歯科の電子カルテの留意事項

歯科保険診療指摘事項（２）：歯科の電子カルテ

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。

ここでは、歯科の保険診療に関して、電子カルテの留意事項、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト（歯科）令和６年度改訂版ｖｅｒ．２４１１に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』（２０２２年１１月２５日出版）もご参考いただければ幸いです。

歯科の電子カルテでの指摘事項

　１　ガイドラインへの準拠

最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」（第 6.0 版：令和５年５月）に準拠していない次の【例、事項】が認められたので、適切な医療情報システムの運用を行うこと。
※医療情報システムは、レセプト作成用コンピュータ（レセコン）、電子カルテ、オーダリングシステム等の医療事務や診療を支援するシステム等が該当する。

【コメント】
いわゆる電子カルテには、種々の遵守すべき厳格なルールがあり、歯科の個人開業のクリニックでの遵守はハードルが高いところとは思われますが、ルールに則った電子カルテの管理・運用が求められます。

不正ソフトウェア対策を行っていない。

利用者のアクセスについて、アクセスログを記録していない。

医療情報システムにアクセスログの記録機能がない場合、業務日誌等により操作者、操作内容等を記録していない。

【コメント】
電子カルテでは、アクセスログの記録が求められます。

個人情報の安全管理に関する職員への教育・訓練を【採用時、定期的】に実施していない。

パスワードが、「英数字、記号を混在させた１３文字以上の推定困難な文字列」、「英数字、記号を混在させた８文字以上の推定困難な文字列を定期的に変更させる（最長でも２ヶ月以内）」又は「二要素以上の認証の場合、英数字、記号を混在させた８文字以上の推定困難な文字列、ただし他の認証要素として必要な電子証明書等の使用にPIN等が設定されている場合は、この限りではない。」のいずれの要件にも該当していない。

令和９年度時点で稼働が予想される医療情報システムにおいて、二要素認証を採用するシステムの導入、又はこれに相当する対応が行われていない。

【医療従事者等】の【診療補助記録等】に係るアクセス権限の範囲設定について、医療情報システムの利用用途とアクセス範囲、アクセス権限等のリスク評価に基づいた正しい付与が行われていない。

【医療従事者等】の【診療補助記録等】に係る医療情報システムの利用権限について、【リスク評価に基づいた、医療従事者の資格に応じた】付与が行われていない。
※医療従事者等の例：歯科衛生士、事務職員、委託業者職員等
※診療補助記録等の例：入院診療計画書、栄養管理計画書・報告書、歯科疾患管理料の管理計画書等

一旦確定した診療録等を更新する場合、更新履歴を保存し、必要に応じて更新前と更新後の内容を照らし合わせることができない（修正履歴を表示する機能がない）。

【コメント】
電子カルテの場合、更新履歴・修正履歴を記録し、前後の内容等表示できることが求められますので、留意が必要です。

異動・退職した職員のＩＤを適切に管理していない。

特定のＩＤを複数の職員【歯科医師】が使用している。

運用管理規程を整備していない。

【外部保存、スキャナ等による読み取り】に係る運用管理規程の内容【が不十分である、を定めていない】。

医療情報の取扱いの安全性を確保するための【内部検査、監査】を行っていない。

代行入力に係る管理情報について代行入力の都度、記録されていない。

代行入力により記録された診療録等の承認を【速やかに実施していない、実施していない】。

【コメント】
歯科の電子カルテについて、上記のとおり、厳しいルールの遵守が求められます。電子カルテを導入した場合は、管理等を徹底することが求められます。

　２　代行操作

【代行操作の承認の仕組みがない、代行操作に係る承認を（速やかに）実施していない】ため、【代行操作に係る承認の仕組みを直ちに策定すること、保険医自らが記載内容に誤りがないことを確認の上（速やかに）承認すること】。

【コメント】
電子カルテの代行操作について、歯科医師が記載内容に誤りがないことを確認した上で速やかに承認を実施することが求められます。

個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

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　１　歯科の指導監査に関するコラム

１　歯科の個別指導と監査の対応法

２　歯科の新規個別指導の対応法

　２　歯科保険診療指摘事項のコラム

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