暫間固定（ＴＦｉｘ）困難なものの算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（89）：暫間固定（ＴＦｉｘ）困難なもの

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、暫間固定（ＴＦｉｘ）の困難なものでの算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の暫間固定（ＴＦｉｘ）の困難なものでの指摘事項

　１　算定できないＴＦｉｘの困難なもの

算定できない暫間固定「２　困難なもの」を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、歯周外科手術後に暫間固定を行った後、再度同一部位に必要があって行う暫間固定について、前回暫間固定を行った日から起算して６月以内である。

【コメント】
暫間固定（ＴＦｉｘ）の「２　困難なもの」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行った歯数が４歯以上の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない４歯以上の暫間固定をいい、なお、「２　困難なもの」を算定する場合は、暫間固定を行う部位ごとに算定するとされています。

　２　歯周外科手術での暫間固定

歯周外科手術前の暫間固定について、固定した歯数にかかわらず暫間固定「１　簡単なもの」として算定すべきものを暫間固定「２　困難なもの」で算定している例が認められたので改めること。

【術中、術後】の暫間固定において、固定源となる歯を歯数に含めない歯周外科手術を行った歯数が４歯未満の暫間固定を行った場合に、暫間固定「２　困難なもの」を誤って算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
歯周外科手術後に必要があって暫間固定を行う場合において、歯周外科手術を行った歯数が４歯以上の場合は「２　困難なもの」により算定し、ただし、術後に暫間固定を行った後、再度当該処置を行う場合は、術後に暫間固定を行った日から起算して６月経過後、１箇所につき、６月に１回に限り算定でき、また、歯周外科手術と同時に行った暫間固定の「２　困難なもの」は、所定点数により算定し、なお、歯周外科手術と同時に行った暫間固定の「１　簡単なもの」は、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できないとされています。

次の場合においては、「２　困難なもの」により算定するとされており、係る「イ　外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合」を除き、エナメルボンドシステムにより暫間固定を行った場合の除去料は別に算定できないとされています。
イ　外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合
ロ　歯の再植術を行い、脱臼歯を暫間固定した場合
ハ　両側下顎乳中切歯のみ萌出している患者であって、外傷により１歯のみ脱臼し、元の位置に整復固定した場合（双方の歯が脱臼している場合の整復固定は、歯科医学上認められない。）
ニ　歯の移植手術に際して暫間固定を行った場合、この場合においては、移植した歯１歯につき「２　困難なもの」により算定する。

　３　カルテへの適切な記載

暫間固定を行った部位、症状、所見、経過等について【診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な】例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

算定できない【装着、装着材料料】を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、【エナメルボンドシステム、　　】による暫間固定を行っている。

【テンポラリークラウン、リテーナー】を算定し、当該装置を利用して暫間固定を行ったものについて、暫間固定（レジン連続冠固定法）に係る一連の費用を誤って算定している例が認められたので改めること。

必要性の認められない暫間固定【「１　簡単なもの」、「２　困難なもの」】を行っている例が認められたので改めること。

【コメント】
個別指導、新規個別指導では、必要最低限のものにとどまらない、個々の患者に応じたカルテへの充実した記載があると、厚生局の指導医療官の印象が良くなるものと考えられます。

なお、暫間固定（ＴＦｉｘ）において、外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合について除去料が算定できるが、この場合において除去料は暫間固定装置の除去（１装置につき）により算定することとされています。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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