歯周基本治療（スケーリング・ルートプレ―ニング）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（83）：歯周基本治療

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、歯周基本治療、スケーリング、スケーリング・ルートプレ―ニング（ＳＲＰ）での算定留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の歯周基本治療での指摘事項

　１　算定要件を満たしていない歯周基本治療

算定要件を満たしていない歯周基本治療【「１　スケーリング」、「２　スケーリング・ルートプレーニング」】を算定している次の例が認められたので改めること（ただし、スケーリングに限り、特に規定する場合（在宅等において療養を行っている患者又は歯科診療特別対応加算１、２又は３を算定している患者であって、やむを得ず患者の状態等により歯周ポケット測定等が困難な場合において、歯周組織（歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石の沈着の有無等）の状態の評価を行い、スケーリングを実施する場合）を除く）。

すなわち、歯周病検査を行っていない。

【コメント】
歯周基本治療は、歯周病の炎症性因子の減少又は除去を目的とする処置をいい、歯周病検査等の結果に基づき必要があると認められる場合に実施し、歯周病検査が実施されていない場合は、算定できず、なお、歯周基本治療は、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」（令和２年３月　日本歯科医学会）を参考とするとされています。

スケーリングとは、歯面に付着しているプラーク、歯石、その他の沈着物をスケーラー等で機械的に除去することをいい、また、２回目以降のスケーリング及びスケーリング・ルートプレーニングは、歯周病検査の結果を踏まえ、その必要性、効果等を考慮した上で実施することとされています。

「１　スケーリング」を実施した後、同一部位に対し、再度「１　スケーリング」を実施した場合は、所定点数（注１に規定する加算を含む。）の100分の50により算定し、また、「２　スケーリング・ルートプレーニング」を実施した後、同一部位に対し、再度「２　スケーリング・ルートプレーニング」を実施した場合は所定点数の100分の50により算定することとされています。

　２　算定できない歯周基本治療

算定できない歯周基本治療を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、【在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料】を算定した日以降である、【歯周病安定期治療、歯周病重症化予防治療】を開始した日以降である、同一月に【非経口摂取患者口腔粘膜処置、口腔バイオフィルム除去処置】を算定している。

【コメント】
歯周外科手術と同時に行われた歯周基本治療は、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できないとされています。

混合歯列期歯周病検査に基づく歯周基本治療は、「１　スケーリング」により算定し、また、混合歯列期の患者の混合歯列期歯周病検査以外の歯周病検査に基づく「２　スケーリング・ルートプレーニング」を行う場合は、十分に必要性を考慮した上で行うこととされています。

　３　部位、歯数の誤り

歯周基本治療【「１　スケーリング」、「２　スケーリング・ルートプレーニング」】において、【部位、歯数】を誤って算定している例が認められたので改めること。

不適切な歯周病検査の結果に基づいて、歯周基本治療【「１　スケーリング」、「２　スケーリング・ルートプレーニング」】を実施している不適切な例が認められたので改めること。

必要性の認められない歯周基本治療【「１　スケーリング」、「２　スケーリング・ルートプレーニング」】を実施している例が認められたので、歯周病検査の結果、画像診断等に基づく的確な診断及び治療計画により適切な治療を行うこと。

算定できない【歯科初診料、地域歯科診療支援病院歯科初診料】と併せて算定していた歯周基本治療「１　スケーリング」について、２回目以降として算定すべきところを１回目として算定している例が認められたので改めること。

残根歯（歯内療法、根面被覆処置を行って積極的に保存した残根を除く。）に歯周基本治療「１　スケーリング」を算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
スケーリングは、歯周病に罹患している部位に対して適切に実施するものであるとされています。

なお、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」（令和２年３月　日本歯科医学会）にいう歯周病検査（ＳＲＰ後）の結果を踏まえて、異なる部位に対して歯周外科手術及び再ＳＲＰが必要と判断された場合であって、当該手術及び処置が歯科医学的に適切に行われた場合は、それぞれの費用について算定して差し支えないとされています。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

歯科の指導、監査のコラム

歯科医院の指導、監査の弁護士のコラムの一覧です。
歯科での歯周基本治療、スケーリング、スケーリング・ルートプレ―ニング（ＳＲＰ）の算定留意事項の他、様々なコラムがございます。
個別指導（歯科）の際や日常の診療にご活用下さい。

　１　歯科の指導監査に関するコラム

１　歯科の個別指導と監査の対応法

２　歯科の新規個別指導の対応法

　２　歯科保険診療指摘事項のコラム

歯周基本治療（スケーリング・ルートプレ―ニング）の算定留意事項

指導監査

SUNBELL LAW OFFICE弁護士個別指導

サンベル法律事務所
〒160-0004
東京都新宿区四谷1-18
オオノヤビル7階
TEL 03-5925-8437
FAX 03-5925-8438

弁護士鈴木陽介歯科書籍歯科個別指導

インターアクション，2022年

弁護士鈴木陽介歯科書籍歯科 M&A

学建書院，2016年

弁護士鈴木陽介歯科書籍歯科弁護士

クインテッセンス出版，2013年

歯周基本治療、スケーリング、スケーリング・ルートプレ―ニング（ＳＲＰ）の算定での、厚生局の指摘事項（歯科）の弁護士によるコラムです。