1 歯科医院継承での契約書作成の勧め
1 歯科医院継承での契約書作成のメリット
歯科医院の、居抜きを含む継承、M&Aで契約書を作成するメリットは、以下のとおりです。
@ 合意内容が明確になり、約束を反故にされる事態を予防できる。
A 第三者が確認できるため、契約内容の証拠資料になる。
B 契約書の作成プロセスを通じ、
トラブルが生じがちな点について意識合わせができる。
2 歯科医院継承での契約書作成のデメリット
歯科医院の、居抜きを含む継承、M&Aで契約書を作成するデメリットは、以下のとおりです。
@ 契約書の締結のために交渉が必要となり、交渉が決裂し、
M&A交渉が失敗するリスクがある。
A 契約書の締結により、双方後戻りができなくなる。
B 契約書の作成・締結にコストがかかる。
3 契約書作成でのポイント
現院長としては、契約締結後、廃院の具体的な手続きを進めてから、新院長が、引継ぎはやめる、歯科医院は引継がないなどと突如言いだすことを予防する見地から、新院長からの契約の解除事由を限定し、かつ、違約罰や前払金などの契約条項を盛り込むことが重要です。また、手付金を合意できれば有利です。なお、分割での後払いでの対価の支払いに応じるかは、慎重に検討する必要があります。
新院長の立場からすれば、従業員、患者、歯科医院の名称、ホームページなどの引継ぎをどうするか、現院長が歯科医院の売却後に近隣での新規開業をしないかなど、交渉し契約条項に落とし込んでおく必要があります。また、契約締結交渉での開示資料について、内容虚偽のものではないことを現院長に表明保証させることも重要です。
4 歯科医院継承・M&Aでの契約書作成の勧め
歯科医院の継承、M&Aにおいては、契約書作成のメリットがデメリットを上回ることが通常です。基本的な合意(継承の対価、対価の支払い方法、継承の時期、継承の方法など)がまとまったら、面倒でも、契約書を作成し、契約書で契約を締結することをお勧めします。
契約書の作成方法ですが、歯科医院の継承、M&Aは、ケースごとに特有の事情、ポイントがあることが多く、一般的な契約書の書式やひな形をそのまま流用することは、重大な過誤に繋がる恐れがあります。
弁護士に相談し、弁護士の関与の下で、契約書の書式やひな形をそのまま引き写すのではない、継承の実情にあった契約書を作成締結することをお勧めします。
2 契約書の書式、ひな形
1 歯科医院継承での契約書の書式、ひな型
上記のとおり、居抜きを含む歯科医院継承、M&Aにおいて、一般的な契約書の書式やひな形を流用することは、お勧めできません。とはいえ、弁護士に相談する心理的ハードルは高く、歯科医院の事業承継の契約書の書式やひな形をまずは入手し、内容を検討したいという歯科医の方も多いかと存じます。
そこで手前味噌ではありますが、拙著『歯科医院の事業承継とM&A』において、以下の契約書の書式、ひな形を、解説付きで掲載しています。契約書の書式は実務に即したもので、第三者継承(M&A)の書式では、表明保証条項、暴力団排除条項なども挿入しており、売手側の書式では売手側に有利に、買手側の書式では買手側に有利になっています。
@ 親子継承での、
歯科医院継承の契約書のひな形
A 勤務医継承での、
歯科医院継承の契約書のひな形
B 第三者継承(M&A)での売手側(院長側)の、
歯科医院継承の契約書のひな形
C 第三者継承(M&A)での買手側(新院長、医療法人など)の、
歯科医院継承の契約書のひな形
2 秘密保持契約書の書式、ひな型
また、『歯科医院の事業承継とM&A』には、以下の歯科医院継承での秘密保持契約書の書式、ひな形も解説付きで掲載しています。売手側の書式では売手側に有利に、買手側の書式では買手側に有利になっています。秘密保持契約書の締結の重要性は、コラム
歯科医院の事業承継、M&Aの流れと資料開示に詳しく記載しています。
@ 第三者継承(M&A)での売手側(院長側)の、
歯科医院継承の秘密保持契約書のひな形
A 第三者継承(M&A)での買手側(新院長、医療法人など)の、
歯科医院継承の秘密保持契約書のひな形
歯科医院の上手な継承のノウハウをわかりやすく解説した書籍であり、歯科医院の継承を考えはじめた歯科医師がまず最初に読むべき内容となっておりますので、ご一読いただき、ご活用いただければ幸いです。
歯科医院継承での契約書の作成、書式に悩む歯科医の方は、お電話下さい。貴院の継承・M&Aに適切な契約書を弁護士が作成します。