サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、一部負担金の不徴収、体調不良での個別指導の欠席などによる監査、保険医療機関の指定の取り消し、保険医の登録の取り消しの実例をご紹介します。
平成25年12月付、平成25年12月付及び平成25年6月付の取消処分(取消相当)であり、厚生労働省近畿厚生局が公表した事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
一部負担金が徴収されていない場合、厚生局としては、付け増し請求(水増し請求)を疑うことがあります。歯科医院において実際には行っていない診療を事後的に付け増す場合、増加した差額分の一部負担金相当額を患者に請求せず受領をしないケースなどがあるためです。この差額分は未収金として、帳簿などに出てくる場合があり、多くの患者で付け増し請求を行っている場合、未収金が多くの患者で存在する状況となります。患者は、実際に支払った一部負担金の金額と医療費通知の記載金額で相違があれば、保険者に確認・情報提供することがあり、そこから個別指導に発展することも稀ではありません。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
一部負担金の不徴収による個別指導
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 個別指導に至る経緯
平成23年8月8日、大阪府から近畿厚生局に対し、老人福祉施設に対する訪問診療において、一部負担金を徴収していない及び歯科訪問診療料の算定要件となる1人あたり20分以上の診療が行われていない疑義があるとの情報提供があった。
2 個別指導の中断に至る経緯
平成24年2月16日、個別指導を実施したところ、管理者の歯科医師が、患者から一部負担金を徴収していないこと、また、老人福祉施設において実際は午前中しか訪問診療を行っていなかったにもかかわらず、午後にまたがって訪問診療を行ったように診療録に不実記載したこと、さらに実際には1名の歯科医師のみで訪問診療を行っていたにもかかわらず、2名の歯科医師で訪問診療を行ったように診療録に不実記載していたことを認めたため、個別指導を中断した。
3 個別指導に至る経緯
平成24年4月12日、個別指導を再開し診療内容を確認した結果、再診料を歯科訪問診療料2へ振替請求した疑義がより濃厚となったため、個別指導を中止し、監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 保険医について
@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
A 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
2 保険医療機関について
@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
A 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
B その他の請求
保険医療機関と患者の所在する施設の距離が16qを超えており、当該保険医療機関から訪問診療を必要とする絶対的な理由がないにもかかわらず、診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第 81 条第3号
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第 80 条第6号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成22年4月〜平成24年2月
不正請求 88名分 レセプト 446件 691万9951円
不当請求 19名分 レセプト 78件 19万5049円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
保険医療機関の指定をされた平成22年4月まで遡り、
保険者へ返還させることとしている。
原則として、登録の取消及び指定の取消相当日から5年間は、
保険医の再登録及び保険医療機関の再指定は行わない。
体調不良による個別指導の欠席
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 付増請求の疑義の情報提供
平成23年7月14日及び21日、大阪府後期高齢者医療広域連合から大阪府を通じて近畿厚生局に対し、複数の患者の歯冠修復物又はブリッジの請求において、クラウン・ブリッジ維持管理期間(装着した日から起算して2年以内)中に新たな歯冠修復物及びブリッジの製作・装着が保険請求されており、付増請求の疑義があるとの情報提供があった。
また、平成23年8月17日、豊中市からも大阪府を通じて同様の付増請求の疑義があるとの情報提供があった。
2 体調不良による個別指導の欠席
平成23年9月15日、個別指導を実施したところ、開設・管理者の歯科医師は、 診療録等を全く持参しなかったため、個別指導を中断した。その後、平成23年10月27
日、平成24年1月19日、3月15日及び11月22日のいずれの個別指導についても、歯科医師は、体調不良等の理由により個別指導を欠席した。
3 正当な理由のない欠席
平成24年12月21日、歯科医師の主治医に面談し、11月22日の状態を確認した結果、出席可能であったと判断し、同日の個別指導は、正当な理由がなく欠席したものと判断し、その旨通知した。
4 監査に至る経緯
平成25年1月31日、個別指導の再開を通知したところ、歯科医師は個別指導を欠席し、その後連絡もなかったことから、正当な理由なく個別指導を拒否したものと判断し、監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 架空請求
実際には行っていない保険診療を行ったものとして診療報酬を不正に請求していた。
2 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正に請求していた。
3 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第80条第2号、第3号及び第6号
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第3号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成22年4月〜平成24年12月
不正請求 10名分 レセプト 161件 2308万3241円
不当請求 7名分 レセプト 145件 433万4071円
※ 監査において判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査日から5年前まで遡り保険者へ返還させることとしている。
原則として、指定の取消及び登録の取消の日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
自費診療の保険請求
監査を行うに至った経緯
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査に至る経緯は以下のとおりです。
1 患者からの情報提供
平成23年11月16日、兵庫県健康福祉部社会福祉局医療保険課から、医療費通知を受け取った患者が、一部負担金の支払額と医療費通知の額とが相違すると申し出ているとの情報提供を受けた。
2 監査に至る経緯
平成24年8月9日及び9月20日、歯科医院に対し、近畿厚生局及び兵庫県が共同で個別指導を実施したところ、開設・管理者である歯科医師から自費診療を保険請求していた等の発言があったため指導を中止した。また、患者調査を実施した結果、保険適用外の磁性アタッチメント義歯であるにもかかわらず、保険適用の有床義歯として請求されていること、使用していない鉤、バーが請求されていること、レジン充填において単純なものを複雑なものとして請求していること等が強く疑われたため、平成24年12月13日から平成25年1月31日までの間、計6回の監査を実施した。
取消処分の主な理由
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 二重請求
自費診療として患者から費用を徴収しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
※ 取消処分の根拠条文
保険医療機関の指定の取消:
〇 健康保険法第80条第1号、第2号、第3号及び第6号
保険医の登録の取消:
〇 健康保険法第81条第1号及び第3号
診療報酬の不正、不当請求の金額
厚生労働省近畿厚生局の公表資料によれば、監査において確認した不正、不当請求に係るレセプト件数及び金額は、以下のとおりです。
平成20年11月〜平成24年8月
不正請求 92名分 レセプト 221件 211万5613円
不当請求 56名分 レセプト 182件 32万1792円
※ 監査で判明した分以外についても、
不正・不当請求のあったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者等へ返還させることとしている。
原則として、平成25年6月18日から5年間は、
再指定及び再登録は行わない。
歯科の個別指導、監査で、一部負担金の不徴収、体調不良での欠席に悩んでいる歯科医の方は、お電話下さい。個別指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。