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まず医療機関債のコラムの一覧をご紹介します。その上で、医療機関債の消費者問題(消費者委員会の提言を踏まえた対応、消費者問題についての提言)についての行政通知のご説明を致します。内容は、厚生労働省の公表資料「医療機関債に関する消費者委員会の提言を踏まえた対応について(依頼)(平成24年9月6日,医政指発0906第2号」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。
医療機関債のコラム
1 医療機関債のガイドライン(1):医療機関債の定義
2 医療機関債のガイドライン(2):情報開示、利率
3 医療機関債のガイドライン(3):診療差別の排除
4 医療機関債の関連規定(1):医療法、医療法施行規則
5 医療機関債の関連規定(2):運営管理指導要綱
6 医療機関債の関連規定(3):租税特別措置法、施行令
7 医療機関債の消費者問題
医療法人のその他のコラム
1 医療法人の法務
・ 医療法人のコラムの一覧
医療機関債に関する消費者員会の提言を踏まえた対応について
医政指発0906第2号
平成24年9月6日
各 都道府県衛生主管部(局)長 殿
厚生労働省医政局指導課長
医療機関債に関する消費者委員会の提言を踏まえた対応について(依頼)
医療法人における不適切な資金調達については、かねてよりそのような事実を把握した場合には速やかに指導するよう依頼しているところであるが、今般、別添1のとおり、内閣府消費者委員会から「医療機関債に関する消費者問題についての提言」が9月4日付けで厚生労働大臣に提出された。
ついては、貴職において、消費者行政を所管する部局に積極的な情報提供を求めるなど両部局の緊密な連携の下、長期間にわたって経営実態がない医療法人が医療機関債を発行している場合など不適切な医療機関債発行の早期把握に努め、その是正に向け、医療法(昭和23年法律第205号)に基づく措置等を迅速かつ適切に行うようお願いする。
また、医療機関債の発行が出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号)に違反する疑いがあると認められた場合等には、警察とも積極的に連携して対応するよう併せてお願いする。
医療機関債に関する消費者問題についての提言:消費者委員会
医療機関債の勧誘に関する消費者からの相談が、昨年度より各地の消費生活センターに多く寄せられている。医療機関債の勧誘をめぐっては、平成23年8月に、独立行政法人国民生活センターが、消費者からの相談件数が増加しているとして注意喚起を行っている。また、平成
24 年1月には、消費者庁が、一部の医療法人が医療機関債の発行にあたり、強引な勧誘や虚偽の説明等の不当な勧誘行為をしたとして、消費者安全法(平成
21 年法律第 50 号)に基づく注意喚起を行っている。このように、昨今、医療機関債に関しては、消費者が不審、不満に感じる事案が顕在化しつつある。
医療機関債は、厚生労働省による医療機関債発行等のガイドライン(平成 16年10月25日医政発第1025003 号。以下「ガイドライン」という。)において、有価証券には当たらず、金融商品取引法(昭和
23 年法律第 25 号)等の適用外とされている。しかし、ガイドラインには、悪質な医療法人が返済の目途のないままに医療機関債を発行した場合を想定した、消費者保護規定が十分に設けられているとは言い難いなどの問題があり、今後も同様の事案の発生が懸念されるところである。
このため、消費者委員会としては、医療機関債に関する消費者問題について、被害の拡大を未然に防ぐとの観点から、次のとおり提言する。また、本提言への対応について、必要に応じて、今後、関係省庁からの報告を求めることとする。
1 医療機関債の発行実態等の把握
医療機関債に関しては、ガイドラインで発行から償還に至るまでの各種手続き等のルールが定められているものの、医療法上、医療機関債発行時の都道府県への届出等の行政手続は義務付けられておらず、また、発行実態を行政当局が把握する仕組みも設けられていない。
他方、独立行政法人国民生活センターによれば、医療機関債に関する相談は、平成22年度以前は年間数件程度であったものの、23年度には386件と急増しているとされる。加えて、不特定多数の広範な消費者に対して勧誘を行っている可能性が高く、また、既払いが確認できた事案の9割は支払額が100
万円以上に及んでいるとのことである。更に、東京都からも、医療機関債発行の医療法人に対する監視システム構築の必要性が指摘されている。
また、既述の消費者庁による注意喚起の対象となった法人については、出資の受入、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和 29 年法律第 195
号。以下「出資法」という。)に抵触している疑いが認められるなど、ガイドラインに違反していた疑いがある。
以上を踏まえ、厚生労働省は、まずは、消費者から相談が寄せられている医療機関債発行法人等について、医療機関債の発行実態及びガイドラインの遵守状況について調査・把握し、都道府県に対し、その結果を踏まえ、必要に応じて早急に改善指導を行うよう要請すべきである。
2 関係機関間の連携の推進
医療機関債をめぐる消費者トラブルに適切に対応するためは、医療法人を所管する部局と消費者行政部局等が密接に連携を図り、医療法に基づく措置等を講ずる必要がある。
このため、消費者庁は、都道府県において消費者行政を所管する部局に対し、当該部局が医療機関債の勧誘に関する消費者問題を積極的に把握するよう努め、把握した場合、速やかにその情報を医療法人を所管する部局に提供するよう、要請すべきである。
また、厚生労働省は、都道府県において医療法人を所管する部局に対し、消費者行政を所管する部局からの積極的な情報提供を求めるなど両者が緊密に連携することにより、例えば、長期間に亘って経営実態がない医療法人が医療機関債を発行している場合など不適切な医療機関債発行の早期把握に努め、その是正のための医療法に基づく措置等を迅速かつ厳正に行うよう、要請すべきである。併せて、医療機関債の発行が出資法に違反する疑いがあると認められた場合等には、警察とも積極的に連携して対応するよう要請すべきである。
また、東京都から、消費者庁が注意喚起の対象とした不当な勧誘行為に関して、都道府県の消費者行政部局が積極的に消費者安全法に基づく措置を講じることができる仕組みを構築する必要性が指摘されたところ、同法に基づく法執行を強化し、迅速に注意喚起を行うことは、医療機関債の発行に関する消費者問題の被害拡大の防止のために有効であると考えられる。
消費者安全法では、内閣総理大臣の権限の一部(報告徴収・立入調査等)は、都道府県等に委任することができると規定されているものの、運用上、重大事故等(消費者安全法第2条第6項)のみが委任の対象とされ、本件のような財産被害はその範囲に含まれていない。また、重大事故等に関しても、委任に同意している都道府県等は39団体(31都道府県、8政令市)となっている。このため、同法が改正され、重大な財産被害を生じさせる事業者に対する行政措置等が強化されたことを機に、同法の執行強化に資するよう、委任の範囲の拡大等当該委任を積極的に活用することが有効であると考えられる。
以上を踏まえ、消費者庁は都道府県が消費者安全法の運用に参加できるような環境を整備すべきである。
3 消費者保護の観点からのガイドラインの見直しの検討
ガイドラインでは、医療機関債を「医療機関を開設する医療法人が、民法上の消費貸借として行う金銭の借入れに際し、金銭を借入れたことを証する目的で作成する証拠証券をいうもの」と定義している。また、通常の社債や社会医療法人債は金融商品取引法等の適用対象であるが、同ガイドラインによれば、医療機関債は、金融商品取引法等の対象外となっており、金融商品取引法等に準ずる消費者保護の規定も設けられていない。
しかしながら、昨今、消費者が医療機関債の勧誘をめぐるトラブルに巻き込まれる事案が見受けられるところであり、前述の問題も生じている。
このため、厚生労働省は、上記1の調査結果を踏まえ、必要な場合には、消費者保護の観点から、医療法人の監督を行う都道府県の意見等も聞きつつ、ガイドラインに消費者保護規定を追加すべきである。
医療機関債に関してお悩みの歯科医の方は、迷わずお電話を下さい。問題解決への具体的なアドバイスを致します。