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顎口腔機能診断料(施設基準)の算定での厚生局の指摘事項(歯科)のコラムです。保険診療の個別指導、監査は、弁護士にご相談下さい。

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歯科保険診療指摘事項(150):顎口腔機能診断料

歯科の個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、厚生局の指導監査の対応業務をしています。

歯科の個別指導、監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、歯科の保険診療に関して、施設基準に係る保険診療の顎口腔機能診断料での算定留意事項、算定要件、個別指導での指摘事項などについてご説明します。

ご説明は、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室の保険診療確認事項リスト(歯科)令和6年度改訂版ver.2411に基づくもので、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。最新の取扱いではない可能性や、また、地域などにより運用等異なる場合があることに注意が必要です。

なお、歯科の個別指導、監査に臨む歯科医師の方は、個別指導の基本的な仕組みや対応法など記載しておりますので、まずはこちらのコラム歯科の個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。

また、手前味噌ですが、もしよろしければ、拙著『歯科の個別指導・監査・医道審議会の行政処分への対応法【改訂版】』もご参考いただければ幸いです。


顎口腔機能診断料(保険診療)での指摘事項


 1 算定できない顎口腔機能診断料

算定できない顎口腔機能診断料を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行っていない、地方厚生(支)局長に届け出た専任の歯科医師以外の歯科医師により顎口腔機能診断を行っている、歯科矯正を開始するとき、動的処置を開始するとき、マルチブラケット法を開始するとき、顎離断等の手術を開始するとき及び保定を開始するときのいずれにも該当していない、顎離断等の手術を必要とする患者に該当していない、前回顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内である。

【コメント】
顎口腔機能診断料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯科矯正を担当する専任の歯科医師が顎口腔機能診断を行った場合に限り算定するとされています。

顎口腔機能診断料は、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の患者(別に厚生労働大臣が定める疾患に起因して顎変形症を発症している場合及び3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常が認められる患者を除く。)の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等について、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真及び予測模型等による評価又は分析を行い、これらの結果と既に行った治療内容の評価を併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族等に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定するもので、なお、歯科矯正セファログラム及び模型調製は別に算定するとされています。

なお、保険診療により歯科矯正治療を行っている患者が、別の保険医療機関に転医した場合、転医先の歯科矯正の施設基準を届け出た保険医療機関において歯科医学的に初診といわれる診療行為があった場合には、初診料を算定して差し支えなく、なお、転医先の保険医療機関においても、保険給付により歯科矯正治療を行う場合は、顎口腔機能診断料に係る治療計画書を当該患者に提供する必要があるとされています。


 2 算定要件を満たしていない顎口腔機能診断料

算定要件を満たしていない顎口腔機能診断料を算定している次の例が認められたので改めること。

すなわち、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真、予測模型等による評価又は分析を行っていない、治療計画書を作成していない、歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関と顎離断等の手術を担当する保険医療機関が連携して治療計画書を作成していない、治療計画書を患者又はその家族等に提供していない、患者又はその家族等に提供した治療計画書の写しを診療録に添付していない、治療計画書の内容について、患者又はその家族等に説明していない、歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行っていない。

【コメント】
顎口腔機能診断料を算定した後、「注2」に掲げる顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合は、顎口腔機能診断料は算定できず、また、当該保険医療機関において歯科矯正相談を行い、歯科矯正相談料を算定した患者について、当該歯科矯正相談に当たって、「写真診断」の「1 単純撮影」若しくは「2 特殊撮影」又は「歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織」の「1 単純撮影」若しくは「2 特殊撮影」を算定した場合には、当該撮影料を算定した日から起算して3月以内に、顎口腔機能診断を行うに当たっての「写真診断」の「1 単純撮影」若しくは「2 特殊撮影」又は「歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織」の「1 単純撮影」若しくは「2 特殊撮影」は別に算定できないとされています。

なお、顎口腔機能診断時の下顎運動に係る検査の費用は、顎口腔機能診断料に含まれ別に算定できず、ただし、歯科矯正セファログラム及び模型調整の費用は別に算定できるとされています。


 3 治療計画書への適切な記載

治療計画書に記載すべき内容について、【画一的に記載している、記載の不十分な】例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。すなわち、全身性疾患の診断名、症状及び所見、口腔領域の症状及び所見【咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等】、ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等、歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等、歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関が共同して作成した手術予定等年月日を含む治療計画書、計画策定及び変更年月日等、顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名、歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関名、担当歯科医師の氏名等。

地方厚生(支)局長に届け出た専任の歯科医師以外の歯科医師により顎口腔機能診断を行う場合は、当該歯科医師について速やかに届出を行うこと。

【コメント】
「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいうとされています。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関が共同して作成した手術予定等年月日を含む治療計画書、計画策定及び変更年月日等

ホ 顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名

ヘ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関名、担当歯科医師の氏名等

患者又はその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付し、顎口腔機能診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族等に提供した治療計画書の要点を記載することとされています。

顎口腔機能診断料の算定に係る歯科矯正及び顎離断等の手術は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関で実施される歯科矯正を担当する歯科医師及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師の十分な連携の下に行い、これら一連の治療に関する記録は、当該療養を担当するそれぞれの歯科医師又は医師において保管するとされています。



個別指導、監査に臨む歯科医の方は、お電話下さい。歯科の個別指導、監査への対応を弁護士がサポートし、指導監査に弁護士が同席します。

歯科の指導、監査のコラム


歯科医院の指導、監査の弁護士のコラムの一覧です。
施設基準の顎口腔機能診断料の算定留意事項、算定要件の他、様々なコラムがございます。
個別指導(歯科)の際や日常の診療にご活用下さい。


 1 歯科の指導監査に関するコラム

1  歯科の個別指導と監査の対応法

2  歯科の新規個別指導の対応法

 2 歯科保険診療指摘事項のコラム

1  歯科の指摘事項(149):歯科矯正診断料

2  歯科の指摘事項(150):顎口腔機能診断料

3  歯科の指摘事項(151):歯科矯正相談料

4  歯科の指摘事項(152):歯科矯正管理料

5  歯科の指摘事項(153):歯科矯正セファログラム

6  歯科の指摘事項(154):模型調製

7  歯科の指摘事項(155):動的処置

8  歯科の指摘事項(156):咬合採得

8  歯科の指摘事項(157):装着

10 歯科の指摘事項(158):矯正装置

11 歯科の指摘事項(159):口腔病理診断料

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