サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。
歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。
ここでは、有床義歯の不正請求での保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消などの実例をご紹介します。
平成28年2月付、平成27年6月付及び平成26年12月付の取消処分であり、東海北陸厚生局の公表事例です。
説明のために、簡略化等をしています。
有床義歯の不正請求では、歯科技工指示書・納品書の記載材料等と診療報酬請求の内容の相違から、個別指導において、不正請求が疑われることがあります。本ケースのように、医療費通知と領収書の金額があわないとの情報提供に基づき個別指導となった場合は、不正請求がないか、厚生局は、情報提供に関係する部分を重点的にチェックします。そして、不正請求の疑義が解消しない場合などは、監査に移行することがあります。
歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。
個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の対応法
https://歯科弁護士.com/shika-kobetushidou.html
有床義歯の不正請求
行政処分に至った経緯
東海北陸厚生局の公表資料によれば、行政処分に至る経緯は以下のとおりです。
1 有床義歯の不正請求
保険者から東海北陸厚生局静岡事務所に対し、医療費通知と領収書を確認した結果、受診日数は同じであるが保険点数が相違するとの情報提供があった。
個別指導を実施したところ、有床義歯に関して技工指示書及び納品書には記載がない材料を診療録に記載し、診療報酬の請求を行っていることが疑われたことから個別指導を中断した。
患者調査を実施したところ、技工指示書及び納品書の内容と患者口腔内の有床義歯に係る材料は一致したものの、これらと診療録及び診療報酬明細書の内容が相違したことから、付増請求及び振替請求が疑われた。
個別指導を再開し、患者調査の結果について確認したところ、付増請求及び振替請求が強く疑われたことから個別指導を中止し、監査を実施した。
行政処分の主な理由
東海北陸厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
2 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
3 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
4 保険適用外の診療の保険請求
実際に行った保険適用外である診療を、保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
5 一部負担金の受領
不正請求分に係る一部負担金を受領していた。
診療報酬の不正請求の金額
東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年4月〜平成26年8月
不正請求 120名 311件 177万5558円
不当請求 54名 187件 15万6325円
※ 監査で判明した以外分についても、
不正・不当請求があったものについては、
監査の日から5年前まで遡り、
保険者へ返還させることとしている。
原則として指定の取消及び登録の取消日から5年間は、
保険医療機関の再指定及び保険医の再登録は行わない。
訪問歯科衛生指導料の不正請求
行政処分に至った経緯
東海北陸厚生局の公表資料によれば、行政処分に至る経緯は以下のとおりです。
1 訪問歯科衛生指導料の不正請求
審査支払機関から、関東信越厚生局長野事務所に対して、歯科医師が開設管理する長野県所在の歯科医院の歯科訪問診療に係る診療報酬請求について、画一的な口腔ケアを訪問歯科衛生指導料として請求している疑義があるとの情報提供があったため、長野事務所及び長野県が共同で個別指導を実施したところ、歯科訪問診療の診療内容と診療報酬の請求内容に相違があることを確認した。
平成25年3月31日付け廃止届が提出されたことから、平成25年4月から平成26年7月まで延べ7回の監査を関東信越厚生局及び長野県が共同して実施した。
行政処分の主な理由
東海北陸厚生局の公表資料によれば、取消処分の主な理由は以下のとおりです。
1 歯科訪問診療の付増請求
自らが行った保険診療及び他の保険医が行った保険診療について、外来診療を行ったにもかかわらず、歯科訪問診療を行ったものとして保険診療を付け増して診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
2 歯科訪問診療の振替請求
自らが行った保険診療及び他の保険医が行った保険診療について、外来診療を行ったにもかかわらず、保険点数の高い歯科訪問診療に振り替えて診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
3 保険適用外のメタルボンド冠の保険請求
自らが行った診療及び他の保険医が行った診療について、実際には保険適用外のメタルボンド冠による歯冠修復及び欠損補綴に係る診療を行ったにもかかわらず、保険診療を行ったものとして診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
4 保険適用外の有床義歯の保険請求
自らが行った診療及び他の保険医が行った診療について、実際には保険適用外の維持装置を使用した有床義歯に係る診療を行ったにもかかわらず、保険診療を行ったものとして診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
5 歯科訪問診療の不正請求
自らが外来診療を行ったにもかかわらず、他の保険医が歯科訪問診療を行ったものとして診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
6 付増請求
自らが行った保険診療及び他の保険医が行った保険診療について、実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
7 不当請求
算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求させていた。
診療報酬の不正請求の金額
東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正件数及び金額は、以下のとおりです。
平成25年4月〜平成26年7月
不正請求 106名 69万8530円
不当請求 100名 45万4124円
※ 保険医の再登録は、
原則として5年間は受けられず、
保険診療ができない。
受診していない医院での診療報酬請求
行政処分に至った経緯
東海北陸厚生局の公表資料によれば、行政処分に至る経緯は以下のとおりです。
1 受診していない医院での診療報酬請求
東海北陸厚生局指導監査課に、名古屋市健康福祉局保健医療課を経由して、名古屋市東区で受診しているにもかかわらず、医療費通知に受診したことのないみよし市の歯科診療所の名前が記載されている旨の情報提供があった。
個別指導を実施したところ、持参を指定した持参物に不足があったこと及び技工指示書と診療報酬明細書の材料名が一致しないことについて、明確な説明が得られなかったことから個別指導を中断した。
患者調査を実施した結果、名古屋市内の歯科診療所を受診したことがあるが名古屋市以外では歯科診療を受けたことがない、との回答を得た。
個別指導を再開し、患者調査の回答をもとに、みよし市に所在する歯科医院に通院歴がない旨を回答した患者に係る診療報酬の請求について明確な説明を得ることができず、保険医療機関として指定を受けていない場所で行った診療を保険医療機関である歯科医院で行ったものとして診療報酬の請求を行っていることが疑われたため、個別指導を中止し、監査において事実確認を行い、行政処分の主な理由の事実が判明した。
行政処分の主な理由
東海北陸厚生局の公表資料によれば、取消処分(取消相当)の主な理由は以下のとおりです。
1 保険医療機関外での診療の保険請求
保険医療機関として指定を受けていない場所で行った診療を、保険医療機関で行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
2 保存義務違反
保存期間が経過していないにもかかわらず、歯科エックス線写真を保存していなかった。
3 不当請求
算定要件を満たさない診療報酬を不当に請求していた。
これらは、保険医療機関又は保険薬局の責務を定めた健康保険法第70条第1項、並びに保険医療機関等の責務を定めた国民健康保険法第40条第1項、及び高齢者の医療の確保に関する法律第65条に違反する。
診療報酬の不正請求の金額
東海北陸厚生局の公表資料によれば、監査で判明した不正件数及び金額は、以下のとおりです。
平成23年4月〜平成26年8月
不正請求 25名 93件 73万5412円
不当請求 6名 11件 3万5315円
※ 取消相当となった日から5年を経過するまでの間に、
再指定の申請があった場合は、
保険医療機関として著しく不適当と認め再指定を行わない。
また、保険医の再登録は、
原則としてこの日より5年間は受けられず保険診療できない。
有床義歯の不正請求、個別指導に悩む歯科医の方は、お電話下さい。指導、監査への対応方法を弁護士がアドバイスします。