歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影の診断料

歯科保険診療指摘事項（59）：画像診断での診断料

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、画像診断（歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影等）での診断料の算定留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の画像診断の診断料での指摘事項

　１　算定要件を満たしていない画像診断の診断料

算定要件を満たしていない画像診断における診断料を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない、【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】を行った場合に、診療録に記載している写真診断に係る必要な所見が実態と異なっている。

【コメント】
歯科エックス線撮影とは、歯科用エックス線フィルムを用いて撮影した場合及び専用の装置を用いてデジタル映像化処理を行った場合をいい、歯科用エックス線フィルムとは、標準型、小児型、咬合型及び咬翼型等であって、歯、歯槽骨等の撮影に用いるフィルムをいい、単純撮影の「その他の場合」とはカビネ、オルソパントモ型等のフィルムを顎関節全体、顎全体等に用いて撮影した場合をいうとされています。

顎関節疾患について、パノラマエックス線フィルムを使用し、パノラマ断層による分割撮影を行った場合は、顎関節を構成する骨の形態及び解剖学的な相対位置、下顎窩に対する下顎頭の位置、下顎頭の移動量等の所見を診療録に記載し、また、他の保険医療機関において撮影したフィルムについての診断料は、撮影方法別及び撮影部位別に１回に限り算定し、したがって、同一方法により同一部位に対して撮影したエックス線フィルムの診断は、撮影した枚数にかかわらず１回に限り算定するとされています。

歯科用３次元エックス線断層撮影は、歯科用エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影で診断が困難な場合であって、当該画像撮影の必要性が十分認められる次のいずれかを３次元的に確認する場合に算定するとされ、歯科用３次元エックス線断層撮影に係る診断料は、実施した撮影の回数にかかわらず、月１回の算定とし、初回の撮影を実施する日に算定するとされています。
イ　埋伏智歯等、下顎管との位置関係
ロ　顎関節症等、顎関節の形態
ハ　顎裂等、顎骨の欠損形態
ニ　腫瘍等、病巣の広がり
ホ　その他、歯科用エックス線撮影若しくは歯科パノラマ断層撮影で確認できない位置関係、病巣の広がり又は複雑な解剖学的根管形態等を確認する特段の必要性が認められる場合

歯科部分パノラマ断層撮影とは、歯科エックス線撮影を行う場合で異常絞扼反射を有する患者であって、「１のイ　歯科エックス線撮影」が困難な場合に、歯科部分パノラマ断層撮影装置を用いて、エックス線の照射範囲を限定し局所的な撮影を行ったものをいい、単に歯科パノラマ断層撮影により撮影された画像を分割した場合は算定できないとされています。

　２　カルテへの所見の記載

【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】を行った場合に、診療録に記載すべき写真診断に係る必要な所見について、【画一的に記載している、記載の不十分な】例が認められたので個々の症例に応じて適切に記載すること。

【コメント】
写真診断を行った場合は、診断に係る必要な所見を診療録に記載するとされています。

画像診断での診断料の算定では、係る所見の記載が充実していると、新規個別指導や個別指導の際、厚生局の指導医療官の印象が良いものと考えられます。

　３　フィルムごとの診断所見

一連の症状を確認するため、同一部位に撮影を行った場合における２枚目以降の撮影に係る写真診断の費用について、所定点数の100分の50に相当する点数として算定すべきものを所定点数で算定している例が認められたので改めること。

歯科エックス線撮影（全顎撮影以外の場合）を行った場合には、フィルムごとの診断所見を的確に記載すること。

【コメント】
診断料の算定において、カルテへの充実した所見の記載が望まれます。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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