暫間固定（ＴＦｉｘ）簡単なものの算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（88）：暫間固定（ＴＦｉｘ）簡単なもの

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、暫間固定（ＴＦｉｘ）の簡単なものでの算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の暫間固定（ＴＦｉｘ）の簡単なものでの指摘事項

　１　算定できないＴＦｉｘの簡単なもの

算定できない暫間固定「１　簡単なもの」を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、歯周外科手術後に暫間固定を行った後、再度同一顎に必要があって行う暫間固定について、前回暫間固定を行った日から起算して６月以内である。

【コメント】
暫間固定（ＴＦｉｘ）とは、歯の支持組織の負担を軽減し、歯槽骨の吸収を防止して、その再生治癒を促進させるため、暫間的に歯冠をレジン連続冠固定法、線結紮法（帯冠使用を含む。）又はエナメルボンドシステムにより連結固定することをいうとされています。

暫間固定の「１　簡単なもの」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行った歯数が４歯未満の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない４歯未満の暫間固定をいい、「１　簡単なもの」を算定する場合は、同日又は他日にかかわらず１顎に２箇所以上行っても１顎単位で算定するものとされています。

　２　１顎単位での算定

同日又は他日にかかわらず１顎に２か所以上行っても１顎単位で算定すべき暫間固定「１　簡単なもの」を、複数回算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
暫間固定装置を装着するに当たり、印象採得を行った場合は１装置につき印象採得の「３　口腔内装置等」を、咬合採得を行った場合は、１装置につき装置の範囲に相当する歯数が８歯以下のときは咬合採得の「２のロの(１)　少数歯欠損」を、装置の範囲に相当する歯数が９歯以上のときは咬合採得の「２のロの(２)　多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は咬合採得の「２のロの(３)　総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は１装置につき装着の「３　口腔内装置等の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定し、ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、装着及び装着材料料は別に算定できないとされています。

なお、当初は歯周外科手術を行わない予定で暫間固定の簡単なものを算定した患者において、その後歯周外科手術が必要になった場合は歯周外科手術の所定点数を算定でき、この場合において、術中及び術後の暫間固定は、歯周外科手術を行う予定で術前の暫間固定を実施した場合と同様の取扱いとするとされています。

　３　歯周外科手術と同時の暫間固定

歯周外科手術（歯数が４歯未満）と同時に暫間固定を行った場合に、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない暫間固定「１　簡単なもの」を算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
歯周外科手術の術前に暫間固定を行った場合は、暫間固定を行う歯数にかかわらず「１　簡単なもの」により算定し、なお、術前の期間中において、１顎につき１回に限り算定することとされています。

歯周外科手術後に必要があって暫間固定を行う場合において、歯周外科手術を行った歯数が４歯未満の場合は「１　簡単なもの」により算定し、ただし、術後に暫間固定を行った後、再度当該処置を行う場合は、術後に暫間固定を行った日から起算して６月経過後、１顎につき、６月に１回に限り算定できるとされています。

歯周外科手術を行わない場合は、暫間固定を行う歯数に関わらず「１　簡単なもの」により算定し、なお、再度当該処置を行う場合は、前回暫間固定を行った日から起算して６月経過後、１顎につき６月に１回に限り算定でき、また、暫間固定に際して印象採得、咬合採得、装着を行った場合は、口腔内装置等と同様に算定するとされています。

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