歯周精密検査（Ｐ精検）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（49）：歯周精密検査（Ｐ精検）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、歯周精密検査（Ｐ精検）での算定留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯周精密検査（Ｐ精検）での指摘事項

　１　算定要件を満たしていないＰ精検

算定要件を満たしていない歯周精密検査を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、必要な検査のうち【ポケット深さの測定（４点以上）、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度、プラークチャートを用いたプラークの付着状況】を実施していない、必要な検査のうち【ポケット深さの測定（４点以上）、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度、プラークチャートを用いたプラークの付着状況】の結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない、１口腔単位で実施していない。

【コメント】
歯周精密検査（Ｐ精検）は、４点以上のポケット深さの測定、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度及びプラークチャートを用いてプラークの付着状況を検査した場合に算定するものとされています。

　２　Ｐ精検の必要性

臨床所見、画像診断所見、処置内容、症状経過等から判断して、必要性の認められない歯周精密検査を実施している例が認められたので改めること。

歯周組織の状態及び治療の内容等から歯周基本検査の適用を考慮せずに、歯周精密検査を画一的に選択している不適切な例が認められたので改めること。

漫然と歯周精密検査を実施している例が認められたので、歯周組織の状態、治療の内容等により、歯周基本検査、歯周精密検査の必要性を十分に考慮した上で検査を選択すること。

【コメント】
歯周精密検査（Ｐ精検）は、その実施の必要性が強く要求されますので、標準的なルールに則り必要性を判断し、または第三者への必要性の説得的な説明ができることが求められます。

　３　カルテへの適切な記載

歯周精密検査における【ポケット深さの測定、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度、プラークチャートを用いたプラークの付着状況】の検査結果について、【診療録、診療録に添付した記録】の記載に不備のある例が認められたので、適切に記載すること。

２回目以降の歯周病検査は、歯周治療による歯周組織の変化や治療に対する反応等を評価し、治癒の判断や治療計画の修正を行うことを目的として実施するものであるので、適切な検査と評価を行うよう改めること。

急性炎症を伴う歯に対して歯周ポケット内に投薬を行った日に歯周病検査を行っている例が認められたので歯周病検査の実施時期に留意すること。

【コメント】
歯周病検査に関して、次の場合において、やむを得ず患者の状態等によりポケット深さの測定等が困難な場合は、歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石の沈着の有無等により歯周組織の状態の評価を行い、歯周基本治療を開始して差し支えなく、この場合において、患者及び歯周組織の状態を診療録に記載することとされています。
イ　在宅等において療養を行っている患者
ロ　歯科診療特別対応加算１、歯科診療特別対応加算２又は歯科診療特別対応加算３を算定している患者

なお、上記の場合について、歯周病検査の費用は別に算定できず、スケーリングに限られるがスケーリング終了後歯周病検査を実施した場合はこの限りではなく、また、ポケットの深さの値を測定せずに歯周病安定期治療や歯周病重症化予防治療は算定できないとされています。

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