加圧根管充填処置（ＣＲＦ）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（77）：加圧根管充填処置（ＣＲＦ）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、加圧根管充填処置（ＣＲＦ）での算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の加圧根管充填処置（ＣＲＦ）の指摘事項

　１　算定要件を満たしていないＣＲＦ

算定要件を満たしていない加圧根管充填処置を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、緊密な根管充填を行っていない、複数の根管を有する歯において、一部の根管で緊密な根管充填を行っていない、根管充填後に歯科エックス線撮影又は歯科部分パノラマ断層撮影により根管充填の状態を確認していない、根管充填後に撮影した【歯科用エックス線画像、歯科部分パノラマ断層撮影画像】が根管充填の確認に利用できない、複数の根管を有する歯において、根管充填後に撮影した【歯科用エックス線画像、歯科部分パノラマ断層撮影画像】が一部の根管で根管充填の確認に利用できない。

【コメント】
根管充填に併せて加圧根管充填処置を行った場合は、１歯につき１回に限り、根管充填と本区分をそれぞれ算定するとされています。

加圧根管充填処置（ＣＲＦ）とは、根管拡大及び根管形成が行われた根管に対して、ガッタパーチャポイント等を主体として根管充填材を加圧しながら緊密に根管充填を行うことをいい、なお、根管充填後に歯科エックス線撮影で緊密な根管充填が行われていることを確認することとされています。

加圧根管充填処置を行った場合は、歯科エックス線撮影を行い、緊密な根管充填が行われていることを確認するが、妊娠中で同意が得られない場合においてはこの限りでなく、ただし、この場合においては、その理由を診療録に記載することとされています。

樋状根の場合の加圧根管充填処置については、「３　３根管以上」として算定し、また、異常絞扼反射を有する患者について、歯科エックス線撮影により緊密な根管充填の確認が困難な場合は、歯科部分パノラマ断層撮影を用いて撮影して差し支えないとされています。

　２　算定できないＣＲＦ

算定できない加圧根管充填処置を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、クラウン・ブリッジ維持管理料に係る届出を行っていない。

【コメント】
加圧根管充填処置（ＣＲＦ）の算定には施設基準の届出が必要であり、すなわち、クラウン・ブリッジ維持管理料の「注１」により当該管理料を算定する旨を地方厚生(支)局長に届け出ていない保険医療機関は、本処置は算定できないとされていますので、注意が必要です。

　３　根管数の誤り

加圧根管充填処置について、【　　】根管で算定すべきものを【　　】根管として誤って算定している例が認められたので改めること。

加圧根管充填処置について、樋状根でないものを３根管以上として誤って算定している例が認められたので改めること。

根管充填後に撮影した歯科用エックス線画像で根管が重なって撮影されている例が認められたので、エックス線撮影を行う際には撮影する目的に合致した方法にて行うこと。

【コメント】
加圧根管充填処置（ＣＲＦ）を実施した場合は、根管充填と当該処置を同日に算定し、併せて同日にエックス線撮影を行い、緊密に根管充填が行われていることを確認すべきであるが、隣接する複数歯に対して根管充填を行い、後日にまとめてエックス線撮影を行う場合等の特別な理由がある場合は、根管充填及び当該処置の算定と異日にエックス線撮影を行い根管充填の状態を確認しても差し支えなく、この場合、その旨を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載するものとされています。

また、樋状根の場合の加圧根管充填処置（ＣＲＦ）は「３　３根管以上」として算定する取り扱いであるが、抜髄や感染根管処置、根管貼薬処置、根管充填、電気的根管長測定検査については、実態の根管数が１根管または２根管の場合はこの根管数に応じて算定することとされており、なお、実態の根管数が３根管以上でない場合においては加圧根管充填処置を算定する際に診療報酬明細書に樋状根である旨を記載することとされています。

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