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医療法人制度の改正内容(業務拡大、残余財産の帰属、社会医療法人債、資産要件、書類の保存期間)についてご説明します。医療法人の法律問題は、医療法人に強いサンベル法律事務所にご相談下さい。

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15 医療法人の行政通知:医療法人制度の改正内容

医療法人に強い、歯科医師のための弁護士です。

医療法人の法律問題、トラブルにお悩みの歯科医の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。医療法人に強い弁護士への相談が、解決への近道です。


まず医療法人の行政通知のコラムの一覧をご紹介します。その上で、医療法人制度の改正内容(業務拡大、社会医療法人制度、残余財産の帰属、管理体制の見直し、社会医療法人債、資産要件、基金制度、書類の保存期間)についての行政通知のご説明を致します。内容は、厚生労働省の公表資料「医療法人制度について(最終改正平成28年3月25日,医政発第0325第3号)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。

 医療法人の行政通知のコラム

1  医療法の解釈(1):医療法人の趣旨、成立、管理
2  医療法の解釈(2):医療法人の開設規制、医療計画
3  医療法の解釈(3):医療提供の理念の行政解釈
4  医療法の解釈(4):医療法人の附帯業務、会計処理
5  医療法の解釈(5):医療法の説明義務
6  医療法の解釈(6):医療法人の理事長、管理者の理事就任

7  医療法人の登記、設立
8  理事長の要件(医療法人)
9  医療機関の開設者と非営利性

10 医療法人の国際展開
11 医療法人の合併と分割(1):合併の意義、種類、手続き
12 医療法人の合併と分割(2):合併の手続き
13 医療法人の合併と分割(3):分割の意義、種類、手続き
14 医療法人の合併と分割(4):分割の手続き、医療審議会

15 医療法人制度の改正内容

 医療法人のその他のコラム

1  医療法人の法務
   ・ 医療法人のコラムの一覧

医療法の改正の内容


 1 医療法人の業務の拡大について

(1) 医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第42条の規定は、医療法人が地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者として公の施設である病院、診療所又は介護老人保健施設(以下「病院等」という。)を管理する場合、当該業務が医療法人の本来業務として行われるものであることを明確にしたものであること。

(2) ただし、医療法人が自ら病院等を開設することなく、指定管理者として公の施設である病院等を管理することのみを目的に医療法人を設立することは、病院等の開設を目的として医療法人とすることができるとする法第39条の規定の趣旨に違反するので留意されたいこと。

(3) 医療法人の附帯業務として、改正法及び改正告示により、法第42条の2に規定する社会医療法人については、第1種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、救護施設、更生施設及び軽費老人ホーム(A型、B型)を除く。)の実施及び医療法人(社会医療法人を含む。)については、第2種社会福祉事業(児童家庭支援センターを除く。)の実施及び老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条第1項に規定する有料老人ホームの設置を追加し、施行日より実施することができるものとしたこと。なお、附帯業務の実施については、別途医政局長通知により取り扱われたいこと。

 2 社会医療法人制度の創設について

(1) 本制度の創設の趣旨は、へき地医療や小児救急医療など地域で特に必要な医療の提供を担う医療法人を新たに社会医療法人として位置付け、これらの医療に社会医療法人を積極的に参加させることにより、良質かつ適切な医療を効率的に提 供する体制の確保を図るものであること。

(2) 法第42条の2第1項第4号の規定による要件は、当該医療法人が開設する病院又は診療所のうち、1以上(2以上の都道府県の区域において病院又は診療所を開設する医療法人にあっては、原則、それぞれの都道府県で1以上)のものが、当該病院又は診療所の所在地の都道府県が作成する医療計画に記載された救急医療等確保事業に係る業務を行っていることをいうものであること。

(3) 告示第2条各号に掲げる収益業務の範囲は、告示第1条に定める日本標準産業分類を参照されたいこと。

(4) なお、法第42条の2第1項第5号に規定する厚生労働大臣が定める基準及び第6号に規定する公的な運営に関する厚生労働省令で定める要件に関する事項等については、追って通知する予定であること。

 3 残余財産の帰属すべき者について

(1) 法第44条第5項の規定は、残余財産の帰属すべき者が、国、地方公共団体又は医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)第31条の2に規定する者のうちから選定されることにより、医療法人の非営利性の徹底を図るものであること。

(2) 規則第31条の2第1号の「これに準ずる者として厚生労働大臣が認めるもの」とは、当該医療法人が開設する病院等の所在地において組織する都道府県医師会又は郡市区医師会(一般社団法人又は一般財団法人に限る。)であって病院等を開設するもの又は病院等を開設する予定であるものをいうこと。

(3) 本改正に伴い、施行日以降に新たに医療法人の設立の認可の申請を行う場合、設立後の医療法人は、財団である医療法人(以下「財団医療法人」という。)又は社団である医療法人で持分の定めのないもの(以下「持分の定めのない社団医療法人」という。)に限られること。

(4) 社団である医療法人で持分の定めのあるもの(いわゆる「出資額限度法人」について(平成16年医政発第0813001号厚生労働省医政局長通知)に規定する出資額限度法人を含む。以下「持分の定めのある社団医療法人」という。)は、改正法附則第10条の2に規定する経過措置医療法人に位置付けられること。

(5) 施行日前に設立された医療法人で、施行日以降に残余財産の帰属すべき者に関する規定について定款又は寄附行為の変更の認可の申請を行い、当該変更につき法第54条の9第3項の認可を受けた医療法人及び(3)により新たに設立された医療法人は、改正法附則第10条第2項の規定により経過措置医療法人へ移行できないこと。

(6) なお、規則第35条第2項の規定により、合併前の医療法人のいずれもが経過措置医療法人である場合には、合併後存続する医療法人について経過措置医療法人とすることができること。

 4 医療法人の管理体制の見直しについて

(1) 法第46条の2から第49条の3までの規定は、社員総会、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事の各機能を明確にすることにより、医療法人の内部管理体制の明確化を通じた効率的な医業経営の推進を図るものであること。

(2) 法第51条から第52条までの規定は、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び規則第33条に規定する書類(以下「事業報告書等」という。)の作成、都道府県知事への届出及び閲覧に関する規定を整備することにより、医療法人の透明性の確保を図るものであること。

(3) なお、医療法人が作成しなければならない事業報告書等(社会医療法人債発行法人が作成する事業報告書を含む。)については、別途医政局指導課長通知により取り扱われたいこと。

 5 社会医療法人債の発行について

(1) 法第54条の2から第54条の8までの規定は、救急医療等確保事業を担う社会医療法人について、公募債である社会医療法人債の発行による資金調達を認めることで、当該社会医療法人の財政的基盤の安定化を図るものであること。

(2) 社会医療法人債は金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3号の「特別の法律により法人の発行する債券」に該当する有価証券であり、同法の適用を受けるほか、企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5 号)に従い、情報開示に必要な書類の作成及び届出が必要となること。

(3) 規則第33条第1項第2号の「社会医療法人債発行法人」には、社会医療法人債を発行した後(当該社会医療法人債の総額について償還済みであるものを除く。)に、法第64条の2第1項の規定により社会医療法人の認定を取り消された医療法人も含まれるものであること。

(4) 規則第33条第2項の「別に厚生労働省令で定めるところ」とは、社会医療法人債を発行する社会医療法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(平成19年厚生労働省令第38号)をいうものであること。

 6 医療法人の資産要件の見直しについて

(1) 規則第30条の34の規定は、医療法人の資産要件として定められてきた自己資本比率に関する要件を廃止することとし、病院、診療所又は介護老人保健施設を開設する医療法人は、開設する病院、診療所又は介護老人保健施設に必要な施 設、設備又は資金を有しなければならないものとしたこと。

(2) 医療法人の施設又は設備は法人が所有するものであることが望ましいが、賃貸借契約による場合でも当該契約が長期間にわたるもので、かつ、確実なものであると認められる場合には、その設立を認可して差し支えないこと。ただし、土地、建物を医療法人の理事長又はその親族等以外の第三者から賃貸する場合には、当該土地、建物について賃貸借登記をすることが望ましいこと。また、借地借家法(平成3年10月4日法律第90号)に基づき、土地、建物の所有権を取得した者に対する対抗要件を具備した場合は、賃貸借登記がなくても、当該土地、建物の賃貸借を認めても差し支えないこと。なお、賃貸料については、近隣の土地、建物等の賃貸料と比較して著しく高額なものである場合には、法第54条(剰余金配当の禁止)の規定に抵触するおそれがあるので留意されたいこと。

(3) 医療法人の設立を認可するに当たって、一定期間の医療施設の経営実績を要件とすることは望ましくないこと。 なお、新たに医療施設を開設するために医療法人を設立する場合には、2か月以上の運転資金を有していることが望ましいこと。

(4) 医療法人の設立に際して、現物拠出又は寄附すべき財産が医療法人に不可欠のものであるときは、その財産の取得又は拡充のために生じた負債は、当該医療法人の負債として取り扱って差し支えないこと。ただし、負債が財産の従前の所有者が当然負うべきもの又は医療法人の健全な管理運営に支障を来すおそれのあるものである場合には、医療法人の負債として認めることは適当ではないので、設立の認可に当たっては十分留意されたいこと。

 7 基金制度の利用について

(1) 規則第30条の37及び第30条の38の規定は、医療法人の非営利性の徹底に伴い、持分の定めのない社団医療法人の活動の原資となる資金の調達手段として、定款の定めるところにより基金の制度を採用することができるものとしたこと。

(2) ただし、社会医療法人又は租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第67条の2第1項に規定する特定の医療法人(以下「特定医療法人」という。)は当該基金制度を利用することができないため、基金制度を利用している医療法人で、社会医療法人の認定又は特定医療法人の承認を受けようとする医療法人にあっては、拠出者に基金を返還(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭を返還)し、定款から基金に関する定めを削除することが必要であること。

(3) なお、基金制度の利用に係る手続等については、別途医政局長通知により取り扱われたいこと。

 8 書類の保存期間について

(1) 規則第39条の規定により、都道府県知事が、医療法人の解散した日から5年間保存しなければならない書類から、法第52条第1項の規定により届け出られた書類を除くこととしたこと。

(2) よって、当該書類に関する医療法上の保存規定は存在しないこととなるが、規則第33条の2第2項の規定により、医療法人からの届出に係る書類について閲覧の請求があった場合は、都道府県知事は、過去3年間に届け出られた書類について行うことを定めており、当該閲覧を要する期間については、適正に保管されたいこと。

(3) なお、閲覧を要する期間を過ぎた書類については、各都道府県の文書管理規程等に従い取り扱われたいこと。


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