歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の指導監査に強い、歯科医師のための弁護士です。
保険医・保険医療機関への個別指導、監査にお悩みの歯科医の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。指導監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。
弁護士鈴木が力を入れている歯科個別指導監査に関するコラムです。
ここでは、厚生労働省が作成した歯科(病院)の指導講評でのチェックリスト(歯科矯正)をご説明します。実務上、各地の厚生局が参照するリストです。弁護士鈴木が平成29年6月9日に厚生労働大臣から開示決定を受けた歯科指導講評セット(病院版)(平成28年度版)に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
歯科の個別指導、監査に悩んでいる歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談をお勧めします。個別指導、監査では、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
・ 歯科の個別指導と監査の上手な対応法
15 歯科矯正
(1) 総論的事項
□@ 歯科矯正について、次の保険給付の対象とならないものを算定している例が認められたので改めること。
□ア 「厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常」に該当せず、かつ「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症の手術の前後の療養」に該当しない。
□
□A 保険診療として行っている歯科矯正について、別に保険外診療の費用を徴収している例が認められたので改めること。
□B 歯科矯正に係る手術について、診療報酬明細書に記載している連携保険医療機関と異なる機関で[ 行っていた 、 行う予定である ]例が認められたので改めること。
□
(2) 診断料、管理料等
□@ 歯科矯正診断料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア 厚生労働大臣が定める施設基準に適合していない。
□・ 歯科矯正セファログラムを行う機器がない。
□・ 歯科矯正治療の経験を5年以上有する専任の歯科医師がいない。
□・ 常勤の歯科医師を1名以上配置していない。
□・ 「歯科矯正診断料に係る施設基準」の届出を地方厚生(支)局に行っていない。
□
□イ 治療計画書を作成していない。
□ウ 診療録に治療計画書の写しを添付していない。
□エ 文書により治療計画の内容を提供していない。
□オ 治療計画書に次の事項を記載していない。
□・ 全身性疾患の[ 診断名 、 症状 、 所見 ]
□・ 口腔領域の[ 症状 、 所見 ([ 咬合異常の分類 、 唇顎口蓋裂の裂型 、 口腔の生理的機能の状態 ]) 、 歯年齢 ]
□・ 歯科矯正の治療として採用すべき[ 療法 、 開始時期 、 療養上の指導内容 ]
□・ [ 保険医療機関名 、 担当保険医氏名 ]
□
□カ セファログラム及び歯列弓の分析を行っていない。
□キ 歯科矯正診断料を算定した日から起算して6月以内に算定している。
□ク 育成医療及び更生医療を担当する医師等との連携を十分に行っていない。
□ケ 顎口腔機能診断料と重複して算定している。
□コ 診療録に[ 症状及び所見 、 口腔領域の症状及び所見 、 療法名 、 指導計画 、 指導内容 、 患者説明に用いた資料の種類及び内容
]の記載が[ ない 、 乏しい ]。
□サ 届出た専任の歯科医師以外の歯科医師により歯科矯正診断を行っている。
□
□A 顎口腔機能診断料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア 厚生労働大臣が定める施設基準に適合していない。
□・ 障害者自立支援法に係る都道府県知事の指定を受けた医療機関でない。
□・ [ 下顎運動検査 、 歯科矯正セファログラム 、 咀嚼筋筋電図検査 ]を行う機器を備えていない。
□・ [ 専任の常勤歯科医師 、 専従の常勤看護師あるいは歯科衛生士 ]が1名以上いない。
□・ [ 口腔 、 歯科矯正 ]に関する医療を担当する診療科又は別の保険医療機関との間に連携体制を整備していない。
□イ 「顎口腔機能診断料に係る施設基準」の届出を地方厚生(支)局に行っていない。
□ウ 顎離断等の手術を必要とする患者でない。
□エ 咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査及び予測模型等による評価を併せて行っていない。
□オ 治療計画書を作成していない。
□カ 診療録に治療計画書の写しを添付していない。
□キ 治療計画書に次の事項を記載していない。
□・ 全身性疾患に係る[診断名、症状、所見]
□・ 口腔領域の[ 症状 、 所見([ 咬合異常の分類 、 唇顎口蓋裂の裂型 、 口腔の生理的機能の状態 、 蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類
]) 、 歯年齢 ]
□・ 歯科矯正の治療として採用すべき[ 療法 、 開始時期 、 療養上の指導内容 ]
□・ [ 口腔 、 歯科矯正 ]に関する医療を担当する[ 保険医療機関名 、担当保険医氏名 ]
□
□ク 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び口腔に関する医療を担当する保険医療機関が共同して治療計画書を作成していない。
□ケ セファログラム及び歯列弓の分析を行っていない。
□コ 顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内に算定している。
□サ 診療録に[ 症状及び所見 、 口腔領域の症状及び所見 、 療法名 、 指導計画 、 指導内容 、 患者説明に用いた資料の種類及び内容 ]の記載が[ ない 、 乏しい ]。
□シ 届出された専任の常勤歯科医師以外の歯科医師が顎口腔機能診断を行っている。
□ス 届出された専従の常勤看護師あるいは歯科衛生士以外の常勤看護師あるいは歯科衛生士を配置している。
□
□B 歯科矯正管理料について、次の算定要件を満たさない例が認められたので改めること。
□ア 文書を提供していない。
□イ 提供文書に[ 病名 、 症状 、 療養上必要な指導 、 計画的な矯正管理の状況 、 保険医療機関名 、 主治の歯科医師氏名 、 連携医療機関名
、 手術を担当する歯科医師氏名 ]を記載していない。
□ウ 同一月内に2回算定している。
□エ 動的処置の開始の日又はマルチブラケット法の開始の日から起算して1年を超える場合に加算点数を算定している。
□オ 当該保険医療機関において歯科矯正の動的治療を行っていない。
□カ 計画的な歯科矯正管理に基づく指導及び経過模型による歯の移動等の管理を行っていない。
□キ 診療録に[ 病名 、 症状 、 療養上必要な指導 、 計画的な矯正管理の状況 ]に係る記載が[ ない 、 乏しい ]。
□ク [ 矯正装置の取扱い 、 口腔内衛生 、 栄養 、 日常生活その他療養上必要な指導 、 機械的歯面清掃 ]に関する療養上の指導を行っていない。
(3) 歯科矯正セファログラム
□ 歯科矯正セファログラムについて、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア 連携保険医療機関において撮影しているにもかかわらず当該機関で再度撮影している( )。
□イ 同一日に同時に撮影した歯科矯正セファログラムと歯科パノラマ断層撮影の診断料を所定点数で算定している。
□ウ 歯科矯正セファログラムに係る[フィルム料、デジタル映像化加算]を別に算定している。
□エ 必要性の乏しい歯科矯正セファログラムを算定している。
□
(4) 模型調製
□ 模型調製について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア [ 平行 、 予測 ]模型を製作していない。
□イ 実際の模型とは異なるものを算定している。
□ウ [ ]を予測模型として算定している。
□エ 予測歯を実際の歯数とは異なる歯数で加算している。
□オ [ ]を顎態模型として算定している。
(5) 動的処置
□ 動的処置について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア 力系に関するチャートに基づいていない。
□イ 帯冠装着のためのセパレーティングのみで算定している。
□ウ 同一日に装着料と同時に算定している。
□
(6) 印象採得
□ 印象採得について、装置作成目的の模型を経過模型として算定している例が認められたので改めること。
(7) 咬合採得
□ 咬合採得について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア マルチブラケット装置に対して算定している。
□イ 「簡単なもの」([ 先天性異常が硬組織に及ばないもの 、 顎変形症の場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うための顎の拡大の必要がないもの ])を「困難なもの」として算定している。
□
(8) 装着
□ 装着について、次の算定要件を満たさない例が認められたので改めること。
□ア [ フォースシステムを行わず 、 力系に関するチャートを作成せず ]、加算点数を算定している。
□イ 診療録にフォースシステムに係るチャートを添付していない。
□
(9) 矯正装置
□ 矯正装置について、次の不適切な例が認められたので改めること。
□ア アクチバトールでないものをアクチバトールとして算定している。
□イ 装置の調整をマルチブラケット装置および保険医療材料料として算定している。
□ウ 実際に使用したものと異なる保険医療材料料で算定している。
□エ 超弾性矯正用線でないものを超弾性矯正用線で算定している。
□オ 装着していない装置に[ 装置料 、 結紮料 、 動的処置 ]の費用を算定している。
□カ [ 歯科衛生士 、 ]がマルチブラケット装置の結紮を行っている。
□キ フィクスドリテーナーの[装着、除去]を算定している。
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