歯肉剥離掻爬手術、ＦＯｐ（歯周外科手術）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（113）：歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、歯周外科手術の歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）での算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）での指摘事項

　１　算定要件を満たしていないＦＯｐ

算定要件を満たしていない歯肉剥離掻爬手術を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、手術部位及び手術内容の要点を診療録に記載していない、歯肉剥離掻爬手術を歯周精密検査の結果に基づいて行っていない。

歯肉剥離掻爬手術における【症状、所見、手術部位、手術内容、術後経過】について【診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な】例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

不適切な歯周精密検査に基づいて、歯肉剥離掻爬手術を実施している不適切な例が認められたので改めること。

歯科医学的に不適切な歯肉剥離掻爬手術を実施している例が認められたので改めること。

【臨床所見、画像診断、歯周病検査、診療録の記載内容】等から判断して、必要性の認められない歯肉剥離掻爬手術を実施している例が認められたので改めること。

【コメント】
「歯周病の治療に関する基本的な考え方」（令和２年３月　日本歯科医学会）によれば、歯周外科手術の歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）について、歯肉軟組織が根面に付着するのを促すことを主目的とした手術法で、歯肉弁(粘膜骨膜弁・全層弁)を剥離・翻転して直視下で不良肉芽を除去し、汚染歯根面のスケーリング・ルートプレーニングを行い、さらに必要に応じて歯肉や異常な歯槽骨の形態を整え、歯肉弁を適切な位置に復位縫合し、再付着をはかる方法であるとされています。

歯周外科手術の歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）と併せて、骨移植術（軟骨移植術を含む。）を行った場合は、歯肉剥離掻爬手術及び骨移植術（軟骨移植術を含む。）のそれぞれを併せて算定するものとされています。

歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）は、点数が高く、算定要件を満たさない、または算定できない不適切な請求ではないか、厚生局の指導医療官が特にチェックしたくなる算定項目というべきです。

歯肉剥離掻爬手術（ＦＯｐ）を算定する場合は、個別指導や新規個別指導では優先的にピックアップされ指導での対象患者に含まれやすいものと心得て、個別指導や新規個別指導でチェック・確認されても問題がないように、カルテへの充実した記載も含め、的確に歯肉剥離掻爬手術を実施することが重要です。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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歯肉剥離掻爬手術、ＦＯｐ、歯周外科手術の算定での厚生局の指摘事項（歯科）のコラムです。保険診療の個別指導、監査は、弁護士にご相談下さい。