非経口摂取患者口腔粘膜処置（非経口処）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（104）：非経口摂取患者口腔粘膜処置

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、非経口摂取患者口腔粘膜処置（非経口処）での算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の非経口摂取患者口腔粘膜処置（非経口処）の指摘事項

　１　算定要件を満たしていない非経口処

算定要件を満たしていない非経口摂取患者口腔粘膜処置を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、当該処置を行った歯科衛生士の氏名が【診療録に記載されていない、誤っている】。

【コメント】
非経口摂取患者口腔粘膜処置（非経口処）は、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、口腔衛生状態の改善を目的として、口腔清掃用具等を用いて、口腔の剥離上皮膜の除去を行った場合に算定するもので、当該処置の対象患者は、経管栄養等を必要とする、経口摂取が困難又は可能であってもわずかであり、患者自身による口腔清掃が困難な療養中の患者であって、口腔内に剥離上皮膜の形成を伴うものをいうとされています。

主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対して当該処置を行った場合は、主治の歯科医師は当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載し、また、歯周病処置、歯周基本治療、歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療、周術期等専門的口腔衛生処置、回復期等専門的口腔衛生処置、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、機械的歯面清掃処置及び口腔バイオフィルム除去処置を算定した月は算定できないとされています。

　２　算定できない非経口処

算定できない非経口摂取患者口腔粘膜処置を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、経管栄養等を必要とする、経口摂取が困難又は可能であってもわずかであり、患者自身による口腔清掃が困難な療養中の患者であって、口腔内に剥離上皮膜の形成を伴うものに該当していない、歯周病重症化予防治療を開始した日以降である、同月に【歯周病処置、歯周基本治療、歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療、周術期等専門的口腔衛生処置、回復期等専門的口腔衛生処置、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、機械的歯面清掃処置、口腔バイオフィルム除去処置】を算定している。

【コメント】
非経口摂取患者口腔粘膜処置（非経口処）について、口腔の剥離上皮膜の除去を行った場合とあるが、具体的には、経管栄養等を必要とする患者の剥離上皮膜（剥離した口腔粘膜上皮と唾液、炎症性細胞や細菌の集積からなるもの。）の除去を行った場合に算定でき、単なる日常的口腔清掃のみを行った場合は算定できないとされています。

なお、口腔の剥離上皮膜の除去を行った場合について、係る処置を算定する場合の診療報酬明細書の傷病名部位欄の傷病名は、「口腔剥離上皮膜」と記載するとされています。

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