サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、共同指導からの監査、取消しの実例と、死亡した患者の診療報酬請求での監査、取消しの実例をご紹介します。
平成26年12月付及び平成27年3月付の取消処分であり、厚生労働省近畿厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
共同指導のケースでは、共同指導から監査となり、取消処分となっていますが、共同指導は、厚生労働省が地方厚生局・都道府県と共同で実施する個別指導であり、特殊な個別指導となります。もっとも、共同指導となれば必ず監査になるというわけではなく、医療機関としては、粛々と適切に対応すべきことになります。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
共同指導からの監査
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 共同指導の実施、指導の中断
平成24年11月1日、厚生労働省、兵庫事務所及び兵庫県が共同指導を実施したところ、特定の手術の算定が多いため、開設・管理者に説明を求めたところ、レーザー処置を行った等、当該手術では算定できない術式の説明があったことから共同指導を中断した。
2 共同指導の再開、監査への移行
平成24年12月7日、共同指導を再開したところ、当該手術について、算定できない術式であるにもかかわらず算定していたことを認める旨の発言があり、診療報酬を不正に請求していることが強く疑われたため共同指導を中止し、平成25年4月11日ほか計9回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 その他の請求
実際に行った保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第1号及び第3号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成21年12月〜平成25年1月
不正請求 75名分 レセプト 428件 472万5826円
不当請求 38名分 レセプト 349件 101万2997円
※ 監査で判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
死亡している患者の診療報酬請求
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 死亡している患者の請求
平成25年11月12日、京都府から近畿厚生局京都事務所に対し、下記の情報提供があった。
@ 被保険者の家族から京都市に、平成 25 年1月診療分の医療費通知では、被保険者は当該医療機関で受診していることになっているが、別の医療機関に入院していたとの情報提供があった。
A 当該被保険者について、京都府後期高齢者医療広域連合が診療報酬明細書を確認したところ、別の保険医療機関に入院中であるにもかかわらず、特別養護老人ホーム(以下、「特養」という。)において、訪問診療を受けたことになっていた。さらに、当該医療機関にかかる他の患者の診療報酬明細書を確認したところ、他の医療機関に入院中であるにもかかわらず、診療を受けたことになっている患者13名及び死亡しているにもかかわらず診療を受けたことになっている患者
19名の請求が判明した。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成26年2月19日、個別指導を実施したところ、開設・管理者は、死亡している患者に対し特養で訪問診療を行ったとして、診療報酬を請求していたことを認めたものの、
別の患者と当該患者を取り違えて診療し、診療報酬を請求したと述べた。しかしながら、具体的にどの患者と取り違えたか明確な回答がなかったことから、個別指導を中断した。
3 監査に至る経緯
平成26年3月26日、個別指導を再開したところ、開設・管理者は特養の職員に口腔ケア用品を渡しただけであるにもかかわらず、診療したものとして診療報酬を請求している旨を述べたことから、個別指導を中止し、平成26年3月26日ほか計8回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
※ 登録の取消及び指定の取消相当の根拠条文
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第3号
保険医療機関の指定の取消相当:
〇 健康保険法第80条第2号及び第6号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年3月〜平成25年12月
不正請求 34名分 レセプト 174件 110万2185円
不当請求 7名分 レセプト 31件 10万5185円
※ 監査で判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、登録の取消及び指定の取消相当日から5年間は、
保険医の再登録及び保険医療機関の再指定は行わない。
共同指導に臨む歯科医の方は、お電話下さい。共同指導への対応を弁護士がアドバイスします。