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自費と保険の二重請求での保険医取り消しの実例です。個別指導、監査にお悩みの歯科医の方は、歯科の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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指導監査の実例(23):自費と保険の二重請求

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、個別指導と監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、自費と保険の二重請求での、歯科の指導、監査による保険医療機関の指定の取消、保険医の登録の取消などの実例をご紹介します。平成29年3月付及び平成29年3月付の取消事案であり、九州厚生局及び東北厚生局の公表事例です。説明のために、簡略化等をしています。

自費と保険の二重請求は、不正請求の典型例の一つです。二重請求が行われている場合、レセコンのカルテの場合は、保険診療のカルテには、実際と異なる診療内容が記載されていることも多いと考えられます。二重請求は、患者や退職者からの情報提供、歯科技工指示書・納品書の内容、患者調査の結果などから、発覚することが多い印象です。二重請求が行われているケースでは、経験的に他の不正請求(振替請求や付増請求など)も行われていることがあり、そこで、厚生局としては、自費と保険の二重請求の他にも不正請求が行われているのではないか、疑義が生じるものと考えられます。

歯科の個別指導、監査に臨む歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への相談をお勧めします。個別指導、監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。

 【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法

自費と保険の二重請求


 取消処分に至った経緯

九州厚生局の公表資料によれば、個別指導から監査に至る経緯は以下のとおりです。

1 情報提供による個別指導

平成27年5月、九州厚生局大分事務所に「自費診療分(セラミック)で治療に来た患者について、自費診療分(セラミック)で治療したものを、他の治療をしたようにして保険請求も行われている。」との情報提供があった。

2 資料未持参による指導中断

平成27年9月、当該保険医療機関に対し個別指導を実施したところ、歯科医師から、実際には自費診療を行い、患者から自費診療分の支払いを受けていたにもかかわらず、これら患者に係る保険請求を行った旨の回答がなされた。
しかしながら、指導当日に持参するよう依頼していた資料の一部が未持参であったことから、個別指導を中断した。

3 患者調査の実施

患者調査を実施したところ、口腔内診査所見と診療報酬明細書の記載内容とに相違する点がみられた。

4 個別指導の再開

平成27年12月、個別指導を再開したところ、歯科医師が、自費診療を行った患者について、保険診療を行ったものとして診療報酬も請求していたことを改めて認めたことから不正請求が疑われ、個別指導を中止した。

 取消処分の主な理由

九州厚生局の公表資料によれば、取消処分の理由は以下のとおりです。

1 不正請求

@ 付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
実際には行っていない歯周病検査、歯周基本治療(スケーリング)、歯周基本治療処置等を、行ったものとして請求していた。

A 振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
支台歯が全部金属冠である前歯を含まないブリッジを、レジン前装金属冠を支台歯とした前歯を含むブリッジとして請求していた。

B 二重請求
自費診療として患者から費用を受領しているにもかかわらず、同診療を保険診療したかのように装い、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
保険適用外の材料であるセラミックを使用したブリッジ又は歯冠補綴物を、保険適用のブリッジ又は歯冠補綴物として請求していた。

C その他の請求
実際には保険適用外である診療を保険適用である診療を行ったものとして、診療報酬を不正に請求していた。
《 具体的事例 》
実際にはホワイトニング(自費診療)を行っているものについて、一連の保険診療をしたものとして請求していた。

2 不当請求

算定要件を満たさない医学管理等、処置、手術、歯冠修復及び欠損補綴に係る診療報酬を不当に請求していた。

 診療報酬の不正請求の金額

九州厚生局の公表資料によれば、監査で確認した不正請求、不当請求額は以下のとおりです。

 不正請求 27名分 レセプト45件 139万3615円
 不当請求 29名分 レセプト67件   5万9758円
 合計   56名分    112件 145万3373円
     (31名分)  ( 69件)


付け増しによる不正請求


 取消の主な理由

東北厚生局の公表資料によれば、保険医療機関及び保険医の取消の理由は以下のとおりです。

1 保険医療機関の取消

付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して、診療報酬を不正に請求していた。
例:有床義歯修理の請求時に実際には行っていない印象採得及び咬合採得に係る費用を請求していた。

振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて、診療報酬を不正に請求していた。
例:鋳造バーの製作を屈曲バーの製作としていた。
(※厚生局公表資料原文ママ)

その他の請求
保険適用外の延長ブリッジを製作及び装着したにもかかわらず、保険適用の延長ブリッジを製作及び装着したとして、診療報酬を不正に請求していた。

2 保険医の取消

付増請求
実際に行った保険診療に行っていない保険診療を付け増して診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
例:有床義歯修理の算定時に実際には行っていない印象採得及び咬合採得に係る費用を保険医療機関に不正に請求させていた。

振替請求
実際に行った保険診療を保険点数の高い別の診療に振り替えて診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。
例:鋳造バーの製作を屈曲バーの製作としていた。
(※厚生局公表資料原文ママ)

その他の請求
保険適用外の延長ブリッジを製作及び装着したにもかかわらず、保険適用の延長ブリッジを製作及び装着したとして診療録に不実記載し、保険医療機関に診療報酬を不正に請求させていた。

 診療報酬の不正請求の金額

東北厚生局の公表資料によれば、監査で確認した不正請求、不当請求額は以下のとおりです。

 不正請求額 42名分 136か月分 100万8031円
 不当請求額 26名分 123か月分  71万1597円
 合計    68名分 259か月分 171万9628円


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