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事業承継、M&Aと歯科医院のコラムです。『歯科医院の事業承継とM&A』を出版し、歯科の医院継承に強い弁護士です。

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歯科医院の事業承継とM&A(1):手続きの流れと資料開示

歯科医院の承継、M&Aに強い、弁護士の鈴木陽介です。

医院承継、M&Aに臨む歯科医の方は、お電話下さい。契約書の作成、交渉窓口、適正価格算定、M&Aの仲介業者とのやり取り、買手の紹介など対応します。


歯科医院の事業承継、M&Aのコラム一覧をご紹介の上、M&Aの手続きの流れと資料開示をご説明します。

なお、歯科医院の居抜きについては、コラム歯科医院の居抜きに詳しく記載しています。

 歯科医院の事業承継、M&Aのコラム一覧

1  歯科医院の事業承継、M&Aの流れと資料開示

2  歯科医院の継承での契約書と書式のひな型

3  医院承継の検討開始時期と実行時期、弁護士費用

歯科医院の事業承継、M&Aの流れと資料開示


 1 歯科医院継承の手続き

1 譲渡先の歯科医師の確保
歯科医院の承継、M&Aを検討するきっかけは様々です。典型的には、院長の年齢や体調となりますが、分院長の歯科医師が確保できないケースや、最近では、業績悪化によるものも見受けられます。また、個別指導、監査による保険医の取り消しや、医道審議会による歯科医業停止の行政処分により、歯科医院の継承を検討せざるを得ないケースもあります。

いずれにせよ、歯科医院の事業承継、M&Aを行うと決めたら、歯科医院の引継ぎ(居抜きでの継承を含む)のために、まず、新院長の候補者を見つける必要があります。候補者は、現院長の子供の歯科医師、勤務歯科医師、それ以外の第三者(M&A)の順序で検討していくことが通例です。

引継ぎは、やる気のある、引継ぎを希望する方に引き継いでもらうことが重要です。例えば、歯科医の子供がいても、本人が自らでの新規開業を希望する場合は、その意向を尊重し、別の引継ぎ手を探すべきです。

2 引継ぎの条件交渉 
新院長の候補者を見つけ出せれば、話し合い、交渉し、譲渡金額や継承方法などを合意の上、歯科医院の引継ぎに関する継承契約を締結します。継承では、子供への引継ぎであっても、契約書を作成すべきです。

契約での留意点ですが、子供や勤務歯科医への引継ぎの場合は、当人に手持ちの資金がなく、分割での支払いを提案されることがよくあります。しかし、分割での支払いは、要するにお金を貸すことと同義であり、トラブルになることが多いという印象です。

金融機関からの資金調達による一括払いを求めるべきで、代金の分割払いについては、慎重に判断する必要があります。子供や勤務歯科医が金融機関から代金の融資を受けられない場合は、プロである金融機関が貸せない相手と、多額の信用取引をしてよいのか、現院長は十分考えるべきです。

3 引継ぎの手続き
医療法人ではない歯科医師個人から個人への歯科医院の引継ぎの場合、継承の手続きは、現院長が現診療所の廃止届等を諸機関に提出するなどし、新院長が、診療所の新規開設の諸手続きを行うなどすることになります。継承にあたっては、スケジュール表を作成管理し、十分な準備をすることが肝心です。

留意点ですが、廃止届等の提出は、引継ぎ手と契約書を締結し、最終的な代金の支払いを受けてから、または支払いと引き換えに行うべきです。

なお、継承に際しては、新院長が、厚生局に保健医療機関の指定の申請手続きを新規に行うことになりますが、保険医療機関の指定を受けられるまで、一定の期間を要することに注意が必要です。その期間は、原則として保険診療ができません。ただし、親から子への継承の場合など、「遡及願」を提出することで、開設時に遡って保険診療ができる場合があります。もっとも、遡及が認められる場合でも、新規個別指導は行われます。

歯科医院の円滑な事業承継・M&Aのためには、継承手続きを実行する前に、保健所と厚生局に事前相談しておくことが重要です。

 2 資料開示と秘密保持契約書

1 事業承継・M&Aでの資料開示
新院長の候補者と、歯科医院の事業承継、M&Aの交渉をする場合、決算資料など、種々の資料開示を要求されることが通例です。現院長は、要求された資料は、積極的に開示すべきでしょう。

2 開示資料の例
歯科医院の事業承継、M&Aで開示される資料として、例えば以下が考えられます。
@ 確定申告書3期分
A 現在進行期の月次試算表
B 直近3期及び現在進行期の保険売上額が分かる資料
C 固定資産・減価償却資産台帳
D 各種規程(就業規則、給与・賃金規程、退職金規程)
E 賃貸借契約書(賃借不動産、駐車場)
F リース契約一覧表 等々

ただし、実務上、歯科医院の事業承継、M&Aで開示が要求される資料は様々であり、ほとんど資料開示がなされずにM&Aの合意に至るケースも稀ではありません(居抜き物件の引継ぎと評価・判断されていることになります。)。

3 秘密保持契約書の締結の勧め
資料の開示に際しては、開示された情報の取扱いなどを明確にするために、秘密保持契約を締結すべきです。秘密保持契約書をきちんと締結することで、双方の秘密保持への意識が高まりますし、M&Aが成立しなかった場合の開示情報の取扱いも明らかにできます。

契約書は、最初に書式、ドラフトを作成し提示する側が有利ですので、秘密保持契約書の案文をこちら側で作成し提案していくことが重要です。

4 個人情報保護法と患者の個人情報の開示
レセプトなど、患者の個人情報が記載された資料の開示については、個人情報の保護に関する法律が、個人データの第三者提供を原則として禁じているため、M&Aでの情報開示において問題となります。

個人情報の保護に関する法律は、その23条4項2号で、合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合は、禁止される第三者提供に当たらないとしますが、これは、歯科医院の継承に伴う個人情報の移転の規定であり、歯科医院を継承するかわからない交渉段階での提供を認めたものではありません。

結論を申しますと、患者情報は、特にセンシティブな個人情報ですので、交渉段階での患者の個人情報が記載された資料の開示は、秘密保持契約を締結したとしても、個人情報の保護に関する法律に抵触する第三者提供に該当し得るというべきです。患者の個人情報の提供に際しては、マスキングし特定の個人と識別できないようにするなどの対応をする必要があります。


歯科医院の事業承継、M&Aに臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の事業承継・M&Aに強い弁護士がサポートします。

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