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歯科保険診療の診療録(カルテ)と傷病名をご説明します。歯科の個別指導、監査にお悩みの歯科医の方は、指導監査に強いサンベル法律事務所にご相談下さい。

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歯科保険診療の概説(3):診療録(カルテ)、傷病名

歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の保険診療に強い、歯科医師のための弁護士です。

保険医・保険医療機関への個別指導、監査にお悩みの歯科医の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。指導監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。

弁護士鈴木が力を入れている歯科個別指導監査に関するコラムです。

ここでは、歯科保健診療(カルテ、傷病名)についてご説明します。
内容は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の公表資料「保健診療の理解のために【歯科】(平成28年度)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。

歯科の個別指導、監査に悩んでいる歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談をお勧めします。個別指導、監査では、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
・ 歯科の個別指導と監査の上手な対応法

1 診療録(カルテ)


○ 診療報酬請求の根拠は、診療録にある。
 

 1 診療録(カルテ)とは

 診療録(カルテ)は、診療経過の記録であると同時に、診療報酬請求の根拠でもある。診療事実に基づいて必要事項を適切に記載していなければ、不正請求の疑いを招くおそれがある。

 2 診療録に関する規定

@ 診療録の記載(療担規則第 22 条、歯科医師法第 23 条)
・保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく、様式第一号又はこれに準ずる様式の診療録に、当該診療に関し必要な事項を記載しなければならない。
・歯科医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

A 診療録の整備、保存 (療担規則第8条、第9条、歯科医師法第 23 条第2項)
・保険診療に必要な事項を記載し、他の診療録と区別して整備しなければならない。
・診療録は、診療完結の日から5年間保存しなければならない。
・療養の給付の担当に関する帳簿・書類その他の記録は、その完結の日から3年間保存しなければならない。

 3 記載上の留意点(一例)

・診療の都度、診療の経過を記載する。必然的に、外来患者であれば受診の都度、入院患者であれば原則として毎日、診療録の記載がなされることになる。
・診療録に記載すべき事項が、算定要件として定められている診療報酬点数の項目があることに留意する。
・責任の所在を明確にするため、OA 機器により作成する場合、保険医の署名又は記名押印をすること。

 4 医療情報システム(電子カルテ等)の留意点

・端末使用開始前に、ログアウトの状態であることを確認すること。また、席を離れる際には必ずログアウトすること。 ・パスワードは定期的に見直し、不正アクセスの防止に努めること。また、パスワード等を記したメモを端末に掲示等しないこと。
・歯科医師が他の者(例えば担当看護師等)にパスワードを伝達し、食事、臨時処方等のオーダーの入力代行等をさせることのないようにすること(場合によっては、当該看護師の無資格診療を問われる可能性がある。)。
・電子カルテにおいても紙カルテと同様に、修正等の履歴が確認できるシステムが構築されていること。

 5 レセプトコンピュータ使用時の注意点

・いわゆるレセプトコンピュータ(レセコン)は、レセプト請求のために歯科医師が行った診療行為を記録し、診療報酬の請求額を計算し、これをレセプトとして出力することを目的とするものである。
・レセコンの中には「カルテ」作成支援機能を有しているものがあるが、「電子カルテ」の3要件(真正性、見読性、保存性)を満たしていないレセコンを用いて作成された電子的記録は「電子カルテ」とは認められない。そのため、患者の診療を行った場合には、遅滞なく紙媒体に打ち出し、保険医が署名又は記名押印することにより診療録として整備されることとなる。

2 傷病名


○ 診断の都度、医学的に妥当適切な傷病名を、診療録に記載する。
○ いわゆる「レセプト病名」を付けるのではなく、必要があれば症状詳記等で説明を補うようにする。

 1 傷病名記載上の留意点

・医学的に妥当適切な傷病名を主治医自らつけること。請求事務担当者が主治医に確認することなく傷病名をつけることは厳に慎むこと。
・診断の都度、診療録(電子カルテを含む。)の所定の様式に記載すること。なお、電子カルテ未導入の医療機関において、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に未準拠のオーダーエントリーシステムに傷病名を入力・保存しても、診療録への傷病名の記載とは見なされないため、必ず診療録に記載すること。
・必要に応じて慢性・急性の区別、部位・左右の区別をすること。
・診療開始年月日、終了年月日を記載すること。
・傷病の転帰を記載し、病名を逐一整理すること。
・ 疑い病名は、診断がついた時点で、速やかに確定病名に変更すること。また、当該病名に相当しないと判断した場合は、その段階で中止とすること。

 2 いわゆる「レセプト病名」について

 保険適応外の診療行為を保険請求するために、レセプト作成のためのみに用いられる、実態のない架空の傷病名(いわゆる「レセプト病名」)を用いてレセプトを作成することは、極めて不適切で認められない。


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