画像診断（歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（58）：画像診断

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、画像診断（歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影等）での算定留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の画像診断での指摘事項

　１　診断に必要な部位の撮影

【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】において、診断に必要な部位が撮影されていない不適切な例が認められたので改めること。

【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】において、画像が不鮮明で診断に利用できない不適切な例が認められたので改めること。

必要性の認められない【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】を行っている例が認められたので改めること。

【コメント】
片側性の顎関節症で健側を対照として撮影する場合は、医科における耳・肘・膝等の対称器官と同様に、診断料、撮影料とも健側の撮影についても患側と同一部位の同時撮影を行った場合と同じ取扱いとするとされています。

　２　画像診断での撮影回数の相違

【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】において、実際に撮影した回数よりも誤って多く算定している例が認められたので改めること。

【コメント】
エックス線写真撮影の際に失敗等により、再撮影をした場合は再撮影に要した費用は算定できず、再撮影に要した費用は、その理由が患者の故意または重大な過失による場合を除き、当該保険医療機関の負担とするとされています。

　３　算定できない画像診断

算定できない歯科部分パノラマ断層撮影を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、歯科エックス線撮影が困難な異常絞扼反射を有する患者であって、「１のイ　歯科エックス線撮影」が困難な場合以外に算定している、歯科パノラマ断層撮影と歯科部分パノラマ断層撮影を同時に行っている（顎関節疾患について、パノラマエックス線フィルムを使用して、異なる下顎位で分割撮影を行った場合において歯科パノラマ断層撮影を算定した場合を除く）。

算定できない歯科用３次元エックス線断層撮影を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、「埋伏智歯等、下顎管との位置関係」、「顎関節症等、顎関節の形態」、「顎裂等、顎骨の欠損形態」、「腫瘍等、病巣の広がり」、「その他、歯科エックス線撮影若しくは歯科パノラマ断層撮影で確認できない位置関係、病巣の広がり又は複雑な解剖学的根管形態等を確認する特段の必要性が認められる場合」のいずれにも該当していない。

算定できない【歯科矯正診断、顎口腔機能診断】を行うに当たっての【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用３次元エックス線断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】に係る一連の費用を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、歯科矯正相談料を算定した患者について、別に算定した【歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】の当該撮影料の算定の日から起算して３月以内に算定している。

撮影した【歯科エックス線写真、歯科パノラマ断層写真、歯科部分パノラマ断層撮影】を確認できない例が認められたので、適切に整理・保管すること。

撮影した【歯科エックス線写真、歯科パノラマ断層写真】において、【不鮮明な、【現像、定着、画像】処理が適切ではない、変色した、画像への不適切な書き込みを行っていた、【撮影年月日、患者氏名】が判断できない】例が認められたので、適切に取り扱うこと。

歯科疾患の診断に際して、歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影又は歯科部分パノラマ断層撮影等、各種撮影方法を比較考慮した内容に関して診療録への記載が【なく、不十分であり】、歯科用３次元エックス線断層撮影を第一選択とした理由が確認できない例が認められたので、記載内容の充実を図ること。

歯科疾患の画像診断に際しては、疾患の状態や撮影範囲、得られる結果等を十分考慮し適切な撮影方法を選択すること。

【歯科エックス線写真、歯科パノラマ断層撮影、歯科部分パノラマ断層撮影】において、位置づけを適切に行っていない例が認められたので、正確な位置づけを行うこと。

【コメント】
画像診断の費用は、診断料、撮影料、フィルム及び造影剤料にそれぞれ区分して規定されており、これ等の組み合わせにより算定することになるとされています。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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