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歯科医院の居抜きでの売却、居抜き開業を検討している歯科医の方は、歯科医院の居抜きに強い弁護士にご相談下さい。

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居抜き(歯科医院)とM&Aの違い

歯科医院の居抜きに強い弁護士です。

サンベル法律事務所は、歯科医院の居抜き、M&Aのサポート業務を多数行っています。


弁護士鈴木が力を入れている、歯科医院の居抜きのコラムです。
歯科医院の居抜きとM&Aの違い、居抜きでの開業、居抜き歯科医院の適正価格、開業の統計などをご説明します。


 歯科医院の歯科事業を全体で引き継ぐM&Aの勧め

歯科医院の開業で、歯科医院が入居している(入居していた)物件を居抜きで引き継ぎその内装や設備を利用して開業する場合があります。係る居抜きでの不動産の引き継ぎは、法的には、個別の施設や備品類の売買となることが原則です。
対して、歯科医院の開業で、内装や設備に加え、患者さんやスタッフも引き継いでその歯科医院を全体として承継して開業する場合もあります。これを、歯科医院のM&Aといいます。

居抜きでは、歯科医院の内装や設備の再利用に主眼があり、M&Aでは、歯科医院のビジネス全体の承継に主眼があります。譲渡価格は、居抜きは設備代等を念頭に交渉され、M&Aでは事業価値がポイントになってきます。

もっとも、現実には、居抜きとM&Aの違いは曖昧で、居抜きでも患者さんを引き継ぐケースがありますし、M&Aでもスタッフを引き継がないケースがあります。

開業を検討されている歯科医の方にお伝えしたいのは、まずはM&Aで、歯科医院のビジネス全体を引き継ぐことを検討いただき、それが難しい場合に、居抜きでの内装や設備の引き継ぎまたは新規開業を検討いただきたいということです。M&Aで歯科医院の既存のスタッフを活用し患者を上手に引き継ぐことが、開業後の早期の経営安定化に繋がります。

歯科医院のM&Aについては、コラム歯科医院の事業承継とM&Aに詳しく記載しています。

歯科医院の居抜き開業


 居抜き歯科医院の適正価格

居抜きでの歯科医院の売却・開業では、歯科医院の居抜き譲渡対価が問題となります。

居抜きの譲渡価格は、土地やマンションの売買と異なり、価格形成市場が未発達であるため、実務上、売手による感覚的な値付けがなされている実情があります。特に、勤務医などへ個人的な繋がりで売却する際には、力関係から、適正価格とはおよそかけ離れた金額で取引がなされることがあり、そうでなくとも、専門家が介在しない場合は、適正価格からかい離した価格で売買がなされるケースが目につきます。

売手による感覚的な値付けに基づく売買は、価値のある歯科医院を著しく廉価で売却してしまったり、逆に、歯科医院を不当に高く購入してしまったりすることに繋がり、売買後にトラブルになりがちで、お勧めできません。

具体的な金額の算定は、その歯科医院の特殊事情の勘案などが必要であり、歯科医院の居抜きでの譲渡価格評価のノウハウを持つ専門家に算定を依頼すべきです。売買対象の適正価格を把握することは、損な取引をしないための、すなわち、上手に歯科医院を居抜きで引継ぐための欠かせない前提です。

 歯科の開業の統計

昨今の歯科診療所の施設数は、政府統計(医療施設動態調査)によれば、以下のとおりです。
 平成26年10月1日
  施設数:68,592
  (過去1年間増減:開設1,912、再開123、廃止1,746、休止398)
 平成25年10月1日
  施設数:68,701
  (過去1年間増減:開設1,707、再開65、廃止1,405、休止140)
 平成24年10月1日
  施設数:68,474
  (過去1年間増減:開設1,633、再開70、廃止1,243、休止142)

以上のとおり、歯科医院の数は、7万件弱で落ち着いているといえます。歯科医院開業は、毎年1600件から2000件程度で、逆に、歯科医院の倒産や歯科医院の廃業は、毎年1200件から1800件程度で推移しています。

歯科医院開業の数には、歯科医院の全く新しい新規開業だけでなく、歯科医の親や勤務先の院長などから歯科医院を継承し、行政手続きの関係で開業と分類されているもの、及び、既存の歯科医院の居抜きでの開業、M&Aでの開業が相当数含まれていることに注意が必要です。

 リース契約、治療契約書、保証システムの注意点

歯科医院を居抜きで開業する際の、弁護士の視点からの注意点を3点挙げます。

1 歯科医院居抜き開業でのリース契約

第1に、リース契約についてです。

歯科医院の居抜きでの開業に際し、種々の医療機器を購入する場合があります。その際に、リース契約の利用を検討するケースも多いでしょう。

リース契約は、その実態として金融取引であり、医療機器を購入するために必要な費用を後払いにできるメリットがあります。また、税務会計処理の関係で、節税のメリットを享受できるケースもあります。リース契約の方が、歯科医療機器が安価であることもあります。しかし、法的見地からすると、リース契約は、リース会社にとても有利な契約となっています。

リース契約をする前に、まず、銀行からの借入れで一括払いで医療機器を購入することを検討し、そのメリットとデメリットを比較衡量すべきでしょう。歯科医院の居抜き開業でのリースの活用は、慎重に判断すべきです。

2 歯科医院居抜き開業での治療同意契約書

第2に、治療同意契約書についてです。

インプラントや歯科矯正などの高額な自費治療を行う場合は、その治療同意契約書のひな形を準備しておきましょう。

歯科医院の居抜きでの開業は、様々な対応が限られた時間の中で必要となり、契約書の整備は後回しになりがちです。しかし、契約書を歯科医院開業当初から整備し、居抜き開業直後の患者さんから、高額な自費治療については契約書の署名を求める運用をすべきです。契約書は、紛争の予防に役立つもので、トラブルが生じてから、整備しておけばよかったと後悔しても、後の祭りです。患者さんとのトラブルは、歯科医の大きな負担となり、場合により、歯科医院の倒産や廃業に繋がります。対して、契約書を整備する負担は、一時的なものです。また、契約書の整備は、患者さんの歯科医院への信頼に結びつきます。

3 歯科医院居抜き開業での保証システム

第3に、保証システムについてです。

インプラントを中心に、保証システムなどと称し、一定の期間内であれば無料で再治療するといったサービスを提供している歯科医院が多数あります。

この保証システムですが、保証書などを交付し細かな保証条件を患者に説明提示しておかないと、後々のトラブルに繋がります。保証条件に曖昧な部分があると、歯科医は歯科医院側有利に理解し、患者さんは患者さん側有利に理解してしまうためです。そのため、いざインプラントの不具合などが生じると、患者さんは無料での再治療を要求し、対して歯科医は保証の対象外と争うことになり、その結果、歯科医に多大な時間的・精神的負担が生じることになります。また、保証システムは、歯科医院を別の歯科医に居抜きやM&Aで引き継いでもらうときにどうするか、歯科医院が倒産や廃業したときにどうするかなどの法的に難しい問題もあります。

保証システムは、長期的なリスクを抱え込むことになりかねませんので、歯科医院の居抜き開業での保証システムの導入は、まずは慎重に考え、歯科医院開業に際して戦略的に導入するとしても、保証期間を保守的に定めかつ保証条件を厳格に設定するなど、不測の損害が生じないようにして下さい。

なお、居抜きで歯科医院を開業する場合、居抜き元の従前の保証システムの内容を確認し、患者さんへの治療保証の扱いなどについて、居抜き譲渡を受ける際の契約書に落とし込んでおく必要があります。


歯科医院の居抜き、居抜き売却、開業にお悩みの歯科医の方は、お電話を下さい。歯科医院の円滑な居抜き売却、居抜き開業について、弁護士がアドバイスします。

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