新付着手術、ＥＮＡＰ（歯周外科手術）の算定留意事項

歯科保険診療指摘事項（111）：新付着手術（ＥＮＡＰ）

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、歯周外科手術の新付着手術（ＥＮＡＰ）での算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。

歯科の新付着手術（ＥＮＡＰ）での指摘事項

　１　算定要件を満たしていないＥＮＡＰ

算定要件を満たしていない新付着手術を算定している次の例が認められたので改めること。すなわち、手術部位及び手術内容の要点を診療録に記載していない、新付着手術を歯周精密検査の結果に基づいて行っていない。

新付着手術における【症状、所見、手術部位、手術内容、術後経過】について【診療録に記載していない、診療録への記載が不十分な】例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

不適切な歯周精密検査に基づいて、新付着手術を実施している不適切な例が認められたので改めること。

歯科医学的に不適切な新付着手術を実施している例が認められたので改めること。

【臨床所見、画像診断、歯周病検査、診療録の記載内容】等から判断して、必要性の認められない新付着手術を実施している例が認められたので改めること。

【コメント】
新付着手術（ＥＮＡＰ：Excisional New Attachment Procedure）とは、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」（令和２年３月　日本歯科医学会）によれば、歯肉軟組織が根面に付着するのを促すことを主目的とした手術法であり、メスを用いた歯周ポケット搔爬術の一種で、歯肉辺縁から歯周ポケット底に内斜切開を加えて歯周ポケット内壁を除去、歯根表面をスケーリング・ルートプレーニングした後、歯根面に歯肉を圧接して縫合するものとされています。

なお、新付着手術（ＥＮＡＰ）を含む歯周外科手術において、簡単な暫間固定及び特定薬剤の費用は所定点数に含まれるとされており、ここでいう「簡単な暫間固定」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行う歯数が４歯未満の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない４歯未満の暫間固定をいうとされています。

暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行う歯数が４歯以上の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない４歯以上の暫間固定は、歯周外科手術とは別に暫間固定の「２　困難なもの」の所定点数により算定するとされ、暫間固定に当たって印象採得を行った場合は１装置につき印象採得の「３　口腔内装置」を、咬合採得を行った場合は、１装置につき、装置の範囲に相当する歯数が８歯以下の場合は咬合採得の「２のロの(１)　少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が９歯以上は咬合採得の「２のロの(２)　多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は咬合採得の「２のロの(３)　総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は１装置につき装着の「３　口腔内装置等の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定し、ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、装着料及び装着材料料は別に算定できないとされています。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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