在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（43）：在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、施設基準に係る在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）での算定留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』（２０２２年１１月２５日出版）もご参考いただければ幸いです。

在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）での指摘事項

　１　算定要件を満たしていない在歯管

算定要件を満たしていない在宅患者歯科治療時医療管理料を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、患者の【血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度】の経時的な監視【術前、術中、術後】を行っていない、管理内容（モニタリング結果）及び患者の全身状態の要点を診療録に記載又は添付していない。

【コメント】
在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）は、歯科訪問診療料を算定した日において、高血圧性疾患、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管障害、喘息、慢性気管支炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能不全、てんかん若しくは慢性腎臓病（腎代替療法を行う患者に限る。）の患者、人工呼吸器を装着している患者、在宅酸素療法を行っている患者又は初診料の（16）のト若しくは（19）に規定する感染症の患者に対して、歯科治療時における患者の全身状態の変化等を把握するため、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度を経時的に監視し、必要な医療管理を行った場合に算定し、在宅患者歯科治療時医療管理料を算定する保険医療機関は、全身状態の把握、管理等に必要な機器、機材等を整備し、管理内容及び患者の全身状態の要点を診療録に記載するものとされています。

　２　算定できない在歯管

算定できない在宅患者歯科治療時医療管理料を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、在宅患者歯科治療時医療管理料に係る施設基準の届出を行っていない、留意事項通知に定める患者（高血圧性疾患、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管障害、喘息、慢性気管支炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能不全、てんかん、慢性腎臓病（腎代替療法を行う患者に限る。）の患者、人工呼吸器を装着している患者、又は在宅酸素療法を行っている患者又は留意事項通知に規定する感染症の患者）に該当していない、処置（外科後処置、創傷処置及び歯周病処置を除く。）、手術、歯冠修復及び欠損補綴（歯冠形成、う蝕時即時充填形成、う蝕歯インレー修復形成、支台築造、支台築造印象、印象採得、咬合印象、及び光学印象に限る。）を行っていない（患者の容体の急変等によりやむを得ず中止した場合を除く。）、処置、手術又は歯冠修復及び欠損補綴を全身麻酔下で行っている、同一月に【周術期等口腔機能管理料【（Ⅰ）、（Ⅱ）、（Ⅲ）、（Ⅳ）】、回復期等口腔機能管理料】を算定している。

【コメント】
在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）に係る算定要件を満たす場合においては、社会福祉施設を訪問して歯科訪問診療２、３、４または５を算定する場合であっても当該管理料を算定できるとされています。

患者のモニタリングについて、処置等の実施前・実施後及び患者の状態に応じて必要時点で血圧、脈拍及び経皮的動脈血酸素飽和度を測定し、また、患者の状態及びモニタリング結果についてはカルテに記載または添付することとされています。

なお、在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）を算定する場合、経皮的動脈血酸素飽和度測定は別に算定できないとされています。

　３　カルテへの適切な記載

診療録に記載すべき内容について【画一的に記載している、記載の不十分な】例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

すなわち、管理内容（モニタリング結果）、患者の全身状態の要点。

【コメント】
在宅患者歯科治療時医療管理料（在歯管）の算定対象となる処置等を開始し、必要な医学管理を行っている際に、患者の容体の急変等によりやむを得ず治療を中止し処置等の算定を行わなかった場合、在宅患者歯科治療時医療管理料を算定できるが、ただし、この場合においてはカルテ及び診療報酬明細書の摘要欄にその旨を記載することとされています。

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