サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、架空請求での保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消しの実例をご紹介します。
平成28年7月付の取消処分であり、厚生労働省九州厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
個別指導から監査に至る場合は、不正請求の疑義などから、個別指導が終了せず、中断となっていることが通例ですが、本ケースでは、歯科衛生士がいないにもかかわらず歯科衛生実地指導料を保険請求していたこと認め、また、資料の未持参もあり、個別指導が中断となっています。監査の結果、架空請求が事実認定されており、患者が一度も通院していない月でも、当該患者が通院し診療をしたものとして、レセプトを作成し提出し、診療報酬を請求していた事例となります。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
架空請求での保険医取消しの実例
監査を行うに至った経緯
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導の中断に至る経緯
平成27年8月、当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、歯科医師が、歯科衛生士がいないにもかかわらず歯科衛生実地指導料を保険請求していたことを認め、また、指導当日に持参するよう依頼していた資料の一部が未持参であったため、個別指導を中断した。
2 個別指導の中止に至る経緯
平成27年9月、個別指導を再開したところ、歯科医師が、個別指導を受けるにあたり、指導の対象患者に関する診療録や歯科技工指示書等を作り直したとの発言がなされ、また、歯科衛生士がいないにもかかわらず歯科衛生実地指導料の請求を行っていたことを改めて認めたことから不正請求が疑われ、個別指導を中止した。
3 監査に至る経緯
患者調査において、口腔内診査所見と診療報酬明細書の記載内容とに相違がみられ、不正請求が強く疑われたため、監査を実施した。
取消処分の理由
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。
1 不正請求
@ 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 当該月に一度も受診していない患者について、歯科再診料、歯科疾患管理料、歯科衛生実地指導料及び歯冠修復物の製作、装着に係る一連の費用等を請求していた。
A 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 実際には製作、装着していない歯冠修復物等を製作、装着したとして請求していた。
・ 歯科衛生士が勤務していないにもかかわらず、歯科衛生実地指導料を請求していた。
B 振替請求
実際に行った保険診療を、保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 有床義歯の製作に際し、実際に使用した金属を保険点数の高い別の金属を使用したとして請求していた。
C その他の請求
保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
【具体的事例】
・ 実際には小臼歯に保険適用外のレジン前装金属冠を使用したブリッジを製作、装着したにもかかわらず、保険適用の全部金属冠を使用したブリッジを製作、装着したとして請求していた。
2 不当請求
算定要件を満たさない医学管理等、検査、画像診断、リハビリテーション及び歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省九州厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年6月〜平成27年6月
不正請求 20名分 レセプト 57件 154万9226円
不当請求 20名分 レセプト 66件 19万7834円
合計 40名分 123件 174万7060円
(実人数20名分) (実件数67件)
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