医療法人に強い、歯科医師のための弁護士です。
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まず医療法人の行政通知のコラムの一覧をご紹介します。その上で、医療法人の合併の手続き(債権者の保護、権利義務の承継、合併の効力の発生、弁明の機会の付与)についての行政通知のご説明を致します。内容は、厚生労働省の公表資料「医療法人の合併及び分割について(平成28年3月25日,医政発0325第5号)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
医療法人の行政通知のコラム
1 医療法の解釈(1):医療法人の趣旨、成立、管理
2 医療法の解釈(2):医療法人の開設規制、医療計画
3 医療法の解釈(3):医療提供の理念の行政解釈
4 医療法の解釈(4):医療法人の附帯業務、会計処理
5 医療法の解釈(5):医療法の説明義務
6 医療法の解釈(6):医療法人の理事長、管理者の理事就任
7 医療法人の登記、設立
8 理事長の要件(医療法人)
9 医療機関の開設者と非営利性
10 医療法人の国際展開
11 医療法人の合併と分割(1):合併の意義、種類、手続き
12 医療法人の合併と分割(2):合併の手続き
13 医療法人の合併と分割(3):分割の意義、種類、手続き
14 医療法人の合併と分割(4):分割の手続き、医療審議会
医療法人のその他のコラム
1 医療法人の法務
・ 医療法人のコラムの一覧
医療法人の合併(2):合併の手続き(債権者保護、権利義務の承継)
3 合併の手続
3 債権者の保護(法第 58 条の3、第 58 条の4及び第 59 条の2関係)
(1)医療法人は、都道府県知事の吸収合併又は新設合併の認可があったときは、その認可の通知のあった日から2週間以内に、合併がその債権者に重大な利害関係があることに鑑み、債権者保護のために、その時点における財産目録及び貸借対照表を作成しなければならないこと。また、当該財産目録及び貸借対照表については、吸収合併又は新設合併に係る登記がされるまでの間、主たる事務所に備え置き、債権者から請求があった場合には、これを閲覧に供しなければならないこと。当該義務違反に対しては、罰則規定(20 万円以下の過料。法第 76 条第9号)があること。閲覧については、 書面又は電磁的記録の当該ファイル若しくは磁気ディスクに記録されている事項を紙面又は当該事務所に設置された入出力装置の映像面に表示する方法により行うこと。
(2)医療法人は、吸収合併又は新設合併の認可の通知のあった日から2週間以内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならないこと。ただし、「一定の期間」については、2月以上とすること。当該義務違反に対しては、罰則規定(20
万円以下の過料。法第 76 条第 10 号)があること。
(3)債権者が(2)の期間内に吸収合併又は新設合併に対して異議を述べなかったときは、吸収合併又は新設合併を承認したものとみなすこと。
(4)債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならないこと。ただし、吸収合併又は新設合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでないこと。当該義務違反に対しては、罰則規定(20 万円以下の過料。法第 76 条第 10 号)があること。
4 権利義務の承継(法第 58 条の5及び第 59 条の3関係)
(1)吸収合併存続医療法人は、吸収合併消滅医療法人の一切の権利義務(病院開設の許可、公租公課の賦課等当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を自動的にかつ包括的に承継すること。また、新設合併設立医療法人は、新設合併消滅医療法人の一切の権利義務(病院開設の許可、公租公課の賦課等当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を自動的にかつ包括的に承継すること。なお、病院開設の許可の変更届等は必要であることに留意すること。
(2)特約をもって権利義務の一部の承継を留保することは許されないが、いったん承継した後にその権利を放棄することは妨げないこと。また、包括的に承継されるため、個々の権利義務について特別の承継方法は必要としないが、不動産等の第三者に対する対抗要件を必要とする権利については、対抗要件を備えない限り、第三者に対抗し得ないこと。
(3)社団たる医療法人にあっては、吸収合併消滅医療法人の社員は、吸収合併契約に別段の定めのない限り、吸収合併存続医療法人の社員となること。また、新設合併消滅医療法人の社員は、新設合併契約に別段の定めのない限り、新設合併設立医療法人の社員となること。
5 合併の効力の発生(法第 58 条の6及び第 59 条の4関係)
(1)吸収合併及び新設合併は、吸収合併存続医療法人又は新設合併設立医療法人が、その主たる事務所の所在地において組合等登記令(以下「登記令」という。)の定めるところにより登記をすることによって、その効力を生ずること。
(2)吸収合併の登記は次の2種であること。いずれも主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内になすことを要すること。(登記令第8条、第
11 条及び第 13 条)
①吸収合併存続医療法人については、変更登記
②吸収合併消滅医療法人については、解散登記
(3)新設合併の登記は次の2種であること。いずれも主たる事務所の所在地においては2週間以内に、従たる事務所の所在地においては3週間以内になすことを要すること。(登記令第8条、第
11 条及び第 13 条)
①新設合併設立医療法人については、設立登記
②新設合併消滅医療法人については、解散登記
(4)登記期間の起算点は、3の債権者保護の手続が完了したときであること。
(5)吸収合併消滅医療法人又は新設合併消滅医療法人の解散の登記の申請は、合併後の吸収合併存続医療法人又は新設合併設立医療法人を代表すべき者が、合併後の吸収合併存続医療法人又は新設合併設立医療法人の主たる事務所を管轄する登記所を経由して、合併の登記の申請と同時になすべきであること。
(6)合併に係る登記を行った場合は、遅滞なく、都道府県知事に登記の年月日を届け出る必要があること。(医療法施行令(以下「令」という。)第5条の
12)
(7)合併の効果は、吸収合併の場合においては、従来の医療法人のうち一を除く他の医療法人の解散、存続する医療法人の変更及び解散した医療法人の権利義務の存続する医療法人への包括的移転を生ずることであり、新設合併の場合においては、従来の医療法人の全部の解散、医療法人の設立及び解散した医療法人の権利義務の新設医療法人への包括的移転を生ずることであること。
6 弁明の機会の付与等(法第 67 条関係)
(1)都道府県知事は、合併の不認可処分をする場合、当該処分の名あて人に対 し、その指名した職員又はその他の者に対して弁明する機会を与えなければならないこと。この場合においては、都道府県知事は、当該処分の名あて人に対し、あらかじめ書面をもって、弁明をするべき日時、場所及び当該処分をするべき事由を通知しなければならないこと。
(2)(1)の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができること。
(3)(1)の弁明の聴取をした者は、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、かつ、当該処分をする必要があるかどうかについて都道府県知事に意見を述べなければならないこと。
医療法人の合併に関してお悩みの歯科医の方は、迷わずお電話を下さい。合併での手続きや問題解決のための具体的なアドバイスを致します。