サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、患者の情報提供による指導、保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消の実例をご紹介します。
平成27年3月付及び平成27年3月付の取消処分であり、厚生労働省近畿厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
本ケースは、情報提供により個別指導となっていますが、情報提供での個別指導では、厚生局に不正請求の疑義が既に生じていることが稀ではなく、医療機関の個別指導での説明内容や対応により、指導の中断、監査に結び付くことになります。情報提供での個別指導となった場合は、厚生局に不正請求の疑義が生じているものと心得て、高点数や再指導での個別指導に比べ、より慎重な対応が望まれます。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
患者からの情報提供による個別指導
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導に至る経緯
平成25年2月22日、患者から近畿厚生局兵庫事務所に「5分程度の診療で歯科訪問診療料が算定されている。」との情報提供があり、情報提供者が持参した診療録の写し及び診療報酬明細書を確認したところ、情報提供者が受けたことのない治療、検査及び実際の診療時刻と相違する歯科訪問診療料の請求が疑われた。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成25年11月14日、個別指導を実施したところ、歯科訪問診療に係る歯科医師の診療時刻が重複している事例、歯科衛生士の指導時刻が重複している事例及び情報提供者に係る診療の実施時刻等の疑義について、明確な回答がなかったことから個別指導を中断した。
3 監査に至る経緯
平成26年5月15日、個別指導を実施したところ、開設者から、歯科訪問診療について、20分診療していないものを20分診療したとして保険請求していた旨の回答があったため、
診療報酬を不正に請求していることが濃厚となったことから個別指導を中止し、同日から9月18日までの間、計8回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
2 その他の請求
実際には歯科訪問診療を行っていない時刻に歯科訪問診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医療機関の指定の取消:健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年8月〜平成26年2月
不正請求 30名分 レセプト 233件 251万3693円
不当請求 17名分 レセプト 146件 16万7580円
※ 監査で判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査日から保険医療機関指定日(平成23年8月1日)まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、指定の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定は行わない。
健康保険組合からの情報提供による個別指導
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 健康保険組合からの情報提供
平成23年3月24日、健康保険組合から東海北陸厚生局を通じて近畿厚生局指導監査課に対し、診療報酬明細書の点検において、多数歯の歯肉剥離掻爬手術及び充填の診療報酬が請求されているため、被保険者に確認したところ、自費診療が保険診療として請求されていること及び診療報酬明細書に基づく一部負担金が実際に支払った額より多いことが判明した旨、情報提供があった。
2 個別指導に至る経緯
また、平成23年12月28日、健康保険組合から健康保険組合連合会東京連合会を通じて近畿厚生局指導監査課に対し、患者から医療費通知に記載された一部負担金が実際に支払った額より多い旨の申出があったことから、患者に確認したところ、実際に行われていない口腔前庭拡張術及び充填の診療報酬が請求されていることなどが判明した旨、情報提供があった。
3 個別指導の中断に至る経緯
平成24年1月26日、個別指導を実施したところ、情報提供にかかる患者の領収証と医療機関の領収証(控)の金額が相違していることについて、開設・管理者である歯科医師から明確な回答がなかったことから個別指導を中断した。
4 監査に至る経緯
平成25年3月7日、個別指導を再開したところ、歯科医師は、情報提供にかかる患者について、実際には保険適用外の冠及びインレーを装着し自費を徴収しているにもかかわらず、保険適用の冠及びインレーを装着したとして診療報酬を請求していたことを認めたことから、診療報酬を不正に請求していることが強く疑われたため、個別指導を中止し、平成25年10月10日ほか計9回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 二重請求
自費診療として患者から費用を徴収しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
4 その他の請求
実際に行った保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第1号及び第3号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成22年1月〜平成25年6月
不正請求 50名分 レセプト 93件 295万6811円
不当請求 50名分 レセプト 162件 29万7180円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
情報提供(患者)での歯科指導に臨む歯科医の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。