サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、自費診療で費用を受領しつつ保険でも請求した二重請求により保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消となった実例をご紹介します。
平成28年3月付の取消処分であり、厚生労働省九州厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
二重請求は、歯科技工指示書・納品伝票の記載内容から発覚することがあります。保険請求に対応する指示書や納品伝票がなければ、厚生局としては、不正請求を疑うことになるためです。本ケースでも、指示書・納品伝票で保険請求の金属が確認できなかったことから、個別指導の中断に繋がり、そして監査に至っています。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
自費診療の保険での請求での取消しの実例
監査を行うに至った経緯
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の中断に至る経緯
平成27年3月、当該保険医療機関に個別指導を実施したところ、歯科技工指示書及び歯科技工所からの歯科技工物納品書のいずれにおいても、有床義歯の鋳造鉤及びバーに使用した金属が確認できず、また、歯科医師からも使用金属について明確な回答が得られなかったため、個別指導を中断とした。
2 個別指導の中止に至る経緯
平成27年3月、当該保険医療機関に対し個別指導を再開したところ、有床義歯の鋳造鉤及びバーの使用金属について、歯科医師から診療報酬明細書の請求内容とは相違する金属を使用していた旨の回答があった。また、実際には製作していないバーを請求していたことや、実際には保険適用外のブリッジを保険請求していたことを認めたことから、個別指導を中止とした。
3 監査に至る経緯
その後、患者調査を実施したところ、患者の口腔内所見と診療報酬明細書の請求内容とが相違し、不正請求が強く疑われたため、監査を実施した。
取消処分の理由
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。
1 不正請求
@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 有床義歯の製作に際して、実際には製作していない鋳造バーや屈曲バーを請求していた。
・ 製作していないレジン前装金属冠を装着したとして請求していた。
A 振替請求
実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 有床義歯の製作時に、実際には鋳造用コバルトクロム合金を使用して製作した鋳造鉤や鋳造バーを、金銀パラジウム合金を使用したとして請求していた。
B 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・実際には小臼歯に保険適用外の材料(エステニア)を使用したブリッジであるにもかかわらず、保険適用の全部金属冠を使用したブリッジとして保険でも請求していた。
C その他の請求
保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 実際には保険適用外のブリッジであるにもかかわらず、隣在する健全歯を付け加えて支台歯として装い、保険適用のブリッジとして請求していた。
2 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等及び画像診断に係る診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成25年5月〜平成27年2月
不正請求 19名分 レセプト 32件 74万1082円
不当請求 15名分 レセプト 31件 1万6667円
合計 34名分 63件 75万7749円
(実人数20名分) (実件数56件)
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