歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の指導監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。
個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。
ここでは、東海北陸厚生局が平成28年度の個別指導で改善を求めた指摘事項(在宅医療、歯科訪問診療料、在宅患者等急性歯科疾患対応加算、歯科診療特別対応加算、訪問歯科衛生指導料、検査、電気的根管長測定検査、細菌簡易培養検査、画像診断、投薬、リハビリテーション、歯周治療、歯周病検査、歯周基本治療処置)をご説明します。
指摘事項は、東海北陸厚生局の公表資料「平成28年度に実施した個別指導において保険医療機関(歯科)に改善を求めた主な指摘事項(東海北陸厚生局)」に基づいています。
歯科の指導、監査に臨む歯科医の方は、以下のコラムもご覧いただければ幸いです。
【コラム】歯科の個別指導と監査の上手な対応法
4 在宅医療
歯科訪問診療を行うに当たっては、「歯科訪問診療における基本的考え方」(平成16年日本歯科医学会)を参考に適切に行うこと。
1 歯科訪問診療料
○歯科訪問診療料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 患者の病状に基づいた訪問診療の計画を策定していない。
・ 訪問診療の計画の要点を診療録に記載していない。
・ 訪問診療の計画を変更した場合に、診療録に変更の要点を記載していない。
・ 歯科訪問診療を行った場合について、実施時刻(開始時刻と終了時刻)
・ 患者 の状態等(急変後の対応の要点を含む)を診療録に記載していない。
2 歯科診療特別対応加算
○歯科診療特別対応加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 歯科診療が著しく困難ではない患者に対して算定している。
・ 算定した日の患者の状態を診療録に記載していない。
3 在宅患者等急性歯科疾患対応加算
○常時訪問先に携行している切削器具及びその周辺装置名を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
4 訪問歯科衛生指導料
○訪問歯科衛生指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 提供文書に、指導内容・指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)・療養上必要な事項に関する情報・実地指導を行った歯科衛生士等の氏名の記載がない。
・ 歯科衛生士等に指示した内容・指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻) ・歯科訪問診療の際の患者の状態の要点等を診療録に記載していない。
5 検査
1 電気的根管長測定検査(EMR)
○検査結果を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
2 細菌簡易培養検査
○細菌簡易培養検査について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 検査結果を診療録に記載していない。
6 画像診断
○エックス線写真は適切に整理保管すること。
○画像診断について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影について、診断に係る所見を診療録に記載していない。
・ 歯科エックス線撮影について、治療に必要な部位が撮影されていない。
7 投薬
○投薬に当たっては、その必要性を十分に考慮した上で、適応、用法、用量等の医薬品医療機器等法上の承認事項を厳守して使用すること。また、治療効果判定を行い、漫然と投与することのないよう留意すること。
○処置内容、症状、経過からみて、必要性が判然としない(傾向的、画一的、過剰)投与は行わないこと。また、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認し投薬すること。
8 リハビリテーション
○歯科口腔リハビリテーション料1について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 調整方法、調整部位及び指導内容の要点を診療録に記載していない。
9 歯周治療
1 診断
○「歯周病の診断と治療に関する指針」(平成19年11月日本歯科医学会)を参照し、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。
○診断等について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 歯周病検査の検査結果に基づき、歯周疾患の診断を的確に行っていない。
・ 治癒の判断、治療計画の修正等を的確に行っていない。
・ 歯周治療と並行して歯冠修復、ブリッジ、有床義歯に係る補綴治療を行っている。
・ 歯周基本治療の後に確認の歯周病検査を行わず、歯周治療を終了している。
2 歯周病検査
○歯周病検査について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 歯周基本検査について、歯周ポケット測定及び動揺度の検査結果を診療録に記載していない。
・ 歯周精密検査について、4点以上の歯周ポケット測定、プロービング時の出血の有無検査、歯の動揺度及びプラークチャートを用いたプラークの付着状況検査を実施していない。
・ 歯周基本検査・歯周精密検査について、検査結果を診療録に記載していない又は検査結果がわかる記録を添付していない。
・ 混合歯列期歯周病検査について、プラークチャートを用いたプラークの付着状況検査、 プロ―ビング時の出血の有無検査を実施していない。
3 歯周基本治療
○歯周治療について、次の不適切な例が認められたので改めること。
・ 検査結果、臨床所見等から判断して必要性が認められないスケーリング・ルートプレーニング。
・ スケーリングから次の歯周病検査までの間隔が短く、歯科医学的に妥当・適切と言えない。
4 歯周病安定期治療
○歯周病安定期治療(T)及び(U)について、管理計画書の写しを診療録に添付していない例が認められたので改めること。
5 歯周基本治療処置
○使用した薬剤名を診療録に記載していない例が認められたので改めること。
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