機械的歯面清掃処置（歯清）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（103）：機械的歯面清掃処置（歯清）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、機械的歯面清掃処置（歯清）での算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の機械的歯面清掃処置（歯清）での指摘事項

　１　算定要件を満たしていない歯清

算定要件を満たしていない機械的歯面清掃処置を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、当該処置を行った歯科衛生士の氏名が【診療録に記載されていない、誤っている】、妊娠中の患者に対して機械的歯面清掃処置を行った場合に、その旨を診療録に記載していない、糖尿病の患者に対して別の医科の保険医療機関の担当医からの情報提供に基づき機械的歯面清掃処置を行った場合に、情報提供の内容及び担当医の保険医療機関名等を診療録に記載又は提供文書の写しを診療録に添付していない、歯科用の切削回転器具及び研磨ペーストを使用し、歯垢除去等を行っていない。

【コメント】
機械的歯面清掃処置（歯清）とは、歯科疾患に罹患している患者に対し、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、歯科用の切削回転器具及び研磨用ペーストを用いて行う歯垢除去等をいい、歯科疾患管理料、周術期等口腔機能管理料（Ⅲ）、周術期等口腔機能管理料（Ⅳ）、回復期等口腔機能管理料、歯科特定疾患療養管理料（当該管理料の「注１」に規定する治療計画に機械的歯面清掃処置を行うに当たって必要な管理計画が含まれている場合に限る。）又は歯科疾患在宅療養管理料を算定した患者に対して２月に１回に限り算定し、また、歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、非経口摂取患者口腔粘膜処置又は口腔バイオフィルム除去処置を算定した月は算定できないとされています。

「注２」の規定に関わらず、歯周病安定期治療又は歯周病重症化予防治療の開始日より前に実施した同月内の当該処置は算定して差し支えないとされています。

　２　算定できない歯清

算定できない機械的歯面清掃処置を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、歯科疾患管理料、周術期等口腔機能管理料（Ⅲ）（Ⅳ）、回復期等口腔機能管理料、歯科特定疾患療養管理料又は歯科疾患在宅療養管理料のいずれも算定していない、機械的歯面清掃処置を算定した月の翌月である（※歯科診療特別対応加算１、２若しくは３、根面う蝕管理料の注２に規定する口腔管理強化体制加算を算定した患者であって、特に機械的歯面清掃が必要と認められる患者（多剤服用患者、唾液分泌量の低下が認められる患者等）、妊娠中の患者又は他の医療機関（歯科診療を行う保険医療機関を除く。）から文書による診療情報の提供を受けた糖尿病の患者を除く。）、同一月に【周術期等専門的口腔衛生処置、回復期等専門的口腔衛生処置、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、非経口摂取患者口腔粘膜処置、口腔バイオフィルム除去処置】を算定している、【在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料】を算定した日以降である、【歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療】を開始した日以降である、【欠損歯（有床義歯に係る治療のみを行っている場合）、顎関節症、歯ぎしり、　　】に対する治療のみを行っている患者である。

【コメント】
歯科診療特別対応加算１、歯科診療特別対応加算２若しくは歯科診療特別対応加算３、根面う蝕管理料の注２に規定する口腔管理体制強化加算を算定する患者であって特に機械的歯面清掃が必要と認められる患者（多剤服用患者、唾液分泌量の低下が認められる患者等）、エナメル質初期う蝕管理料の注２に規定する口腔管理体制強化加算を算定する患者、妊娠中の患者又は他の医療機関（歯科診療を行う保険医療機関を除く。）から文書による診療情報の提供を受けた糖尿病の患者については、月１回に限り算定するとされています。

なお、根面う蝕管理料の注２に規定する口腔管理体制強化加算を算定する患者であって特に機械的歯面清掃が必要と認められる患者及びエナメル質初期う蝕管理料の注２に規定する口腔管理体制強化加算を算定する患者について、同月内に当該管理料を算定していない場合であっても、同一初診期間中に当該管理料を算定しており、初期の根面う蝕またはエナメル質初期う蝕の管理を行っている場合は算定して差し支えないとされています。

妊娠中の患者に対して当該処置を行った場合は、診療録及び診療報酬明細書にその旨を記載し、糖尿病の患者に対して別の医科の保険医療機関の担当医からの情報提供に基づき当該処置を行った場合は、情報提供の内容及び担当医の保険医療機関名等について診療録に記載又は提供文書の写しを添付するものとされ、また、診療報酬明細書にその旨を記載するとされています。

主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対して当該処置を行った場合は、主治の歯科医師は当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載するとされています。

　３　糖尿病の患者への歯清

糖尿病の患者に対して、他の保険医療機関（歯科診療を行う保険医療機関を除く。）から文書による診療情報の提供を受けていない場合に、２月に１回に限り算定すべき機械的歯面清掃処置を月１回算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
機械的歯面清掃処置（歯清）について、歯科診療特別対応加算１、歯科診療特別対応加算２または歯科診療特別対応加算３を算定する患者については、月１回に限り算定できるが、同一初診期間中に当該加算を算定した患者であれば、当該加算を算定していない日であっても、機械的歯面清掃処置を算定して差し支えなく、その場合は、別表Ⅰの項番１０７のとおり歯科診療特別対応加算を算定した旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載することとされています。

歯科治療上必要があって実施した場合は、同日にスケーリングと機械的歯面清掃処置を算定しても差し支えないとされています。

機械的歯面清掃処置（歯清）は同一初診期間中に歯科疾患管理料、歯科特定疾患療養管理料または歯科疾患在宅療養管理料を算定していれば、当月に当該管理料の算定がなくても当該処置を算定しても差し支えないとされています。

歯周安定期治療等を開始する月に歯周病検査を行い、歯周病安定期治療開始の判断を行う場合においては、歯周病検査の実施日より前に行った機械的歯面清掃処置は算定して差し支えないとされています。

機械的歯面清掃処置（歯清）について、対象疾患が歯科疾患となったが、傷病名が欠損歯（ＭＴ）（有床義歯に係る治療のみを行っている場合）、顎関節症、歯ぎしりのみの場合、いずれも算定できないとされています。

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