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有床義歯、鋳造鉤、線鉤、コンビネーション鉤、間接支台装置、バーの算定での厚生局の指摘事項(歯科)の、弁護士によるコラムです。

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歯科保険診療指摘事項(144):有床義歯

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、歯科の保険診療に関して、有床義歯、鋳造鉤、線鉤、コンビネーション鉤、間接支台装置、バーでの算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(歯科)令和6年度改訂版ver.2411に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。


歯科の有床義歯での指摘事項


 1 算定できない有床義歯に係る費用

算定できない仮床試適を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、即時義歯に該当している。

算定できない暫間義歯に係る一連の費用を算定している例が認められたので改めること。すなわち、【鋳造鉤、線鉤、コンビネーション鉤、バー、  】の【種類、個数、保険医療材料】について、【  】を【  】として誤って算定している例が認められたので改めること。

【人工歯、義歯床】の保険医療材料について、【  】を【  】として誤って算定している例が認められたので改めること。

支台装置について鉤歯1歯につき複数の支台装置を用いた場合に、算定できない主たるもの以外の支台装置を算定している次の例が認められたので改めること(主たる支台装置の名称【  】・算定できない支台装置の名称【  】)。

支台装置について、鉤歯1歯につき複数の支台装置【  】を用いている。

保持装置(1歯欠損に相当する孤立した中間欠損部位を含む有床義歯において鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子)に該当していないにもかかわらず、保持装置として誤って算定している例が認められたので改めること。

診療録記載、歯科技工指示書、歯科技工納品書等から判断して、製作内容が【補強線、鉤脚、  】と判断すべきものをバーとして誤って算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
有床義歯は、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて算定し、欠損補綴に当たっての歯数の数え方は、欠損歯数によるものではなく、人工歯の数により、欠損歯が4歯であっても、人工歯の排列上5歯となる場合は、その歯数は5歯とするとされています。

局部義歯のうち12歯から14歯までは、あくまで残存歯があり、局部義歯として補綴を行った場合に限り算定し、なお、1床14歯の局部義歯の場合もあり得るとされています。

左側第二大臼歯から右側第二大臼歯までが欠損している(欠損歯数14歯)症例において、歯冠の一部が露出した状態の埋伏智歯が残存している場合又は当然抜歯すべき症例のうち何らかの理由で抜歯不可能な場合は、智歯と無関係に総義歯同様の義歯を製作したときは、総義歯として算定し、また、抜歯後1月を経過していなくても歯科医学的にみて適当であると認められる場合に限り、義歯の製作は所定点数により算定するとされています。

残根上の義歯をやむを得ず製作するに際し、残根歯の歯内療法後に根面被覆を行う場合は、それぞれの区分に従い算定することとされています。

有床義歯を1〜2日で製作し装着することは、歯科医学的に適切な場合に限り算定し、ただし、常態として1〜2日で製作し装着を行うものの、装着後の調整指導を実施しない保険医療機関は算定できないとされています。

新たに有床義歯を製作する場合は、原則として前回有床義歯を製作した際の印象採得を算定した日から起算して6月を経過した以降に、新たに製作する有床義歯の印象採得を行うものとし、ただし、次に掲げる場合であって、新たに有床義歯を製作する場合はその限りではないとされています。

イ 他の保険医療機関において、6月以内に有床義歯を製作していないことを患者に確認した場合

ロ 遠隔地への転居のため通院が不能になった場合

ハ 急性の歯科疾患のため喪失歯数が異なった場合

ニ 認知症を有する患者や要介護状態の患者について、義歯管理が困難なために有床義歯が使用できない状況(修理が困難な程度に破折した場合を含む。)となった場合

ホ その他特別な場合(災害又は事故等)

この場合において、新たに有床義歯を製作する理由を診療録に記載すること、なお、ニ又はホの理由による場合は、該当する記号及び具体的な内容を診療報酬明細書の摘要欄に記載することとされています。


 2 カルテへの適切な記載

高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆が完了できなかった場合に義歯を製作した際に、その理由について、【診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な】例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

他の保険医療機関において、6月以内に有床義歯を製作していないことを患者に確認した場合は、診療録にその旨を記載すること。

残根上義歯の製作に当たっては、当該残根歯に対して適切な歯内療法及び根面被覆を行うこと。

【コメント】
模型上で抜歯後を推定して製作する即時義歯は認められるが、即時義歯の仮床試適に係る費用は算定できず、ただし、即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できないとされています。なお、即時義歯の仮床試適については算定できず、ただし、抜歯予定部位が残根または根面被覆等であって、仮床試適が可能な場合においては、有床義歯を製作した上で、仮床試適を算定しても差し支えないとされています。

また、他の保険医療機関において6月以内に有床義歯を作成していないことを患者に口頭にて確認を行った場合について、摘要欄への記載は不要であるとされています。



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歯科の指導、監査のコラム


歯科医院の指導、監査の弁護士のコラムの一覧です。
歯科での有床義歯、鋳造鉤、線鉤、コンビネーション鉤、間接支台装置、バーの算定留意事項、算定要件の他、様々なコラムがございます。
個別指導(歯科)の際や日常の診療にご活用下さい。


 1 歯科の指導監査に関するコラム

1  歯科の個別指導と監査の対応法

2  歯科の新規個別指導の対応法

 2 歯科保険診療指摘事項のコラム

1  歯科の指摘事項(121):補綴時診断料

2  歯科の指摘事項(122):補管

3  歯科の指摘事項(123):歯冠形成・窩洞形成

4  歯科の指摘事項(124):う蝕歯即時充填形成

5  歯科の指摘事項(125):う蝕無痛

6  歯科の指摘事項(126):支台築造

7  歯科の指摘事項(127):印象採得

8  歯科の指摘事項(128):咬合採得

9  歯科の指摘事項(129):仮床試適

10 歯科の指摘事項(130):歯科技工士連携加算

11 歯科の指摘事項(131):光学印象

12 歯科の指摘事項(132):光技連

13 歯科の指摘事項(133):テンポラリークラウン

14 歯科の指摘事項(134):咬合印象

15 歯科の指摘事項(135):リテーナー

16 歯科の指摘事項(136):充填

17 歯科の指摘事項(137):チタン冠

18 歯科の指摘事項(138):レジン前装チタン冠

19 歯科の指摘事項(139):CAD/CAM冠

20 歯科の指摘事項(140):CAD/CAMインレー

21 歯科の指摘事項(141):ポンティック

22 歯科の指摘事項(142):HRBr

23 歯科の指摘事項(143):接着冠・接着ブリッジ

24 歯科の指摘事項(144):有床義歯

25 歯科の指摘事項(145):磁性アタッチメント

26 歯科の指摘事項(146):有床義歯修理

27 歯科の指摘事項(147):有床義歯内面適合法

28 歯科の指摘事項(148):歯科技工加算

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