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不正請求の有罪判決(執行猶予)で保険医の取消しの実例です。指導監査にお悩みの歯科医の方は、歯科の個別指導、監査に強い弁護士にご相談下さい。

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保険医療機関、保険医の取消の実例(31):有罪判決での保険医取消し

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、麻薬取締支所への厚生局の情報提供から歯科医師が書類送検され、不正請求で有罪判決(執行猶予判決)となり、その結果、保険医の登録の取消処分となった実例をご紹介します。令和元年5月付の取消事案であり、九州厚生局が公表した事例です。説明のために、簡略化等をしています。

本ケースのように、歯科医師が診療や診療報酬請求に関連して刑事事件で有罪判決となった場合、保険医の取消しなどの行政処分に繋がることが稀ではありません。歯科医師が警察の捜査を受けた場合は、捜査の結果起訴され、有罪判決となれば、医道審議会の歯科医業停止などを含め、行政処分となる可能性が十分あることを念頭に、適切に対応することが求められます。

歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、指導監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

 【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法

不正請求での有罪判決(執行猶予)による保険医取消しの実例


 監査、取消しに至る経緯

九州厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。

1 保険者からの不正請求の情報提供

平成28年3月11日、保険者から九州厚生局沖縄事務所に対し、保険医療機関に勤務する歯科医師の診療報酬明細書及び調剤報酬明細書を確認したところ、次の事実及び不正が疑われる事案が判明した旨の情報提供があった。
@重複受診により過量な投薬が行われている。
A勤務する保険医療機関において短期間に多数の処方箋が出されている。
B歯科医師が患者自身であることから、処方箋の発行に関与できる立場であることも推測でき、不正が行われていることも思料される。

2 麻薬取締支所への情報提供、書類送検の新聞報道

向精神薬の不正使用が疑われたため、九州厚生局沖縄麻薬取締支所に情報提供を行ったところ、向精神薬処方箋を多数回にわたり偽造したとして歯科医師を書類送致した旨を平成28年10月13日に報道発表し、当該記事が新聞等に掲載された。

3 処方箋の偽造などの疑いによる監査の実施

以上のことから、歯科医師が勤務する保険医療機関において、診療の実態がないにもかかわらず処方箋が偽造され、それに伴う診療報酬(処方せん料等) の不正請求が疑われたため、監査要綱の第3の1及び2に該当するものとして、平成29年10月18日から平成30年3月8日まで計5回、延べ9日間の監査を実施した。

 取消処分の主な理由

九州厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。

1 不正請求等
@歯科医師が勤務していた保険医療機関において、電子カルテを使用していた同僚歯科医師の離席中に、ログインした状態の同僚歯科医師のアカウントから自身の診療録に不正にアクセスし、実際には行われていない診療内容を不実記載し、保険医療機関に以下の診療報酬を不正に請求させていた。
 地域歯科診療支援病院歯科再診料
 再診時歯科外来診療環境体制加算
 処方せん料
 薬剤料
 調剤料
 処方料
 麻薬等加算(調剤料(入院外))
 麻薬等加算(処方料)
 調剤技術基本料(その他の患者に投薬を行った場合)

A上記@のとおり実際には行われていない診療内容を不実記載し、偽造処方箋を作成した後、診療録に記載した処方箋発行記録を削除するとともに、当該偽造処方箋に同僚歯科医師の印鑑を無断で押印し、保険薬局に持ち込み薬剤を不正に受け取っていた。

2 禁錮以上の刑に処せられたこと
偽造した処方箋を使用して向精神薬をだまし取ろうと考え、事情を知らない同僚歯科医師がログインした状態のパソコンを操作して自身の診療録に不正にアクセスし、偽造処方箋を作成し、当該偽造処方箋に同僚歯科医師の印鑑を無断で押印し、院外の薬局薬剤師等に対して、真正に成立したもののように装い、向精神薬の購入を申し込み、その交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させたとして、平成29年6月23日、那覇地方裁判所において、有印公文書偽造・同行使、詐欺の罪で、懲役2年執行猶予3年の判決を受け、同年7月8日付けをもって、刑が確定している。

 診療報酬の不正請求の金額

九州厚生局の公表資料によれば、監査で確認した不正請求金額等(平成27年3月から平成28年5月)は以下のとおりです。

 不正請求額 1名分 レセプト14枚 27,685円

【根拠条文】
 健康保険法第81条第1号及び第5号


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