歯科の診療情報等連携共有料（情共）の留意事項

歯科保険診療指摘事項（26）：診療情報等連携共有料（情共）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、診療情報等連携共有料（情共１、情共２）での留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』（２０２２年１１月２５日出版）もご参考いただければ幸いです。

歯科の診療情報等連携共有料（情共）での指摘事項

　１　歯科の診療情報等連携共有料１（情共１）

算定要件を満たしていない歯科の診療情報等連携共有料１を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、交付した文書に患者の氏名、生年月日、連絡先、診療情報等の提供依頼目的、診療情報等の提供を求める医療機関名、診療情報等の提供を求める内容、診療情報等の提供を依頼する保険医療機関名又は保険薬局名及び担当医名又は薬剤師名を記載していない、文書以外の手段で診療情報等を求めるに当たって求めた内容を診療録に記載していない、交付した文書の写しを診療録に添付していない、当該患者の同意を得ていない。

算定できない歯科の診療情報等連携共有料１を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、全身的な管理の必要がある患者ではない、同一の保険医療機関又は保険薬局に対して診療情報の提供を求めた日の属する月から起算して３月以内に算定している、診療情報提供料（Ⅰ）により紹介した月から起算して３月以内に、同一の保険医療機関に対して算定している、同一月に同一の保険医療機関に対して診療情報提供料（Ⅰ）を算定している（同一の保険医療機関に対して紹介を行った場合に限る。）、特別の関係にある保険医療機関に対して診療情報の提供を求めている、別の保険医療機関で行った検査の結果、若しくは投薬内容等の診療情報又は保険薬局が有する服用薬の情報等を問い合わせたものではない。

文書に記載すべき内容について、記載の【不十分、不適切】な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。すなわち、患者の氏名、生年月日、連絡先、診療情報等の提供依頼目的、診療情報等の提供を求める保険医療機関名、診療情報等の提供を求める内容、診療情報等の提供を依頼する保険医療機関名又は保険薬局名及び担当医名又は薬剤師名。

保険給付外の診療【　　】であるにもかかわらず、診療情報等連携共有料１を誤って算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
診療情報等連携共有料は、医科の保険医療機関又は保険薬局と歯科の保険医療機関の間で診療情報や服用薬の情報等を共有することにより、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものです。

他の保険医療機関等と連携し、質の高い医療・診療を図ることは、積極的に行われるべきものというべきです。

「１診療情報等連携共有料１」は、慢性疾患を有する患者又は歯科診療を行う上で特に全身的な管理の必要性を認め検査結果、診療情報又は服用薬の情報等を確認する必要がある患者において、当該患者の同意を得て、別の保険医療機関又は保険薬局に当該患者の診療情報等の提供を文書等（電話、ファクシミリ又は電子メール等によるものを含む。）により求めた場合に算定し、「１診療情報等連携共有料１」において、当該別の保険医療機関又は保険薬局に対して、文書で診療情報等を求めるに当たっては、次の事項を記載した文書を患者又は当該別の保険医療機関若しくは保険薬局に交付する、また、交付した文書の写しを診療録に添付することとされています。
イ　患者の氏名、生年月日、連絡先
ロ　診療情報等の提供依頼目的（必要に応じて、傷病名、治療方針等を記載すること。）
ハ　診療情報等の提供を求める保険医療機関名
ニ　診療情報等の提供を求める内容（検査結果、投薬内容等）
ホ　診療情報等の提供を依頼する保険医療機関名又は保険薬局名及び担当医名又は薬剤師名
なお、文書以外の手段で診療情報等を求めるに当たっては、交付した文書の写しを診療録に添付することに代えて、求めた内容を診療録に記載することとされています。

また、「１診療情報等連携共有料１」は、保険医療機関又は保険薬局ごとに患者１人につき、診療情報等の提供を求めた日の属する月から起算して３月に１回に限り算定するものとされています。

診療情報等連携共有料を算定するに当たっては、保険医療機関又は保険薬局と連携を図り、必要に応じて問い合わせに対応できる体制（窓口の設置など）を確保していることが求められ、診療情報提供料(Ⅰ)により紹介した月から起算して３月以内に、同一の保険医療機関に対して当該患者の診療情報等の提供を求めた場合及び診療情報を提供した場合において、診療情報等連携共有料は別に算定できないとされています。

　２　歯科の診療情報等連携共有料２（情共２）

算定要件を満たしていない歯科の診療情報等連携共有料２を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、交付した文書に患者の氏名、生年月日、連絡先、診療情報の提供先保険医療機関名、提供する診療情報の内容、診療情報を提供する保険医療機関名及び担当歯科医師名を記載していない、交付した文書の写しを診療録に添付していない、別の保険医療機関からの求めに応じたものではない、当該患者の同意を得ていない。

算定できない歯科の診療情報等連携共有料２を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、同一の保険医療機関に対して診療情報を提供した日から起算して３月以内に算定している、診療情報提供料（Ⅰ）により紹介した月から起算して３月以内に、同一の保険医療機関に対して算定している、同一月に同一の保険医療機関に対して【診療情報提供料（Ⅰ）、連携強化診療情報提供料】を算定している、特別の関係にある保険医療機関からの求めに応じたものである。

文書に記載すべき内容について、記載の【不十分、不適切】な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。すなわち、患者の氏名、生年月日、連絡先、診療情報の提供先保険医療機関名、提供する診療情報の内容、診療情報を提供する保険医療機関名及び担当歯科医師名。

保険給付外の診療【　　】であるにもかかわらず、診療情報等連携共有料２を誤って算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
「２診療情報等連携共有料２」は、別の保険医療機関（歯科診療を行うものを除く。）からの求めに応じ、患者の同意を得て、当該患者に関する治療状況、治療計画及び投薬内容等の診療情報を提供した場合に、提供する保険医療機関ごとに３月に１回限り算定するとされ、「２診療情報等連携共有料２」において、診療情報を提供するに当たっては、次の事項を記載した文書を作成し、患者又は提供する保険医療機関に交付する、また、交付した文書の写しを診療録に添付することとされています。
イ　患者の氏名、生年月日、連絡先
ロ　診療情報の提供先保険医療機関名
ハ　提供する診療情報の内容（治療状況、治療計画、投薬内容等）
ニ　診療情報を提供する保険医療機関名及び担当歯科医師名

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