サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、厚生局への情報提供により個別指導となり、その結果、不正請求の疑義が解消されず、歯科医師が不正請求を認めたことから監査となり、実際の治療部位と異なる部位に診療をしたとするなどの不正請求により保険医療機関の指定の取消処分となった実例をご紹介します。平成30年4月付の取消事案であり、近畿厚生局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。
本ケースでは、実際に治療した部位と違う部位に診療をしているとして保険請求がなされているなどの情報提供があり、個別指導で健全歯に対して全部金属冠の装着などが請求されている事例が認められ、個別指導の中断、監査となっています。不正請求の情報提供に基づき個別指導となった場合は、その情報提供に関する不正の有無や状況などについて、入念にチェックされることになります。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
部位違いの不正請求での取消しの実例
個別指導、監査、取消しに至る経緯
近畿厚生局の公表資料によれば、個別指導から監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 指導監査課への不正請求の情報提供
平成27年4月1日、近畿厚生局指導監査課に対し、@自費診療となる補綴物を装着しているにもかかわらず、保険診療の補綴物を装着したものとして保険請求している、A実際に治療した部位とは異なる部位に診療を行ったものとして保険請求している旨の情報提供があった。
2 個別指導での不正請求の疑義、指導の中断
平成28年12月15日、個別指導を実施したところ、保険適用外のインレー及び冠が納品されているにもかかわらず、保険適用のインレー及び冠として請求されている事例、健全歯に対して全部金属冠の除去、感染根管処置、根管充填、歯冠形成又は全部金属冠の装着が請求されている事例がそれぞれ認められたことについて、歯科医師から明確な回答がなかったことから個別指導を中断した。
3 個別指導の再開、中止、監査の実施
平成29年3月23日、個別指導を再開したところ、歯科医師が実際に治療した部位とは異なる部位に診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求したことを認めたことから個別指導を中止し、平成29年4月20日ほか計9回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
4 部位違いの不正請求
実際とは異なる部位に保険診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
5 保険適用外診療の不正請求
実際に行った保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
診療報酬の不正請求の金額
近畿厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正・不当請求金額等は以下のとおりです。
不正請求金額 50名分 134件 128万1141円
不当請求金額 47名分 348件 29万7078円
※ 監査において判明した分以外についても、不正・不当請求のあったものについては、監査の日から5年前まで遡り、保険者等へ返還させることとしている。原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。