歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
ここでは、平成30年度の歯科の厚生局の個別指導での、保険診療、保険請求に関する指摘事項をご説明します。 指摘事項は、近畿厚生局の公表資料「平成30年度 個別指導(歯科)における主な指摘事項」に基づいています。
厚生局の指導に臨む歯科医の方は、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法
目次
T 保険診療等に関する事項
1 診療録
2 基本診療料
3 特掲診療料
U 診療報酬の請求等に関する事項
1 届出事項
2 掲示事項
3 基本診療料の施設基準等
4 診療報酬請求
5 一部負担金等
T 保険診療等に関する事項
1 診療録等
1 診療録等
(1)診療録
@ 診療録の整備及び保管状況について不備な例が認められたので改めること。
A 診療録は保険請求の根拠であることを認識し、必要な事項を十分に記載すること。
B 実際に診療を担当した保険医が、診療の都度、遅滞なく的確に記載すること。
C 複数の保険医が従事する保険医療機関においては、診療の責任の所在を明確にするために、診療を担当した保険医は診療録を記載した後、署名又は記名押印すること。
D 保険医が実施した診療内容について、診療録が歯科医師以外の者(歯科衛生士、歯科助手、事務員)により記載されている例が認められたので、診療録は原則として診療を担当した保険医が記載すること。やむを得ず口述筆記等を行う場合には、保険医自らが記載内容に誤りがないことを確認のうえ、署名又は記名押印すること。
E パーソナルコンピュータ等電子機器により作成した診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので改めること。
ア 診療を行った保険医の署名又は記名押印がない。
(署名・押印無く記名のみ、署名・記名無く押印のみ、署名及び記名押印無し)
イ 診療を行った場合に遅滞なく診療録を印刷していない。
F 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容に次の不備な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。
ア 部位、傷病名、開始年月日、終了年月日、転帰、主訴、口腔内所見について記載がない、不十分である、欄外に記載している又は誤っている。
イ 傷病名にP、G、C、Pul、Perの略称病名で病態に係る記載がない。
ウ 歯科医学的に診断根拠のない、いわゆるレセプト病名が認められる。
G 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容に次の不備な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。
ア 症状、所見、処置内容、指導内容、検査結果、画像診断所見、医学管理等の内容、投薬内容、材料名、診療方針、診療月日、部位、点数又は一部負担金徴収額について記載がない、不十分である又は
画一的である。
H 診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので改めること。
ア 診療行為の手順と異なった記載
イ 行間を空けた記載
ウ 療法・処置欄への 1 行に対し複数行の記載
エ 判読困難な記載
オ 欄外への記載
カ 鉛筆による記載
キ 二本線で抹消せず(塗りつぶし、修正液、修正テープ、砂消し、貼り紙)による訂正
ク 訂正または追記した者、内容又は日時が不明
ケ 処置部位を誤って記載
I 独自の又は現在使用されていない略称を使用している例が認められたので、略称を使用するに当たっては、「歯科の診療録及び診療報酬明細書に使用できる略称について(平30.3.20保医発0320第6号)」を参照し適切に記載すること。
J 実際に行った診療内容について、診療録に記載していない例が認められたので、適切に記載すること。
K 歯冠修復及び欠損補綴について、保険外診療へ移行した場合は、診療録に保険外診療への移行や当該部位に係る保険診療が完結している旨を明確に記載すること。
L 診療録が散逸しないように適切に編綴すること。
M 実際に行った診療内容については、保険請求の有無にかかわらず適切に診療録に記載すること。
(2)歯科技工指示書・歯科衛生士業務記録
@ 歯科技工指示書に記載すべき内容(患者の氏名、設計、作成の方法、使用材料、発行の年月日、発行した歯科医師の氏名及び当該歯科医師の勤務する病院又は診療所の所在地、作成が行われる歯科技工所の名称及び所在地)に不備が認められたので改めること。
A 歯科技工指示書について、保存義務のある3年以内に破棄している又は紛失している例が認められたので、適切に整理・保管すること。
B 歯科技工指示書の発行がなく委託外注技工を行っている例が認められたので、所定の内容を記載した歯科技工指示書を発行すること。
C 診療録、歯科技工指示書等との間で製作内容又は製作部位が一致しない例が認められたので十分に照合・確認すること。
(3)提供文書
@ 歯科疾患管理料又はクラウン・ブリッジ維持管理料に係る提供文書の原本を診療録に添付し、写しを患者等に提供している例が認められたので、患者等に文書の原本を提供し診療録に当該文書の写しを添付すること。
2 基本診療料
1 基本診療料等
(1)初・再診料
《歯科初(再)診料》
《地域歯科診療支援病院歯科初(再)診料》
@ 診療が継続していると推定される場合に対して歯科初診料を誤って算定している不適切な例が認められたので改めること。また、歯周基本治療(スケーリング)について、2回目以降と算定すべきところを1回目として誤って算定していたので改めること。
A 歯周疾患等の慢性疾患である場合等であって、同一の疾病又は負傷に係る診療が継続していると推定される場合に歯科初診料又は地域歯科診療支援病院歯科初診料を誤って算定している不適切な例が認められたので改めること。
B 歯冠修復又は欠損補綴において、一連の行為のために同日に2以上の再診を行った場合に、算定できない複数回の歯科再診料を誤って算定している例が認められたので改めること。
(2)初・再診料の加算
《歯科診療特別対応加算》
@ 算定要件を満たしていない歯科診療特別対応加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 患者が著しく歯科診療が困難な者に該当していない。
イ 当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載していない。
A 歯科診療特別対応加算に係る診療録に記載すべき内容(算定した日の患者の状態)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の患者の状態に応じて適切に記載すること。
(3)その他
@ 診療を行う場合に、療担規則第 21 条第1号ロに定められた患者の服薬状況及び薬剤服用歴の確認が不十分な例が認められたので改めること。また、服薬があれば当該薬剤の副作用歴も確認すること。
3 特掲診療料
1 医学管理等
(1)歯科疾患管理料
@ 算定要件を満たしていない歯科疾患管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 有床義歯を原因とする疾患に係る治療のみの患者に対して算定している。
イ 1回目の管理計画(患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況を含む生活習慣の状況等)、口腔の状態(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)、必要に応じて実施した検査結果等の要点、治療方針の概要等、歯科疾患の継続的管理を行う上で必要となる情報)を診療録に記載していない。
ウ 歯科疾患管理料を算定した月に、当該管理に係る要点について診療録に記載していない。
エ 1回目に患者の主訴に関する管理を開始し、2回目以降に歯周病やその他の疾患も含めた管理を行う場合に、新たな検査結果や管理計画の変更点について、患者等に説明した内容を診療録に記載していない。
オ 継続管理を行っていないにもかかわらず算定している。
A 診療録に記載すべき1回目の管理計画について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
ア 患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況を含む生活習慣の状況等)
イ 口腔の状態(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)
ウ 必要に応じて実施した検査結果等の要点
エ 治療方針の概要等
オ 歯科疾患の継続的管理を行う上で必要となる情報
B 歯科疾患管理料を算定した月に、診療録に記載すべき管理に係る要点について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
《文書提供加算》
@ 算定要件を満たしていない文書提供加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 管理計画の内容について、検査に基づいた適切な情報提供を行っていない。
A 文書提供加算に係る提供文書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
ア 患者氏名、性別、生年月日、患者の基本状況(全身の状態・基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況を含む生活習慣の状況等)、口腔の状態(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)
イ 必要に応じて実施した検査結果等の要点
ウ 治療方針の概要等
B 歯科疾患と全身の健康との関係
ア 生活習慣の改善目標
C 管理計画書の写しを診療録へ添付する際、その文書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載すること。
《エナメル質初期う蝕管理加算(かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所)》
@ 算定要件を満たしていないエナメル質初期う蝕管理加算を算定している例が認められたので改めること。
ア エナメル質初期う蝕に対して、フッ化物歯面塗布又は口腔内カラー写真の撮影を行っていない。
イ 当該管理を行った場合に、患者等に対して説明した内容の要点を診療録に記載していない。
(2)歯科衛生実地指導料 [B001-2]
《歯科衛生実地指導料1》略:実地指1
@ 算定要件を満たしていない歯科衛生実地指導料1を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載していない。
イ 患者に提供した文書の写しを診療録に添付していない。
ウ 情報提供文書に記載すべき内容(指導等の内容、口腔衛生状態(う蝕又は歯周病に罹患している患者はプラークの付着状況を含む。)、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、保険医療機関名、主治の歯科医師の氏名、指導を行った歯科衛生士の氏名)を記載していない。
エ 歯科衛生士による実地指導を 15 分以上実施していない。
A 診療録に記載すべき内容(歯科衛生士に行った指示内容等の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
B 情報提供文書に記載すべき実地指導を行った時間について、画一的に記載している例が認められたので、実態に沿った適切な実施時刻(開始時刻と終了時刻)を記載すること。
C 情報提供文書に記載すべき内容(指導等の内容、口腔衛生状態(う蝕又は歯周病に罹患している患者はプラークの付着状況を含む。)、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、保険医療機関名、主治の歯科医師の氏名、指導を行った歯科衛生士の氏名)について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(3)歯周病患者画像活用指導料
@ 算定要件を満たしていない歯周病患者画像活用指導料を算定している例が認められたので改めること。
ア プラークコントロールの動機付けを目的とした歯周疾患の状態を示す写真撮影を行っていない。
A 口腔内カラー写真の整理・保管に不備な例が認められたので、適切に整理・保管すること。
(4)歯科特定疾患療養管理料
@ 算定要件を満たしていない歯科特定疾患療養管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者に該当していない。
(5)歯科治療時医療管理料
@ 算定要件を満たしていない歯科治療時医療管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯科治療時における患者の全身状態の変化等を把握するため、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度を経時的に監視し、必要な医療管理を行うべきであるにもかかわらず、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度の経時的な監視を行っていない。
(6)診療情報提供料(T)
@ 算定要件を満たしていない診療情報提供料(T)を算定している例が認められたので改めること。
ア 交付した文書の写しを診療録に添付していない。
A 治療の可否に関する問い合わせ又は診療内容の報告について、診療情報提供料(T)を誤って算定している例が認められたので改めること。
B 医療機関への紹介に当たっては、「別紙様式11」又はこれに準じた様式の文書に必要事項を記載すること。
(7)薬剤情報提供料
@ 情報提供文書に記載すべき内容(処方した薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用、相互作用)について、記載の不十分又は不適切な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(8)新製有床義歯管理料
@ 算定要件を満たしていない新製有床義歯管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 患者等に提供した文書の写しを診療録に添付していない。
イ 有床義歯の管理に係る文書に指導内容等の要点を記載していない。
A 情報提供文書に記載すべき内容(欠損の状態、指導内容等の要点、保険医療機関名、担当歯科医師の氏名)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
2 在宅医療
(1)歯科訪問診療料
@ 算定要件を満たしていない歯科訪問診療料を算定している例が認められたので改めること。
ア 第1回目の歯科訪問診療の際に、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画の要点を診療録に記載していない又は当該計画書の写しを診療録に添付していない。
イ 実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問先名、歯科訪問診療の際の患者の状態等(急変時の対応の要点を含む)を診療録に記載していない。
A 診療録に記載すべき内容(患者の病状に基づいた訪問診療計画の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
B 診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。
ア 実施時刻(開始時刻と終了時刻)
イ 訪問先名(歯科訪問診療を開始した日に限り記載するものとするが、変更が生じた場合はその都度記載する)
ウ 歯科訪問診療の際の患者の状況等(急変時の対応の要点を含む)
(2)歯科訪問診療料の加算
《歯科診療特別対応加算》
@ 算定要件を満たしていない歯科診療特別対応加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 著しく歯科診療が困難な者に該当していない。
A 歯科診療特別対応加算に係る診療録に記載すべき内容(算定した日の患者の状態)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の患者の状態に応じて適切に記載すること。
(3)訪問歯科衛生指導料
@ 算定要件を満たしていない訪問歯科衛生指導料を算定している例が認められたので改めること。
ア 実地指導内容が単なる日常的口腔清掃等のみである。
イ 歯科衛生士等に指示した内容を診療録に記載していない。
A 診療録に記載すべき内容(歯科衛生士等に指示した内容、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問先名(訪問歯科衛生指導を開始した日に限り記載することとするが、変更が生じた場合は、その都度記載すること)、訪問した日の患者の状態の要点等について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(4)在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料
@ 算定要件を満たしていない在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 摂食機能障害を有する患者(摂食機能療法の対象となる患者)に該当していない。
3 検査
(1)電気的根管長測定検査
@ 算定要件を満たしていない電気的根管長測定検査を算定している例が認められたので改めること。
ア 検査結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。
A 電気的根管長測定検査を実際とは異なる根管数で誤って算定している例が認められたので改めること。
(2)細菌簡易培養検査
@ 算定要件を満たしていない細菌簡易培養検査を算定している例が認められたので改めること。
ア 検査結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。
(3)歯周病検査
《歯周基本検査》
@ 算定要件を満たしていない歯周基本検査を算定している例が認められたので改めること。
ア 必要な検査のうち歯周ポケット測定(1点以上)又は歯の動揺度の結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。
イ 歯周病検査を1口腔単位で実施していない。
A 混合歯列期の患者に対し、必要性の認められない歯周基本検査を実施している例が認められたので、適切な検査を選択すること。
B 歯周基本検査における歯周ポケット測定又は歯の動揺度の記載に不備な例が認められたので、適切に記載すること。
《歯周精密検査》
@ 算定要件を満たしていない歯周精密検査を算定している例が認められたので改めること。
ア 必要な検査のうちプロービング時の出血の有無又はプラークチャートを用いたプラークの付着状況を実施していない。
イ 必要な検査のうち歯周ポケット測定(4点以上)、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度又はプラークチャートを用いたプラークの付着状況の結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。
A 臨床所見、画像診断所見、処置内容、症状経過等から判断し、必要性の認められない歯周精密検査を算定している例が認められたので、適切な検査を選択すること。
B 画一的に歯周精密検査を実施している例が認められたので、歯周疾患の状態、治療の内容等により、歯周基本検査、歯周精密検査の必要性を十分に考慮した上で、検査を選択すること。
《混合歯列期歯周病検査》
@ 算定要件を満たしていない混合歯列期歯周病検査を算定している例が認められたので改めること。
ア 必要な検査のうちプラークチャートを用いたプラークの付着状況又はプロービング時の出血の有無を実施していない。
イ 必要な検査のうちプロービング時の出血の有無の結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。
A 混合歯列期歯周病検査の実施に際しては、歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石沈着の有無を確認すること。
B 混合歯列期歯周病検査におけるプラークチャートを用いたプラークの付着状況又はプロービング時の出血の有無の記載に不備な例が認められたので、適切に記載すること。
《その他》
@ 歯周基本治療から次の歯周病検査までの間隔が極めて短く、歯科医学的に不適切な例が認められたので改めること。
A 歯周病検査において、残根歯(歯内療法、根面被覆処置を行って積極的に保存した残根を除く。)を検査歯数として数えている例が認められたので改めること。
B 臨床所見、治療経過、画像診断所見等から判断して、歯周病検査の結果に不備な例が認められたので、検査手技の改善を図り的確に実施すること。
C 2回目以降の歯周病検査は、歯周基本治療による歯周組織の変化の比較検討(歯周基本治療等の効果、治療の成否、治療に対する反応等を把握し、治癒の判断又は治療計画の修正)、歯周外科手術実施後の歯周組織の変化の比較検討を目的として実施するものであるので、検査については適切な期間をあけて実施すること。
(4)顎運動関連検査
@ 算定要件を満たしていない顎運動関連検査を算定している例が認められたので改めること。
ア チェックバイト検査の測定結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を添付していない。
イ チェックバイト検査において顔弓(フェイスボウ)又は半調節性咬合器を使用していない。
A 診療録に記載すべき内容(検査結果)について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
4 画像診断
《診断料》
@ 算定要件を満たしていない画像診断における診断料を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影又は歯科用3次元エックス線断層撮影を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない。
イ 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影又は歯科用3次元エックス線断層撮影を行った場合に、診療録に記載している写真診断に係る必要な所見が実態と異なっている。
A 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影又は歯科用3次元エックス線断層撮影を行った場合に、診療録に記載すべき内容(写真診断に係る必要な所見)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
《画像診断に係る一連の費用》
@ 不適切な画像診断に係る一連の費用を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯科エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影において、治療に必要な部位が撮影されていない。
イ 歯科エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影において、画像が不鮮明で診断に利用できない。
A 必要性の認められない歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影又は歯科用3次元エックス線断層撮影を算定している例が認められたので改めること。
B 撮影した歯科エックス線写真又は歯科パノラマ断層写真において、現像・画像処理が適切でない、変色した、画像への不適切な書き込みを行っていた又は撮影年月日・患者氏名が判断できない例が認められたので、適切に取り扱うこと。
C 歯科パノラマ断層撮影において、位置づけを適切に行っていない例が認められたので改めること。
5 投薬
(1)投薬
@ 医薬品医療機器等法の承認事項(適応(効能・効果)、用法(用法・用量))からみて、不適切な投薬が認められたので改めること。
ア 適応外 (ロルカム錠4r)
イ 用法外 (セフゾンカプセル100r)(ネオステリングリーンうがい液0.2%)
ウ 過剰投与(ジスロマック錠250r、アズレン含嗽用散、ネオステリングリーンうがい液0.2%、アフタゾロン口腔用軟膏0.1%)
A 患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認せずに投薬している例が認められたので改めること。
B 処置内容、症状等にかかわらず、画一的な投薬をしている例が認められたので、病名、症状、又は経過等を考慮のうえ、投与薬剤、投与日数、投与量又は投与方法をその都度決定すること。
C 投薬を行うに当たっては、医薬品医療機器等法の承認事項に加え、薬剤の重要な基本的注意事項を考慮し、個々の症例に応じて適切に行うこと。
6 歯周治療
(1)診断等
@ 「歯周病の診断と治療に関する基本的な考え方」(平成30年3月 日本歯科医学会)を参照し、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。
A 歯周病検査、画像診断の結果が診断、治療に十分活用されず、診断根拠、治療方針、治癒の判断及び治療計画の修正等が不明確であるので改めること。
B 歯周病に係る症状、所見、治癒の判断又は治療計画等の診療録への記載がなく又は不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
C 歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後又は治癒後に行うことが望ましいため、歯周治療後の歯周病検査、画像診断等で適切な治癒確認を行ったうえ、補綴治療を開始すること。
D 歯周病検査、画像診断の結果から、歯周病の診断が適切に行われていない例が認められたので改めること。
(2)歯周疾患処置
@ 歯周疾患処置時の歯周ポケット内への薬剤注入において、特定薬剤として承認された用法以外の方法で使用している不適切な例が認められたので改めること。
(3)歯周基本治療
@ 必要性の認められないスケーリング・ルートプレーニング又は歯周ポケット掻爬を算定している例が認められたので、歯周病検査の結果、画像診断等に基づく適確な診断及び治療計画により適切な治療を行うこと。
A 歯周基本治療(スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング)において、残根歯(歯内療法、根面皮膜処置を行って積極的に保存した残根を除く。)を誤って治療の対象歯として含めている不適切な例が認められたので改めること。
(4)歯周病安定期治療(U)
@ 管理計画書の内容が画一的又は不十分な例が認められたので、記載の充実を図ること。
(5)歯周基本治療処置
@ 算定要件を満たしていない歯周基本治療処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 使用した薬剤名を診療録に記載していない。
(6)歯周治療用装置
@ 算定要件を満たしていない歯周治療用装置を算定している例が認められたので改めること。
ア 重度の歯周病で長期の治療期間が予測される歯周病の患者に対して、治療中の咀嚼機能の回復及び残存歯への咬合の負担の軽減等を目的とするために装着する冠形態又は床義歯形態の装置とは認められないものに算定している。
(7)歯周外科手術
@ 算定要件を満たしていない歯周外科手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 手術部位及び手術内容の要点を診療録に記載していない。
A 不適切な歯周外科手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯周病検査の結果、診療録の記載内容等から判断して、適正に実施していたと認められない歯肉剥離掻爬手術を算定している。
B 歯周病検査の結果、診療録の記載内容等から判断して、必要性の認められない歯肉剥離掻爬手術を算定している例が認められたので改めること。
C 歯周外科手術(歯肉剥離掻爬手術)における症状、所見、手術部位、手術内容又は予後について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、記載の充実を図ること。
(8)歯周病患者の補綴治療
@ 歯周治療に先行して、又は歯周治療と並行して歯冠修復、ブリッジ又は有床義歯に係る治療が行われた例が認められたので改めること。
7 リハビリテーション
(1)歯科口腔リハビリテーション料1
《歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」》
@ 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している例が認められたので改めること。
ア 調整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載していない。
A 診療録に記載すべき内容(調整方法及び調整部位又は指導内容の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(2)マイオモニターの使用
@ 算定要件を満たしていない顎関節疾患の治療におけるマイオモニターの使用に係る費用を算定している例が認められたので改めること。
ア マイオモニターを用いた顎関節疾患の治療の実施時刻(開始時刻と終了時刻)又は治療内容を診療録に記載していない。
8 処置
(1)う蝕処置
@ 算定要件を満たしていないう蝕処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 留意事項通知に示す暫間充填のいずれにも該当していない。
イ 算定部位ごとに処置内容等を診療録に記載していない。
A 診療録に記載すべき内容(処置内容等)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(2)咬合調整
@ 算定要件を満たしていない咬合調整を算定している例が認められたので改めること。
ア 留意事項通知に示す咬合調整のいずれにも該当していない。
イ 歯冠形態の修正を行った際に、修正理由、修正箇所等を診療録に記載していない。
A 同一初診期間中に歯周炎又は歯ぎしりに対して歯の削合を行った場合1回に限り算定すべき咬合調整を、誤って複数回算定している例が認められたので改めること。
B 新たな義歯の製作又は義歯修理時の鉤歯と鉤歯の対合歯にレスト製作のために削合した場合、新たな義歯の製作又は義歯修理の実施1回につき1回に限り算定すべき咬合調整を、誤って複数回算定している例が認められたので改めること。
C 歯冠形態の修正を行った際に、診療録に記載すべき内容(修正理由、修正箇所等)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(3)知覚過敏処置
@ 症状、所見、治療内容、予後等について、診療録に記載していない又は診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(4)う蝕薬物塗布処置
@ 医薬品医療機器等法の承認事項(用法・用量)からみて、不適切なう蝕薬物塗布処置を実施している例が認められたので改めること。
(5)歯内療法
@ 歯内療法における一連の費用の算定において、実際の根管数に基づいていない不適切な例が認められたので改めること。
《根管充填》
@ 加圧根管充填処置を算定しない場合においても、根管充填を行った際には必要に応じて歯科エックス線撮影を実施し、適確な診断を基に適切な治療を行うこと。
A 根管充填と同日に冠製作又はブリッジ製作に着手していて根管充填後の治癒経過が考慮されていない例が認められたので、歯内療法終了後の経過観察を適切に行うこと。
《加圧根管充填処置》
@ 算定要件を満たしていない加圧根管充填処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 気密な根管充填を行っていない。
イ 複根管の歯において、一部の根管で気密な根管充填を行っていない。
ウ 根管充填後に歯科エックス線撮影により根管充填の状態を確認していない。
エ 根管充填後に撮影した歯科用エックス線画像が根管充填の確認に利用できない。
《その他》
@ う蝕処置から抜髄に移行した根拠について、診療録への記載が不十分な例が認められたので個々の症例に応じて適切に記載すること。
(6)外科後処置
《後出血処置》
@ 後出血処置を行った症状、所見、処置内容、経過等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(7)暫間固定
《その他》
@ エナメルボンドシステム又は線結紮法による暫間固定を行ったものについて、算定できない装着に係る費用及び装着材料料を誤って算定している例が認められたので改めること。
A 必要性の認められない暫間固定(簡単なもの、困難なもの、著しく困難なもの)を算定している例が認められたので改めること。
B 暫間固定を行った部位、症状、所見、経過等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(8)口腔内装置 [I017] 略:OAp
@ 顎関節症又は歯ぎしりに対して、口腔内装置を用いた治療を行っている場合における症状、所見等の診療録への記載がなく又は不十分であり、診断根拠や治療経過が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
(9)歯冠修復物又は補綴物の除去
@ 同一歯について2個以上の歯冠修復物(支台築造を含む)又は欠損補綴物の除去を一連に行った場合に、主たる除去の所定点数以外の除去に係る費用を誤って算定している例が認められたので改めること。
A 手術当日に行われる手術に伴う除去の費用は算定できないにもかかわらず、誤って算定している例が認められたので改めること。
B ブリッジの除去に際して、算定できない歯冠修復物又は欠損補綴物の除去を誤って算定している例が認められたので改めること。
ア 実際のポンティックの歯数より多くの歯数を除去したとして算定している。
イ 算定できない切断の費用を算定している。
《著しく困難なもの》
@ 算定要件を満たしていない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。
ア メタルコア又は支台築造用レジンを含むファイバーポストの除去において、歯根の長さの3分の1以上のポストを有するものではない。
A スクリューポストを除去した場合に、歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を誤って算定している例が認められたので改めること。
(10)有床義歯床下粘膜調整処置
@ 算定要件を満たしていない有床義歯床下粘膜調整処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 旧義歯が不適合で義歯の床裏装や再製が必要とされる場合以外である。
(11)機械的歯面清掃処置
@ 算定要件を満たしていない機械的歯面清掃処置を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯科衛生士が機械的歯面清掃処置を行った場合に、当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載していない。
9 手術
(1)抜歯手術
@ 抜歯手術(難抜歯加算、埋伏歯)における症状、所見又は手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
《難抜歯加算》
@ 算定要件を満たしていない難抜歯加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯根肥大、骨の癒着歯、歯根彎曲等に対して骨の開さく又は歯根分離術等を行っていない場合に難抜歯加算を算定している。
《埋伏歯》
@ 算定要件を満たしていない抜歯手術(「4埋伏歯」、「4埋伏歯」及び下顎完全埋伏智歯(骨性)若しくは下顎水平埋伏智歯の場合の加算)を算定している例が認められたので改めること。
ア 骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯ではない。
(2)歯根嚢胞摘出手術
@ 算定要件を満たしていない歯根嚢胞摘出手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たないものに係る手術を、歯根嚢胞摘出手術「1 歯冠大のもの」としている。
A 歯根嚢胞摘出手術における症状、所見、手術内容又は予後について、診療録に記載していない又は診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(3)口腔内消炎手術
@ 算定要件を満たしていない口腔内消炎手術を算定している例が認められたので改めること。
ア 手術部位又は症状及び手術内容の要点を診療録に記載していない。
A 同一病巣に対する口腔内消炎手術を同時に2以上実施した場合に、主たる手術のみにより算定すべきであるにもかかわらず、誤って複数回算定している例が認められたので改めること。
B 診療録に記載すべき内容(手術部位、症状及び手術内容の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
10 麻酔
(1)伝達麻酔・浸潤麻酔
@ 麻酔の費用を算定できない場合においても、麻酔を行った際には、麻酔方法、麻酔薬剤の名称又は使用量を診療録に記載すること。
11 歯冠修復及び欠損補綴
(1)補綴時診断料
@ 算定要件を満たしていない補綴時診断料を算定している例が認められたので改めること。
ア 製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していない。
A 診療録に記載すべき内容(製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(2)クラウン・ブリッジ維持管理料
@ 算定要件を満たしていないクラウン・ブリッジ維持管理料を算定している例が認められたので改めること。
ア 患者に対して文書により当該維持管理に係る情報提供を行っていない。
イ 患者に提供した文書の写しを診療録に添付していない。
A クラウン・ブリッジ維持管理期間中に、当該補綴部位に係る新たな歯冠補綴物又はブリッジの製作・装着した場合の一連の費用を誤って算定している例が認められたので改めること。
B 患者への提供文書に記載すべき内容(クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨、補綴部位、装着日、保険医療機関名)について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(3)テンポラリークラウン
@ 1歯につき1回に限り算定すべきテンポラリークラウンを、1歯に複数回誤って算定している例が認められたので改めること。
(4)歯冠形成・歯冠修復
《歯冠形成》
《う蝕歯即時充填形成》
《う蝕歯無痛的窩洞形成加算》
@ メタルコアで支台築造を行っていないものについて、歯冠形成に係る注7の加算を誤って算定している例が認められたので改めること。
《充填》
@ 同一部位に対するう蝕歯即時充填形成及び充填を極めて短期間に繰り返し算定している不適切な例が認められたので改めること。
A 修復した歯の部位(面)又は充填に使用した材料名について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
《金属歯冠修復》
《レジン前装金属冠》
《非金属歯冠修復》
《CAD/CAM冠》
《高強度硬質レジンブリッジ》
@ CAD/CAM冠又は高強度硬質レジンブリッジを装着する際に、歯質に対する接着性を向上するための内面処理(アルミナ・サンドブラスト処理)を行っていないにもかかわらず、装着に係る加算を誤って算定していたので改めること。
A 使用材料名について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
(5)ブリッジ
@ 一装置のブリッジであるにもかかわらず、単冠とブリッジとに分けて誤って算定している例が認められたので改めること。
A 隣接歯が支台歯に使用できない特段の理由がないにもかかわらず、延長ブリッジを製作している不適切な例が認められたので改めること。
(6)有床義歯
《有床義歯》
@ 残根歯に対して、適切な歯内療法及び根面被覆処置を行わずに残根上義歯を製作している例が認められたので改めること。
A 高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆処置が完了できなかった場合に義歯を製作したとき、その理由について、診療録に記載していない例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
B 鋳造鉤又はバーの種類又は保険医療材料について、誤って算定している例が認められたので改めること。
C 人工歯又は義歯床の保険医療材料について、誤って算定している例が認められたので改めること。
(7)有床義歯修理
@ 算定要件を満たしていない有床義歯修理を算定している例が認められたので改めること。
ア 修理内容の要点を診療録に記載していない。
A 診療録に記載すべき内容(修理内容の要点)について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
(8)有床義歯内面適合法
@ 算定要件を満たしていない有床義歯内面適合法「2 軟質材料を用いる場合」を算定している例が認められたので改めること。
ア 「2 軟質材料を用いる場合」の算定に当たって、間接法により床裏装を行っていなかった。
A 有床義歯の新製を予定している場合に、旧義歯について算定できない有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)を誤って算定している例が認められたので、有床義歯修理により算定すること。
B 有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)に係る実施内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
12 歯科矯正
(1)歯科矯正診断料
@ 治療計画書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
ア 口腔領域の症状及び所見(口腔の生理的機能の状態等)
(2)顎口腔機能診断料
@ 治療計画書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
ア 口腔領域の症状及び所見(口腔の生理的機能の状態)
イ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関が共同して作成した手術予定等年月日を含む治療計画書、計画策定及び変更年月日等
ウ 顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名
(3)歯科矯正管理料
@ 歯科矯正管理料に係る文書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
ア 顎切除、顎離断等の手術を必要とする療養を行う場合における当該手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名
13 その他
(1)著しく歯科診療が困難な者の特掲診療料に係る加算
@ 算定要件を満たしていない著しく歯科診療が困難な者の特掲診療料に係る100分の30、50又は70加算を算定している例が認められたので改めること。
ア 当該加算を算定した日の患者の治療時の状況を診療録に記載していない。
U 診療報酬の請求等に関する事項
1 届出事項
@ 次の届出事項について、変更が認められたので速やかに近畿厚生局長あて届け出ること。
ア 保険医の異動
イ 金属床による総義歯に係る(金属の種類の追加、金属の価格)
ウ う蝕に罹患している患者の指導管理に係る(フッ化物局所応用・小窩裂溝填塞の価格)
A 歯科衛生実地指導料又は訪問歯科衛生指導料を算定した保険医療機関は、毎年7月1日現在で名称、開設者、常勤非常勤ごとの歯科衛生士数等を近畿厚生局長あて報告すること。
2 掲示事項
@ 保険医療機関の掲示事項について、不適切な事項が認められたので速やかに改めること。
ア 明細書発行に関する状況に係る院内掲示を行っていない又は内容が不十分なものである。
A 次の施設基準等について掲示を行っていない又は内容が不十分なものである。
ア 歯科外来診療環境体制加算
イ 初診料(歯科)の注1に掲げる基準
ウ 歯科訪問診療料の注 13 に規定する基準
エ CAD/CAM冠
オ クラウン・ブリッジ維持管理料
カ 金属床による総義歯の提供
キ う蝕に罹患している患者の指導管理
B 次の届け出をしていない施設基準等を掲示している。
ア 在宅療養支援歯科診療所
イ う蝕に羅患している患者の指導管理
ウ 歯周組織再生誘導手術
3 基本診療料の施設基準等
(1)歯科外来診療環境体制加算
《歯科外来診療環境体制加算1》
@ 施設基準に適合していない歯科外来診療環境体制加算1が認められたので改めること。
ア 当該保険医療機関の見やすい場所に、緊急時における連携保険医療機関との連携方法やその対応等、歯科診療に係る医療安全管理対策を実施している旨の院内掲示を行っていない。
4 診療報酬請求
(1)総論的事項
@ 診療録と診療報酬明細書において、診療内容、部位、病名、所定点数、合計点数又は開始年月日について不一致が認められたので、保険医療機関又は保険医により十分に照合・確認を行うこと。
A 診療録と関係書類(技工指示書、納品書)において、技工物の内容、部位、材料、指示日、診療内容又は病名について不一致が認められたので、保険医療機関又は保険医により十分に照合・確認を行うこと。
B 審査支払機関からの返戻、増減点連絡書は、内容を十分検討し、以後の診療や保険請求に反映させるなどその活用を図ること。また、保管・管理についても留意すること。
C 帳簿、伝票等の関係書類については、所定の期間(3年間)保存しておくこと。
D 診療報酬の請求にあたっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録と照合し、診療報酬明細書の記載事項に誤りや不備がないか確認すること。
5 一部負担金等
(1)一部負担金
@ 一部負担金の徴収について、次の不適切な例が認められたので改めること。
ア 徴収すべき者(自家診療、知人、親戚)から適切に徴収していない。
イ 計算方法が誤っている(四捨五入していない、端数切り上げで処理されている)。
A 未収の一部負担金の管理が不十分な例が認められたので改めること。
(管理簿を作成していない、納入督促を行っていない)
B 審査支払機関が行った減額査定を認容した結果、一部負担金に過徴収が生じた場合は、患者に適切に返金等の対応をすること。
(2)領収証・明細書
@ 領収証について、適切に交付していない例が認められたので改めること。
(領収証の交付を行っていない、個別の費用ごとに区分した領収証を発行していない)
A 明細書について、患者から交付を希望しない旨の申し出がなかった場合は、個別の診療報酬点数の項目の分かる明細書を発行しなければならないので改めること。
厚生局の保険診療の個別指導に臨む歯科医の方は、お電話下さい。個別指導への対応を弁護士がアドバイスし、指導に同席します。