歯科の倒産、歯科医の破産に強い弁護士の鈴木陽介です。
再建か倒産か悩んでいる歯科医の方は、お電話下さい。
歯科医院の倒産、廃業のコラム一覧をご紹介の上、歯科医院の再建と倒産の判断のポイントをご説明します。
歯科医院の倒産、廃業、破産のコラム一覧
1
歯科医院の倒産と廃業の状況
2
歯科医院の再建か倒産かの判断のポイント
3
歯科医・歯科医療法人の破産と弁護士費用
歯科医院を倒産、破産させないための医院継承の勧め
1 再建(医院継続)と倒産(破産)の判断のポイント
歯科医院を再建し事業を継続できるか、歯科医院の倒産か、その判断のポイントを4点挙げます。
【ポイント1:営業利益が黒字か】
第1に、営業利益が黒字か、黒字にできるか、ということです。
営業利益とは、売上高から売上原価や販売管理費を引いたものです。すなわち、金融機関への借入利息の支払いなどを差し引く前の段階での歯科医院の本来業務の利益ですが、これを黒字化できないのであれば、歯科医院の事業価値が乏しく、医院の継続は困難です。現状で営業赤字の場合は、経営合理化により黒字化が見込めることが必要です。歯科医院で経営者である院長が診療をしている場合は、生活費相当の最低額として例えば300万円を院長の人件費相当額として控除して計算します。
経営努力によっても営業利益を黒字化できそうもない場合は、歯科医院を倒産させ、廃業や破産をするよりありません。歯科医院の場合は、患者数がポイントであり、ランニングコストに見合った患者数を確保できるか、今後確保できる具体的な方策があるかを判断することになります。また、歯科医師や歯科衛生士の人材確保が問題となるケースも少なくありません。
【ポイント2:当面の資金繰りが確保できるか】
第2に、金融機関などへの返済金額をゼロとしたときに当面の資金繰りが確保できるか、ということです。
私的整理や民事再生の再建手続きに入ると、金融機関などへの返済を棚上げすることになります。返済猶予を申し込めば、その後の金融機関からの新規の借り入れは困難です。患者からの診療報酬はこれまでどおり受け取れますが、そういった状態で、当面の資金繰りがもたないのであれば、歯科医院を倒産させ、廃業や破産をするよりありません。
一時的な運転資金の不足であれば、倒産を避けるため親族などから一時的な資金援助を受け、あるいは短期的な高利借入れを行い不足分を補うケースがあります。営業黒字の見込みなどに鑑み、総合的に判断することになります。
【ポイント3:金融機関との関係が険悪でないか】
第3に、金融機関との関係が険悪でないか、ということです。
貧すれば鈍する、業績が悪化し、歯科医院が倒産に瀕すると、業績の悪化を取り繕うため、嘘をついたり、ごまかしたり、といったことをしてしまいがちです。その結果、金融機関、特にメインの金融機関との信頼関係を喪失してしまった場合、私的整理による再建が困難となり、民事再生による再建も難易度が上がります。逆に、メインの金融機関との信頼関係が厚く、積極的な協力が得られる場合は、倒産ではなく再建を目指すべきことになります。
業績が悪化したときこそ、関係者、特に金融機関への誠実な対応を肝に銘じ、信頼関係の維持に努めて下さい。
【ポイント4:経営者に再建の意欲があるか】
第4に、経営者たる歯科医の意欲です。
再建のためには、経営者たる歯科医の再建への意欲が不可欠です。歯科医院の倒産を回避するために力を尽くす、歯科医院は倒産させない、との覚悟を決めていただく必要があります。歯科医が高齢である場合は、再建への厳しい道のりでも意欲を維持するために、歯科医院の後継者の存在が重要です。なお、後継者がいる場合は、再建と並行して医院継承を進めても良いでしょう。
2 廃業と事業承継(M&A)
年齢的な問題や歯科医師の家族の事情などにより、院長自身による歯科医院の継続が困難となり、かつ、後継者も見当たらないときは、歯科医院の廃業、倒産を検討せざるを得ない場合があります。
そのような場合でも、特に営業黒字の歯科医院については、廃業ではない、第三者への医院継承、M&Aの検討をお勧めします。歯科医院の継続は、患者やスタッフをはじめとする歯科医院を取り巻く関係者の大きな利益となるためです。
廃業、倒産しか選択肢はないと思えても、第三者への医院継承、M&Aの可能性について、十分に検討すべきです。歯科医院の第三者への継承、M&Aについては、コラム
歯科医院の事業承継とM&Aに詳しく記載しています。
歯科医院の再建、継続か、破産かを悩んでいる歯科医の方は、お電話下さい。歯科医院の倒産は不可避か、歯科医院の再建はできないか、弁護士がアドバイスします。