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保険診療での留意事項(保険証と傷病の確認、患者からの費用の徴収、院内掲示)についてご説明します。保険診療にお悩みの歯科医の方は、指導監査に強いサンベル法律事務所にご相談下さい。

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保険診療の実務留意事項(3):保険証と傷病の確認、一部負担金

歯科の個別指導の書籍を出版し、歯科の保険診療に強い、歯科医師のための弁護士です。

保険医・保険医療機関への個別指導、監査にお悩みの歯科医の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。指導監査には、弁護士を立ち会わせるべきです。

弁護士鈴木が力を入れている歯科個別指導監査に関するコラムです。

まず、厚生局の集団指導テキストに基づく保険診療の実務留意事項のコラムの一覧をご紹介します。その上で、保険診療での留意事項(受給資格の確認、保険証の返還、傷病の原因確認、患者からの費用の徴収、一部負担金、院内掲示)についてご説明を致します。
内容は、北海道厚生局の公表資料「保険診療の理解のために(歯科)(平成28年5月現在版)(厚生労働省北海道厚生局医療課・北海道保健福祉部健康安全局国保医療課)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜加筆修正等しています。

 保険診療の実務留意事項

1  保険診療の実務留意事項(1):保険診療とは

2  保険診療の実務留意事項(2):療養担当規則と保険診療

3  保険診療の実務留意事項(3):保険証と傷病の確認

4  保険診療の実務留意事項(4):保険診療の診療録の記載方法


歯科の個別指導、監査に悩んでいる歯科医の方は、歯科の指導、監査に詳しい弁護士への速やかな相談をお勧めします。個別指導、監査では、弁護士を立ち会わせるべきです。詳しくは以下のコラムをご覧いただければ幸いです。
・ 歯科の個別指導と監査の上手な対応法

U 保険診療取扱いの実務留意事項


 1 受給資格の確認

(1) 保険診療を行うときは、必ず「被保険者証」又は「組合員証」(以下、「保険証」という。)によって、患者の医療保険資格を確認する。患者が保険証を提出する行為は、患者が保険診療を求めたと解釈される。

(2) 以前に受診したことがあるからといって、いわゆる「顔パス」は、許容しないようにする。月が替われば職場が変わっていることがある。また、職場は変わらなくとも、事業所が所属していた保険者が替わることもある。

(3) 資格の確認は患者の“提出”する保険証によって行うものであり(療担規則§3)、提示では不足である。

(4) 提出を受けた保険証は、療養継続期間中は原則として保険医療機関において保管すべきものであるが、一時返還して療養を継続している場合でも、常に資格の有無について確認を要する。

(5) 保険証の確認不十分により、毎月相当数のレセプトが保険者や審査支払機関から返戻されている現実がある。返戻理由として、資格喪失後受診、認定外被扶養者、記号番号に該当なし、保険者と記号番号の矛盾、記号番号等の記載漏れがある。

 2 受給資格の確認に当たっての注意

(1) 記号・番号・有効期限・保険者番号・保険者名等を正しく診療録に転記する。 なお、保険証をコピーして診療録に貼付等することは不適当である。(いわゆる電子カルテの場合で、カルテ作成の一環として直接カルテにコピーされる場合は可)

(2) 自衛官には、自衛官診療証(保険者番号が07で始まる)が交付されており、これにより資格の確認を行う。自衛官の家族は防衛省共済組合の被扶養者となっているため、別に保険証(共済組合員証)が交付されている。

(3) 国民健康保険は、通常、世帯単位の加入であるため、カード化されていない保険証の第1面には世帯主の氏名が記載されているが、当該世帯主が勤め人などで国保では受給資格がない場合があるので、必ず第2面の被保険者一覧の記載を確認する。

 3 保険証の返還

 療担規則第4条は、「保険医療機関は、当該患者に対する療養の給付を担当しなくなったとき、その他正当な理由により当該患者から被保険者証の返還を求められたときは、これを遅滞なく当該患者に返還しなければならない。」となっている。平成13年4月からこのように改正されているが、それ以前は、被保険者証の返還に際しては、「被保険者証に所定の事項を記入して返還しなければならない。」とされていた。この文言は、健康保険法施行規則が改正され、カード化された被保険者証の様式が新設されたことにより削除されたものであるが、改正省令附則第4項に、「改正後の様式による健康保険被保険者証以外の被保険者証の返還に際する所定事項の記入又は記録については、改正後の療担規則の規定にかかわらず、なお従前の例による。」とあり、従来の紙製の被保険者証の場合には所定の事項を記入して返還する必要がある。

 4 傷病の原因確認

(1) 業務上の疾病・負傷は医療保険の保険診療とはならないので、業務上の傷病が疑われる場合はその原因等を保険医が聴取して診療録の所定欄に記載する(これにより、後日、医療保険者と労災当局との間で調整するのである)。
 業務上の傷病に対する診療については労災保険が適用され、その適用がない場合は労働基準法の規定により事業主がその費用を負担することとなり、いずれにしても保険診療とはならない。

(2) 交通事故による負傷や飲食店での食中毒等の「第三者」の行為による傷病の場合は、その傷病が業務上のものではなくて患者が保険証を提出したときは、保険適用となる。この場合、被保険者は保険者に所定の届出を行うこととされているので、被保険者に対しその旨を説明するとともに、レセプトの「特記事項」欄にも「第三」と記載する。

 5 患者からの費用の徴収

(1) 保険診療において患者からの費用の徴収が認められるのは、「一部負担金」、「評価療養や選定療養に係る差額(差額ベッド代など)」、「入院時食事療養や入院時生活療養の標準負担額」といった法律に規定されたものに限られる。それ以外の差額徴収等は、禁止されている。
 なお、外国語通訳料といった医療そのものではないものについては、患者にその費用を請求することができる。もちろん、その性格や額は社会常識に沿った合理的なものでなければならない。

(2) 一部負担金は、通常、3割である。
 0歳から6歳となった年度の末(3月31日)までは、2割。
 70歳以上は、2割。
 ただし平成26年4月1日までに70歳の誕生日を迎えた者は1割。
 現役並み所得者は、3割。

(3) 一部負担金は必ず徴収しなければならず、減免はできない。
 健康保険法第74条第1項は、保険医療機関から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、一部負担金を当該保険医療機関に支払わなければならないとし、同条第2項は、保険医療機関は、当該一部負担金の支払を受けるべきものとしている。同法第70条の規定に基づき保険医療機関が遵守すべきものとされている療担規則第5条においても、保険医療機関は一部負担金の支払を受けるものとする、とされており、高齢者の医療の確保に関する法律第67条並びに高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準第5条においても同様に規定されている。
 健康保険法及び療担規則等におけるこれらの規定の趣旨は、医療保険制度の安定的な運営の確保のため、
・ 保険料負担者である被保険者と保険診療を受ける患者との間の負担のバランスを図る、
・ 患者のコスト意識を喚起し、モラルハザードを防ぐ、
・ 診療の内容に応じて患者に負担が生じることを通じて、提供する保険診療について保険医療機関のモラルハザードを防ぐ、
ものである。
 したがって、健康保険法及び療担規則等の規定の趣旨が守られるためには、患者がその勘定の負担において一部負担金相当額を支払うことが求められる。
 また、保険医療機関においては、これに反する行為、例えば、一部負担金相当額の金員を受領した後直ちに同額を当該患者に贈与することを行うことは許されないと解すべきである。

(4) 国民健康保険資格証明書、後期高齢者医療資格証明書
 正当な理由がなく国民健康保険料(税)を1年以上滞納している世帯には通常の保険証に代えて「国民健康保険資格証明書」が交付される。この資格証明書を提出した患者については、現物給付が行われないため、保険診療を行ったうえで、全額(点数×10円)を患者から徴収する。
 病気や生活困窮など保険料を納付できない特別な事情がある場合を除き、正当な理由がなく後期高齢者医療保険料(税)を1年以上滞納している世帯には、通常の保険証に代えて「後期高齢者医療資格証明書」が交付される。この資格証明書を提出した患者については、現物給付が行われないため、保険診療を行ったうえで、全額(点数×10円)を患者から徴収する。

(5) 一部負担金以外で、患者からの費用の徴収が認められる主なものは次のとおりである。
・歯科訪問診療、訪問歯科衛生指導の際の交通費
・液剤投与の際に用いる容器代(容器は基本的に貸与であり、返還時は返金すること)
・患者の過失による薬剤の紛失、毀損の際の再交付分の薬剤の費用
・金属床による総義歯を製作した場合、地方厚生局長に報告した特別の料金とスルフォン床による総義歯との差額〔選定療養〕
・保険外併用療養費における地方厚生局長に報告した特別の料金〔選定療養〕
・入院時食事療養費に係る標準負担額
・入院時生活療養費に係る標準負担額
・一般の診断書料
 一つ目の「・」から三つ目の「・」までの費用を患者から徴収した場合、診療録の所定欄に徴収額と徴収した旨を表示することが必要である。

(6) 保険給付外の材料等による歯冠修復及び欠損補綴における保険給付外治療の取扱い
 保険給付外の材料等による歯冠修復及び欠損補綴は保険給付外の治療となるが、この取扱いは、歯及び口腔に対する治療体系が細分化されている歯科治療の特殊性に鑑み、当該治療を患者が希望した場合に限り、歯冠修復にあっては歯冠形成(支台築造を含む。)以降、欠損補綴にあっては補綴時診断以降を、保険給付外の扱いとする。その際に、当該治療を行った場合は、診療録に自費診療への移行等や当該部位に係る保険診療が完結している旨が判るように明確に記載する。なお、「歯科領域における保険給付外等の範囲について」は、平成26年3月31日をもって廃止する。

 6 院内の見やすい場所に掲示を要する事項

(1) 療担規則第5条の3第4項、第5条の3の2第4項の規定による、入院時食事療養の内容及び費用、入院時生活療養の内容及び費用

(2) 療担規則第5条の4第2項の規定による、選定療養(保険外併用療養費に係る療養)の内容及び費用
@ 特別の療養環境の提供(いわゆる差額ベッド)
A 金属床による総義歯の提供
B う蝕に罹患している患者の指導管理
C 前歯部の金属歯冠修復に使用する金合金又は白金加金の支給に関する事項

(3) 別に厚生労働大臣が定める事項
@ 入院基本料に関する事項
A 地方厚生局長又は地方厚生支局長に届け出た事項に関する事項(@に掲げるものを除く)
 具体的には、
・ 基本診療料の施設基準:歯科外来診療環境体制加算、歯科診療特別対応連携加算、地域歯科診療支援病院歯科初診料、地域歯科診療支援病院入院加算など
・ 特掲診療料の施設基準:歯科治療総合医療管理料(T)及び(U)、在宅患者歯科治療総合医療管理料(T)及び(U)、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所、在宅療養支援歯科診療所、在宅歯科医療推進加算、有床義歯咀嚼機能検査、手術用顕微鏡加算、歯根端切除手術の注3、クラウン・ブリッジ維持管理料、歯科技工加算1及び2、歯科矯正診断料、CAD/CAM 冠など
 当該届出を行ったことにより患者が受けられるサービス等をわかりやすく掲示する必要がある。
B 療担規則第5条の2第2項に規定する明細書の発行状況に関する事項
 具体的には、「医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について」に基づいて行う。
C 役務の提供及び物品の販売等であって患者から費用の支払を受けるものに関する事項(当該費用の支払が法令の規定に基づくものを除く)
 具体的には、いわゆる保険外負担について、その内容及び費用を掲示する必要がある。
 なお、保険外負担の在り方については、「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」に基づいて取り扱う。


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1  歯科の個別指導と監査

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