抜歯前提の歯内療法（感染根管処置、根管貼薬処置）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（80）：抜歯前提の歯内療法

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、抜歯を前提とした歯内療法（感染根管処置、根管貼薬処置）での算定留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

抜歯前提の歯内療法（感染根管処置、根管貼薬処置）の指摘事項

　１　感染根管処置

抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等について根管数にかかわらず感染根管処置「１　単根管」で算定すべきものを、感染根管処置【「２　２根管」、「３　３根管以上」】で算定している例が認められたので改めること。

算定できない感染根管処置「１　単根管」を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等に該当していない。

【コメント】
感染根管処置の算定について、抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等は、根管数にかかわらず１歯につき１回に限り、「１　単根管」により算定し、なお、抜歯を前提とした根管拡大等に併せて行った消炎のための根管貼薬は、所定点数に含まれ別に算定できないとされています。

感染根管処置は１歯につき１回に限り算定し、ただし、再度感染根管処置が必要になった場合において、加圧根管充填処置を行った患者に限り、前回の感染根管処置に係る歯冠修復が完了した日から起算して６月を経過した日以降については、この限りではないとされており、この場合、再度当該処置を行うに当たり、電気的根管長測定検査、根管充填処置及び加圧根管充填処置はそれぞれ必要に応じ算定するとされています。

なお、上記の「歯冠修復が完了した日」とは、歯冠修復や金属歯冠修復等を装着した日または充填を実施した日とされています。

　２　根管貼薬処置

抜歯を前提とした消炎のための根管拡大後の根管貼薬処置について根管数にかかわらず根管貼薬処置「１　単根管」として算定すべきものを、根管貼薬処置【「２　２根管」、「３　３根管以上」】として算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
根管貼薬処置の算定について、抜髄、感染根管処置又は根管充填と同時に行った根管貼薬は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できず、また、抜歯を前提とした消炎のための根管拡大後の根管貼薬は、根管数にかかわらず１歯につき１回に限り、「１　単根管」により算定するとされています。

　３　カルテへの適切な記載

抜歯を前提とした急性症状の消退のための根管拡大等に係る【症状、所見、治療内容】について【診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な】例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

【コメント】
厚生局の個別指導では、カルテの充実した記載があると、指導医療官の印象が良くなります。限られた時間の中ではありますが、必要的記載事項を網羅した日頃の充実したカルテ記載が求められます。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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