円
※ 監査で判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
歯科の個別指導、監査、保険医療機関の廃止の届け出に悩む歯科医の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。