歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、近畿厚生局の平成29年度の歯科の個別指導での、診療報酬請求に関する指摘事項(届出事項、掲示事項、施設基準、診療報酬請求、一部負担金など)をご説明します。 指摘事項は、近畿厚生局の公表資料「平成29年度 個別指導(歯科)における主な指摘事項」に基づいています。
近畿厚生局の指導に臨む歯科医の方は、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法
目次
T 保険診療等に関する事項
9 リハビリテーション
10 処置
11 手術
12 麻酔
13 歯冠修復
14 保険外診療
15 その他
U 診療報酬の請求等に関する事項
1 届出事項
2 掲示事項
3 施設基準
4 診療報酬請求
5 一部負担金
T 保険診療等に関する事項
9 リハビリテーション
(1)歯科口腔リハビリテーション料1
@ 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している例が認められたので改めること。
ア 調整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載していなかった。
A 同一月において、有床義歯の新製を前提に旧義歯の修理を行っていないにもかかわらず、新製有床義歯管理料と歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」の併算定を行っている例が認められたので改めること。
B 算定要件を満たしていない「ロ 困難な場合」を算定している例が認められたので改めること。
ア 「総義歯を新たに装着した患者又は総義歯を装着している患者」又は「9歯以上の局部義歯を装着し、かつ、当該局部義歯以外は臼歯部で垂直的咬合関係を有しない患者」以外の場合に「2
困難な場合」を算定していた。
C 診療録に記載すべき内容(調整方法及び調整部位又は指導内容の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
D 義歯の取扱いに関する情報提供を文書で行った際に、義歯の設計について誤って記載している例が認められたので、的確な記載を行うこと。
(2)歯科口腔リハビリテーション料2
@ 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料2を算定している例が認められたので改めること。
ア 療養上の指導又は訓練の実施内容等の要点を診療録に記載していなかった。
10 処置
(1)う蝕処置
@ 算定要件を満たしていないう蝕処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 算定部位ごとに処置内容等を診療録に記載していなかった。
イ う蝕歯に行った軟化象牙質の除去又は暫間充填、歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、根尖部の閉鎖状態の予後観察のために行った水酸化カルシウム系糊剤等による暫間根管充填に併せて行った暫間充填及び歯髄保護処置又は歯冠修復物の脱落時の再装着等を行うに当たって軟化象牙質等の除去又は燐酸セメント若しくはカルボキシレートセメント等を用いた暫間充填に該当していない場合に算定していた。
A 支台築造時に行うう蝕処置は支台築造の費用に含まれ算定できないにもかかわらず、誤って算定している例が認められたので改めること。
B 診療録に記載すべき内容(処置内容等)について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(2)咬合調整
@ 算定要件を満たしていない咬合調整を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯冠形態の修正を行った際に、修正理由、修正箇所を診療録に記載していなかった。
A 咬合調整に係る部位、症状、所見、診断について診療録に記載がなく、歯科医学的に適切な咬合調整を行ったことが確認できない例が認められたので改めること。
(3)知覚過敏処置
@ 仮着と同時に算定できない知覚過敏処置を誤って算定している例が認められたので改めること。
A 知覚過敏処置について、症状、所見、治療内容(使用薬剤名)、予後等に関する診療録記載がない又は記載不備の例が認められたので、適切に記載すること。
(4)歯内療法
@ 感染根管処置
ア 感染根管処置について、根管数を誤って算定している例が認められたので改めること。
イ 感染根管処置の算定において、1歯につき1回を限度として算定するところ誤って2回算定している不適切な例が認められたので改めること。
A 根管貼薬処置
ア 感染根管処置を算定している日に誤って根管貼薬処置を算定している例が認められたので改めること。
B 根管充填
ア 根管充填を含む一連の根管治療の費用の算定について、実際の根管数に基づいていない不適切な例が認められたので改めること。
イ 根管充填において、電気的根管長測定検査又は歯科エックス線撮影を実施していない不適切な例が認められたので、的確な診断を基に適切な治療を行うこと。
C 加圧根管充填処置
ア 算定要件を満たしていない加圧根管充填処置を算定している例が認められたので改めること。
・適切な加圧根管充填を行っていなかった。
・根管充填後に歯科エックス線撮影で根管充填の状態を確認していなかった。
・根管充填後に撮影した歯科用エックス線画像が根管充填の確認に利用できなかっ た。
イ 加圧根管充填処置について、実態として算定要件を満たす根管充填を行った根管数と算定した所定点数に対応する根管数が一致していない不適切な例が認められたので、適切な算定を行うこと。
ウ エックス線写真での根管形成の状態から判断して不適切な加圧根管充填が疑われる例が認められたので改めること。
D 抜歯を前提とした歯内療法
ア 抜歯を前提とした急性症状の消退のための根管拡大等について、症状、所見及び治療内容の診療録記載がない例が認められたので、適切に記載すること。
E その他
ア 歯内療法の実施に当たって、当該歯の症状、所見、予後経過等について診療録への記載が不十分な例が認められたので適切に記載すること。
(5)暫間固定
@ エナメルボンドシステム、線結紮法による暫間固定を行ったものについて、算定でいない装着に係る費用及び装着材料料を算定している例が認められたので改めること。
A 検査結果又は診療内容から判断して、必要性の認められない暫間固定(簡単なもの、困難なもの)を算定している不適切な例が認められたので改めること。
B 暫間固定を行った部位、症状、所見、経過等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(6)床副子
@ 歯ぎしりに対する咬合床(上顎又は下顎のいずれかに装着するもの)を「3 著しく困難なもの」として算定している例が認められたので改めること。
A 顎関節症又は歯ぎしりに係る症状、所見等の診療録記載が不十分であり、診断根拠や治療経過が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
(7)床副子調整
@ 算定要件を満たしていない床副子調整を算定している例が認められたので改めること。
ア 調整の部位、方法を診療録に記載していなかった。
(8)歯冠修復物又は補綴物の除去
@ 算定要件を満たしていない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯根の長さの3分の1以上のポストにより根管内に維持を求めるために製作された鋳造体以外のものについて算定していた。
イ スクリューポストを除去した場合に、誤って歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定していた。
A 除去した歯冠修復物、補綴物の部位又は種類について、診療録に記載していない例が認められたので、的確に記載すること。
B ブリッジのポンティックの除去に際し、ポンティックの歯数より多い算定を行っている例が認められたので改めること。
C 同一歯について2個以上の歯冠修復物(支台築造を含む)又は欠損補綴物の除去を一連に行った場合に、主たる除去の所定点数以外の除去に係る費用を算定している例が認められたので改めること。
D 抜歯と同時の歯冠補綴物の除去について、除去に係る費用を算定している例が認められたので改めること。
E 除去した歯冠修復物・補綴物の種類について、診療録の記載内容が不十分な例が認められたので、的確な記載を行うこと。
(9)有床義歯床下粘膜調整処置
@ 算定要件を満たしていない有床義歯床下粘膜調整処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 旧義歯が不適合で義歯の床裏装や再製が必要とされる場合以外で算定していた。
(10)機械的歯面清掃処置
@ 算定要件を満たしていない機械的歯面清掃処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯科衛生士が機械的歯面清掃処置を行った場合に、当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載していなかった。
A 歯科衛生士が機械的歯面清掃処置を行った場合に、診療録に記載すべき内容(当該歯科衛生士の氏名)について、記載が不十分であったので改めること。
11 手術
(1)抜歯手術
@ 算定要件を満たしていない難抜歯加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯根肥大、骨の癒着歯、歯根彎曲等に対して骨の開さく又は歯根分離術等を行っていない場合に、難抜歯加算を算定していた。
A 抜歯手術(難抜歯加算又は埋伏歯)における症状、所見、手術内容又は予後について、診療録に記載していない又は診療録の記載内容が不十分な例が認められたので、 適切に記載すること。
B 算定要件を満たしていない抜歯手術「4 埋伏歯」(並びに下顎完全埋伏智歯(骨性)又は下顎水平埋伏智歯の場合の加算)を算定している例が認められたので改めること。
ア 骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯に該当しない場合に算定していた。
C 骨性の完全埋伏智歯に該当しない症例に対して、誤って骨性完全埋伏智歯と診断していたので、的確な診断を行うこと。
(2)口腔内消炎手術
@ 算定要件を満たしていない口腔内消炎手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 手術部位、症状及び手術内容の要点を診療録に記載していなかった。
A 診療録に記載すべき内容(手術部位、症状及び手術内容の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
B 不適切な口腔内消炎手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 智歯周囲炎について、適切な診査診断に基づかず、口腔内消炎手術「智歯周囲炎の歯肉弁切除等」を漫然と実施していた。
(3)歯根嚢胞摘出手術
@ 算定要件を満たしていない歯根嚢胞摘出手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たないものに係る手術を、歯根嚢胞摘出手術「1歯冠大のもの」として算定していた。
A 歯科エックス線撮影等により歯根嚢胞の状態を確認していないにもかかわらず、歯根嚢胞摘出手術を算定していた不適切な例が認められたので改めること。
12 麻酔
(1)伝達麻酔・浸潤麻酔
@ 麻酔の費用を算定できない場合においても、麻酔を行った際には、行った麻酔方法、使用した麻酔薬剤の名称、使用量を診療録に記載すること。
A 浸潤麻酔における麻酔薬剤の使用量について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
B 必要性の認められない伝達麻酔の算定が認められたので改めること。
13 歯冠修復及び欠損補綴
(1)補綴時診断料
@ 算定要件を満たしていない補綴時診断料を算定している例が認められたので改めること。
ア 製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していなかった。
A 診療録に記載すべき内容(製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
B 破折した義歯の修理を行う際に、誤って補綴時診断(1以外の場合)を算定している不適切な例が認められたので改めること。
(2)クラウン・ブリッジ維持管理料
@ 算定要件を満たしていないクラウン・ブリッジ維持管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 患者に提供した文書の写しを診療録に添付していなかった。
A クラウン・ブリッジ維持管理期間中に、当該補綴部位に係る新たな歯冠補綴物又はブリッジの製作・装着した場合の一連の費用を誤って算定している例が認められたので改めること。
B 患者への提供文書に記載すべき内容(補綴部位、装着日)について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
C 患者等に提供すべき提供文書の原本を診療録に添付し、写しを患者等に提供している例が認められたので、患者等に文書の原本を提供したうえ診療録に当該文書の写しを添付すること。
(3)歯冠修復
@ 同一部位に対するう蝕歯即時充填形成及び充填を極めて短期間に繰り返し算定している不適切な例が認められたので改めること。
A 充填に使用した材料名について診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
B 残根の根面を被覆した場合に、誤ってう蝕歯即時充填形成、充填「複雑なもの」を算定している例が認められたので改めること。
C 支台築造及び金属歯冠修復の保険医療材料の費用について、誤って小臼歯を大臼歯として算定している不適切な例が認められたので改めること。
D 使用材料名について診療録に記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
ア 補綴物等の使用金属名、印象採得に係る使用材料名
E 修復した歯の部位(面)、使用材料名について診療録に記載していない例が認められたので、適切に記載すること。
(4)ブリッジ
@ 「ブリッジの考え方 2007」(平成19年11月 日本歯科医学会)の指数から算出した結果、要件を満たしていない不適切なブリッジが認められたので改めること。
A 使用材料名について診療録に記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
B 脱離したブリッジの再装着について、新製ブリッジ製作を前提とした暫間使用を目的にしているにもかかわらず、再装着に係る一連の費用を算定している不適切な例が認められたので改めること。
(5)有床義歯
@ 有床義歯において、印象採得に係る使用材料名について診療録の記載に不備が認められたので適切に記載すること。
A 残根歯に対して、適切な歯内療法及び根面被覆処置を行わずに残根上義歯を製作している例が認められたので改めること。
B 高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆処置が完了できなかった場合に義歯を製作したとき、その理由を診療録に適切に記載していない例が認められたので改めること。
C 「遠隔地への転居のため通院が不能になった場合」、「急性の歯科疾患のため喪失歯数が異なった場合」等に該当しない場合において、前回有床義歯を製作した際の印象採得を算定した日から起算して6カ月を経過せずに新たな有床義歯の製作を行っている不適切な例が認められたので改めること。
D 保持装置(1歯欠損に相当する孤立した中間欠損部位を含む有床義歯において鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子)に該当しないにもかかわらず、保持装置として算定している例が認められたので改めること。
(6)有床義歯修理
@ 算定要件を満たしていない有床義歯修理を算定している例が認められたので改めること。
ア 修理内容の要点を診療録に記載していなかった。
A 診療録に記載すべき内容(修理内容の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
B 算定要件を満たしていない歯科技工加算1を算定している例が認められたので改めること。
ア 修理を担当する歯科技工士の氏名、修理の内容を診療録に記載していなかった。
(7)有床義歯内面適合法
@ 有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)を行った場合に、実施内容の診療録への記載がない、又は不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
A 算定要件を満たしていない有床義歯内面適合法「2 軟質材料を用いる場合」を算定している例が認められたので改めること。
ア 「2 軟質材料を用いる場合」の算定に当たって、間接法により床裏装を行っていなかった。
14 保険外診療
(1)保険外診療で製作した歯冠修復及び欠損補綴等(支台築造印象、支台築造)について、誤って保険請求している不適切な例が認められたので改めること。
(2)保険外診療(歯科矯正に係る便宜抜歯)に伴う一連の費用について、誤って保険請求している不適切な例が認められたので改めること。
(3)保険診療と保険外診療の峻別を図ること。
15 その他
(1)特掲診療料に係る著しく歯科診療が困難な者の加算
@ 算定要件を満たしていない著しく歯科診療が困難な者の特掲診療料に係る100分の30、50、70加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載していなかった。
イ 著しく歯科診療が困難な者に該当しないにもかかわらず、当該加算を算定していた。
ウ 治療を直接行う歯科医師に加え、患者の行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画していなかった。
U 診療報酬の請求等に関する事項
1 届出事項
(1)次の届出事項について、変更が認められたので速やかに近畿厚生局長あてに届出すること。
@ 保険医の異動
A 標榜診療科目の変更
B 休診日の変更
C 施設基準等における届出事項の変更
D 診療時間の変更
E 届出事項に係る辞退
F 金属床による総義歯に係る金属の種類の追加、金属の金額
G う蝕に罹患した患者の指導管理の実施に係る、指導管理の種類及び金額
(2)歯科衛生実施指導料又は訪問歯科衛生指導料を算定した保険医療機関は、毎年7月1日現在で名称、開設者、常勤非常勤ごとの歯科衛生士数等を近畿厚生局長あてに報告すること。
2 掲示事項
(1)保険医療機関の掲示事項に関して適切ではない部分が認められたので、早急に改善すること。
@ 明細書発行に関する状況に係る院内掲示を行っていなかった。
A 明細書発行に関する状況に係る院内掲示について、告示及び通知に基づく内容となっていなかった。
B 次の施設基準等について掲示を行っていなかった。
ア 歯科外来診療環境体制加算
イ 歯科治療総合医療管理料
ウ かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所
エ 在宅療養支援歯科診療所
オ 在宅患者歯科治療総合医療管理料(T)及び(U)
カ 歯科訪問診療に係る地域医療連携体制加算
キ 歯科訪問診療料の注 13 に規定する基準
ク 在宅歯科医療推進加算
ケ 歯科口腔リハビリテーション料2
コ CAD/CAM冠 サ クラウン・ブリッジ維持管理料
シ 金属床による総義歯の提供
ス う蝕に罹患している患者の指導管理
C 次の施設基準等について掲示内容が不十分であった。
ア 金属床による総義歯の提供
イ う蝕に罹患している患者の指導管理
D 次の届出していない施設基準を掲示していた。
ア 在宅療養支援歯科診療所
3 施設基準等
(1)歯科外来診療環境体制加算
@ 当該保険医療機関の見やすい場所に、緊急時における連携保険医療機関との連携方法やその対応の院内掲示を行っていなかったので改めること。
4 診療報酬請求
(1)総論的事項
@ 診療録と診療報酬明細書において、診療内容、部位、病名、所定点数、合計点数、開始年月日について不一致が認められたので、十分に照合・確認を行うこと。
A 帳簿、伝票等の関係書類については、所定の期間(3年間)保存しておくこと。
B 診療録と診療報酬明細書及び歯科技工関係書類において、技工物の内容、部位及び設計について不一致が認められたので、十分に照合・確認を行うこと。
C 審査支払機関からの返戻、増減点連絡書は、内容を十分検討し、以後の診療や保険請求に反映させるなどその活用を図ること。また、保管・管理についても留意すること。
D 傷病名において独自の略称が認められたので改めること。
(2)診療報酬明細書の記載
@ 歯科訪問診療料を算定した場合、「摘要」欄に歯科訪問診療を行った日付、実施時刻(開始時刻と終了時刻)、患者の状態を記載すること。
A 歯科訪問診療料を複数回請求する場合は、「その他」欄にその算定回数を記載すること。
B 「摘要」欄に記載する実施時刻について、歯科訪問診療料と訪問歯科衛生指導料を区分して記載すること。
C 歯冠修復物及び補綴物の除去を算定した場合は、「摘要」欄に除去した歯冠修復物及び補綴物の部位及び種類を記載すること。
D エナメルボンドシステムにより暫間固定を行った場合は、その算定に当たって、「摘要」欄に固定を行った部位及びその方法を記載すること。
E 傷病名の部位から、咬合機能回復が困難な者であることが判断できない場合は、「摘要」欄にその内容(例:「臼歯部のすれちがい咬合」、「対顎に総義歯を装着」)を記載すること。
F 残根上に義歯を装着した場合に「摘要」欄に、その旨記載されていない例が認められたので適切に記載すること。
5 一部負担金等
(1)一部負担金
@ 一部負担金の徴収について、適切に徴収していない例が認められたので改めること。
ア 徴収すべき者から適切に徴収していなかった。
イ 計算方法が誤っていた。
A 未収の一部負担金の管理が不十分である(管理簿を作成していない、納入督促を行っていない)ので改めること。
B 審査支払機関が行った減額査定を認容した結果、一部負担金に過徴収が生じた場合は、患者に適切に返金等の対応をすること。
(2)領収証・明細書
@ 領収証について、適切に交付していない例が認められたので改めること。
A 明細書について、患者から交付を希望しない旨の申し出がない場合は、個別の診療報酬点数の項目の分かる明細書を発行しなければならないので改めること。
近畿厚生局の指導に臨む歯科医の方は、お電話下さい。個別指導への対応を弁護士がアドバイスし、指導に同席します。